広告に載っている金利や、仮審査で示された金利は、そのまま契約する金利とは限りません。確認できた商品の説明書では、金利を決める時点は「審査結果」「申込日」「融資日」「借入時」と商品ごとに違い、変動金利では借入後に見直しもあります(2026年10月15日時点)。
この記事は、広告・事前審査・本審査・契約・融資実行の各段階で何が決まり、何がまだ変わりうるのかを整理します。あわせて、変動金利と固定金利で適用金利の基準日がどう違うか、金利が違ったときに何を確認するかも書きます。自分の金利の調べ方そのものは別の記事で扱います。
目次
広告やローン商品ページの金利は、多くの場合「その商品で使われる金利の範囲」か「優遇前の基準になる金利」です。たとえば静岡銀行のフリーローンのページには、固定金利で「年4.5%~年14.5%」とあり、「金利は年4.5%~年14.5%の6段階あり、審査結果により当行で決定させていただきます。」と書かれています。幅のうちどこになるかは、申込みの後の審査で決まります。
三井住友銀行のフリーローンのページには「変動金利型 年6.875%」と表示されています。同じページには、住宅ローンを利用中で返済に遅れがない人は、借入時から完済時までの利率を店頭金利より年3.0%引き下げるという条件もあります。広告の数字は、条件を満たした人と満たさない人で実際の金利が変わる前提で読む必要があります。
CrowdLoanのヘルプでも、提案が届いた金利は金融機関の審査結果により異なる場合があり、同じ金融機関に給与振込口座や住宅ローンがあるとさらに優遇されるケースがあると説明されています。
表1 ローンの段階別に見た金利の位置づけ(目安。商品ごとに異なるため、実際の扱いは各金融機関の書面で確認してください)
| 段階 | 何が決まるか | まだ変わりうること | 確認する書面・画面 |
|---|---|---|---|
| 広告・商品ページ | 金利の範囲、優遇条件、商品の仕組み | 自分に適用される金利そのもの | 商品概要説明書、商品ページの注記 |
| 事前審査・提案 | 目安の金利と借入可能額 | 本審査後の金利・金額、審査結果そのもの | 事前審査の結果画面やメール(「仮のもの」の注記) |
| 本審査 | 金融機関と保証会社の審査結果、適用予定の条件 | 審査結果の有効期限内に契約しない場合の条件、申込内容に誤りがあった場合の可否 | 審査結果の通知、有効期限の記載 |
| 金銭消費貸借契約 | 契約書に記載された金利、返済方法 | 変動金利の場合は借入後の見直し | 契約書、返済予定表 |
| 融資実行 | 実際に入金される金額、返済の開始 | 変動金利の場合は見直し日以降の金利と返済額 | 入金明細、返済予定表、見直しの通知 |
表の「確認する書面」のうち、最終的に頼りになるのは契約書と返済予定表です。事前審査の画面や広告の数字は、あとから「この金利で借りられると思っていた」と言える根拠にはなりません。一方で、審査結果の通知や申込時の画面は、条件がどう変わったかを説明するときの記録として役に立ちます。
変動金利のローンでは、「新規に借りるときの金利をいつの基準で決めるか」と「借りた後にいつ見直すか」の2つがあります。確認できた2商品の記載を並べます。
表2 変動金利の適用基準(2026年10月15日時点で取得した各社の資料)
| 商品 | 新規の金利の基準 | 借入後の見直し |
|---|---|---|
| 巣鴨信用金庫 フリーローン(融資期間1年超10年以内) | ご融資日現在の「住宅ローン基準金利」を基準とした所定の利率 | 年1回(10月1日)に見直し。変更する場合は12月の返済日の翌日から新利率 |
| 三井住友銀行 フリーローン | 所定の短期プライムレートに連動する長期貸出金利を基準とする利率 | 年2回(4月1日と10月1日)に基準利率を見直し、6月・12月の返済日の翌日から新利率 |
出典は巣鴨信用金庫の商品説明書(2026年4月15日現在)と三井住友銀行の商品ページです。
巣鴨信用金庫の説明書には「新規のご融資に適用する利率についてはご融資日現在の当金庫の「住宅ローン基準金利」を基準とした当金庫所定の利率」とあり、さらに「基準金利が変更となった場合は変更日当日より新利率が適用されます」とあります。この書き方なら、本審査で示された金利が、融資日までに基準金利が動けば変わる余地があると読めます。審査の時点で見た金利と、融資日の金利が同じかどうかは、この種の記載を見ないと分かりません。
三井住友銀行のページには、新規の金利は「決定いたします」とあるだけで、本審査の時点で決まるのか融資の時点で決まるのかは、ページの記載からは分かりませんでした。書かれていないことを推測せず、窓口やコールセンターで「契約書に書かれる金利はどの日の基準で決まりますか」と聞くのが確実です。
たとえば、9月末に本審査の結果を受け取り、実行日が10月以降になる場合を考えます。見直しを4月と10月に行う商品なら、10月1日の見直しの扱いが新規契約にどう影響するのかを確認しておく価値があります。上の表のとおり、見直しのあとの新利率は、返済日の翌日(6月・12月など)から適用される商品が多く、借入直後の返済額には出てこないことがあります。
日本銀行は2026年9月18日に、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を決め、翌営業日の9月24日から適用すると発表しました(日本銀行の資料)。この資料には各銀行の貸出金利への影響は書かれていません。ただ、仮審査から実行までの間に政策金利のような基準になる金利が動けば、金融機関の基準金利の見直しにつながる可能性があります。どの基準がどのタイミングで反映されるかは、金融機関ごとの規定で決まります。政策金利と車のローンの関係は、日銀の利上げとマイカーローン返済額の記事で試算しています。
固定金利なら完済まで変わらない、と考えがちですが、確認できた資料では「何を基準に固定されるか」に差がありました。
日田信用金庫のフリーローン概要(令和7年4月1日現在)には、固定金利で「4段階で同時審査を行い、金利を決定いたします。」「お借入金利は、お申込日の金利が適用されます。」とあり、続けて「金融情勢等により、変更させていただく場合があります。」と書かれています。申込日を基準にしつつ、変更の余地を残す書き方です。
山形銀行のフリーローン商品説明書(2024年7月1日現在)には「固定金利となり、お借入時の適用利率が最終ご返済時まで適用になります。」とあります。借入時の金利が完済まで続くので、変動のリスクは契約後にはありません。ただし、借入時の金利がいくらになるかは、この資料だけでは分からず「窓口までお問い合わせください」とされています。
静岡銀行のフリーローンは固定金利で、事前審査でも金利が示されますが、「あくまでも仮のものであり、実際のご融資条件とは異なる場合があります。」と明記されています。事前審査の結果は1か月間有効で、その期間内に手続きを進める必要があります。
この3件から言えるのは、固定金利でも「申込日の金利」「審査結果で決まる金利」「借入時の金利」のどれが契約に反映されるかは商品ごとに違う、ということです。なお、日田信用金庫と山形銀行の資料は、それぞれ2025年・2024年の日付です。現在の取扱いは各金融機関で確認してください。
仮審査で年3%台と案内されたのに、本審査の後に示された金利が違った場合は、まず次の3点を確認します。
1つ目は、仮審査の画面や通知に「目安」「仮のもの」といった注記があったかどうかです。静岡銀行のように「実際のご融資条件とは異なる場合があります」と明記している例があります。CrowdLoanも、公式FAQで提案された金利や借入可能額は確定ではないと説明しています。2つ目は、本審査で何が変わったかです。借入希望額、返済期間、勤務先や年収の申告内容、他社の借入状況、住宅ローンや給与振込口座といった優遇条件の有無などが、金利に影響する場合があります。3つ目は、示された金利が契約書に書かれる金利なのか、融資日の基準で再び変わるのかです。
納得できない場合は、断る、または別の候補に切り替える選択肢があります。ただし、切り替えには注意点があります。審査結果や提案には有効期間があります。CrowdLoanのヘルプでは、事前審査通過の有効期間はマイカーローンが3か月、それ以外が1か月とされています。また、金融機関に本申込を完了したあとで別の金融機関に変更することはできず、事前審査からやり直す必要があるとされています。やり直しでは、同じ条件で保証会社の審査を通る確約はないとも書かれています。
切り替える前に、最初の申込内容、示された金利と借入可能額、通知の日付を、スクリーンショットやメールで残しておくと、比べるときに「何がどう変わったか」を説明しやすくなります。申込情報は信用情報機関にも記録されます(CICとJICCは照会日から6か月)。申込みを重ねるほど記録も増えるため、闇雲に申し込むより、断る理由と比べる基準を決めてから動くほうが安全です。
書類の提出が遅れるなどして、実行日が当初の予定より後ろにずれることがあります。そのとき確認したいのは、契約書の金利が「契約日の基準」で決まるのか「融資日の基準」で決まるのかです。巣鴨信用金庫のように融資日現在の基準金利が使われる商品では、実行日が動けば金利も動く余地があります。
対策は、契約前に「実行日をずらした場合、金利は変わりますか」と聞き、答えを記録することです。実行日を急ぐ事情がなければ、基準金利の見直し日の前後を避ける選択もあります。逆に、見直し日の直前に実行できそうなら、その日までに実行したほうが有利か不利かは、金利が上がる局面か下がる局面かによって逆になります。どちらになるかは事前に分からないため、「見直し日をまたぐかどうか」を意識して実行日を決めることが、現実的な管理方法です。
金利の差が気になるときのために、仮定の試算を示します。借入100万円、返済5年(60回)、元利均等返済で、年3.0%と年3.5%を比べます。これは実際の商品の金利ではなく、差を見るための仮定です。
月額は「P×r/(1−(1+r)^−n)」で計算しました(Pは借入額、rは年利÷12、nは返済回数)。月額は円未満を四捨五入し、総額は四捨五入後の月額×60回としています。最終回の端数調整は考えていません。結果は次の表のとおりです。
表3 100万円・5年・元利均等返済の仮定の試算
| 年利 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 3.0% | 17,969円 | 1,078,140円 | 78,140円 |
| 3.5% | 18,192円 | 1,091,520円 | 91,520円 |
| 差 | 223円 | 13,380円 | 13,380円 |
差は月に223円、5年で13,380円です。小さく見えますが、借入額や期間が大きければ差も広がります。変動金利で、年3.0%のまま12回返済した後に年3.5%へ見直されたと仮定すると、12回後の残高は約811,802円、残り48回の月額は18,149円になります。総返済額は1,086,780円で、年3.0%のまま続けた場合より8,640円多くなります。見直しの影響は、借入後の見直し日と返済額の再計算の時期によって変わります。
CrowdLoanは、事前審査の結果として複数の金融機関の提案を見られるサービスです。融資の可否と条件は保証会社と金融機関が審査し、クラウドローン自体は融資の審査をしません。事前審査は提携の保証会社(オリエントコーポレーション、三井住友カード)が行い、結果は平日16時までの申込みで当日19時頃、それ以降は翌営業日に届くと公式FAQにあります。
提案される金利や借入可能額は確定ではなく、金融機関の最終審査で変わる場合があります(公式FAQ、ヘルプQ10・Q21)。本申込みは、提案を選んだ金融機関の手続きに移ります。表1でいえば、事前審査・提案の段階にあたり、確定するのは金融機関での審査と契約の段階です。複数の提案を同じ段階で見比べたいときの手段のひとつであり、金利を下げることや審査通過を保証するものではありません。
複数の金融機関の提案を同じ段階で見比べたい人は、CrowdLoanの事前審査を使う方法もあります。提案の金利は確定ではなく、ご融資には金融機関の本審査があります。
同じ銀行に給与振込口座や住宅ローンがあり、その銀行の優遇が大きい人は、取引銀行に直接相談したほうが条件が良いことがあります。資金が必要な日まで日数がない人も、金融機関へ書類を出してから入金まで10日〜2週間程度が目安とされているため、事前審査の結果を待つ時間も含めると間に合わない可能性があります。資金が必要になるのが1か月以上先の人も、事前審査の有効期間(マイカー以外は1か月)が切れてしまうため、時期が近づいてから申し込む形になります。
確定ではありません。CrowdLoanの公式FAQとヘルプQ10は、提案された金利や借入可能額は金融機関の最終審査で変わる場合があると説明しています。
仮審査の結果が「目安」「仮のもの」と明記されている場合、本審査で変わることは前提とされた扱いです。ただし、契約前に示される条件が書面でどうなっているかは必ず確認し、納得できなければ契約しない選択ができます。個別の取引が法令や契約条件に照らして適切かどうかは、金融機関の窓口や公的な相談窓口に確認してください。
山形銀行の説明書では、借入時の適用利率が最終返済時まで適用されると書かれています。一方で、日田信用金庫の概要には「金融情勢等により、変更させていただく場合があります。」という記載もあるため、契約書の文面で確認が必要です。
最終的には金銭消費貸借契約書と返済予定表です。事前審査や本審査の通知は途中経過の記録として残し、契約書の金利と見比べてください。
調査日:2026年10月15日。商品条件や金利は変わりうるため、申込み前に各金融機関の最新の資料を確認してください。
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