銀行のフリーローンの商品ページには「年○%~年○%」としか書かれていません。この幅のどこが自分に適用されるのかは、公表金利を眺めても分からず、審査を受けて初めて見えてきます。契約前に自分の金利の目安を知る方法は、大きく3つあります。個別の銀行に事前審査(仮審査)を申し込む、取引のある銀行に相談する、保証会社の事前審査を経て複数の金融機関から提案を受けるサービスを使う、の3通りです。
この記事では、公表金利の幅が返済額にどれだけ効くかを仮定の試算で確かめたうえで、3つの経路を「手間」「申込時に出す情報」「得られる金利の確度」で比べます。どれを選ぶかは、借りたい時期と取引銀行の有無で変わります。
目次
まず、金利の幅がどの程度の差になるのかを見ておきます。2026年10月15日に確認した、地方銀行2行のフリーローンの記載は次のとおりです。金利は変わりうるため、実際の申込みの際は各行の最新の案内を確認してください。
表1 地方銀行2行のフリーローンの公表金利(2026年10月15日確認)
| 金融機関・商品 | 公表されている金利 | 金利の決まり方(公式記載) | 借入期間 |
|---|---|---|---|
| 静岡銀行 しずぎんフリーローン(2026年5月21日現在の記載) | 固定金利 年4.5%~年14.5% | 「審査結果により当行で決定させていただきます」 | 6か月以上10年以内 |
| 北陸銀行 ほくぎんフリーローン(2026年6月15日現在の記載) | 固定金利 年1.8%~年13.5% | 「審査により決定します」 | 6か月以上10年以内 |
出典は各行の商品ページ・商品概要説明書です。2行の金利を並べたのは幅の大きさを示すためで、どちらが有利かを示す意図はありません。保証の仕組みや借入可能額、対象となる方の条件も異なるため、数字だけでは比べられません。
この幅が返済額にどう響くかを、同じ条件で試算します。以下はすべて仮定の計算で、実際の契約条件ではありません。
表2 借入100万円・返済期間5年(60回)・元利均等・固定金利の場合の試算(仮定)
| 前提とする年利 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 年1.8%(北陸銀行の下限) | 17,440円 | 1,046,400円 | 46,400円 |
| 年13.5%(北陸銀行の上限) | 23,010円 | 1,380,600円 | 380,600円 |
| 年4.5%(静岡銀行の下限) | 18,643円 | 1,118,580円 | 118,580円 |
| 年14.5%(静岡銀行の上限) | 23,528円 | 1,411,680円 | 411,680円 |
計算式は元利均等返済の「月額=P×r/(1−(1+r)^−n)」です。Pは借入額(100万円)、rは年利を12で割った月利、nは返済回数(60)です。毎月の返済額は円未満を四捨五入し、総返済額はその額に60を掛けています。手数料や保証料の別払いがある商品では、その分は含まれません。
北陸銀行の記載の幅で見ると、下限と上限では毎月の返済額が5,570円、総返済額が334,200円違います。静岡銀行の記載の幅でも、毎月4,885円、総額で293,100円の差です。同じ100万円・5年でも、幅のどこに入るかで、総額が30万円前後動く計算になります。
だからこそ、「年1.8%から」「年4.5%から」という下限の数字だけを見て借入計画を立てるのは危険です。下限は、審査の結果いちばん良い条件になった場合の数字にすぎません。自分がどの位置になりそうかを、契約の前に知っておく必要があります。
金利には、段階によって性格の違う数字が出てきます。混ぜて考えると判断を誤るので、整理しておきます。
商品ページの「年○%~○%」です。静岡銀行のページは、金利が6段階(年4.5%、7%、9%、10%、12%、14.5%)あり、審査結果で決まると書いています。幅の中の一点が自分に当てはまるとは限らず、審査で決まるまで分かりません。
静岡銀行のページには「自分に適用される金利と利用限度額が知りたいのですが」という質問があり、かんたん事前審査で融資利率と利用限度額を確認できるとされています。ただし同じ箇所に「あくまでも仮のものであり、実際のご融資条件とは異なる場合があります」とも書かれています。事前審査で出る数字は、契約を約束するものではありません。
実際に適用される金利は、最終の審査を経て決まります。どの時点で金利が確定し、どの書面で確認できるかは、別の記事で扱う論点です。この記事では、確定の前に「どう目安をつけるか」に絞ります。
気になる銀行のフリーローンに、事前審査を申し込む方法です。静岡銀行の例では、口座がなくても事前審査を申し込め、事前審査の時点で準備する書類はないとされています。結果は最短3営業日で、電話またはメールで届くと案内されています(2026年10月15日確認)。事前審査の結果は1か月間有効で、その後に申し込まなくても、無料でキャンセルできるという記載もあります。
この経路の利点は、その銀行の条件を直接確かめられることです。一方で、確かめられるのは1行分にとどまります。複数の銀行を比べたい場合は、銀行ごとに入力と待ち時間が発生します。事前審査の申込みが信用情報機関にどう記録されるかは銀行・保証会社ごとに異なるため、申込み前に各行の案内を読んでください。
給与振込口座や住宅ローンのある銀行は、金利面で優遇を受けられることがあります。三井住友銀行のフリーローン(無担保型)のページには、住宅ローンを利用中で返済の遅延がない場合は、お借入利率を店頭金利より年3.0%引き下げる、という記載があります(リフォーム資金は対象外。2026年10月15日確認)。この商品は幅ではなく、短期プライムレートに連動する変動金利型で、ページには年6.875%と表示されていました。こうした優遇の有無は商品ごとに違うため、取引銀行の窓口や公式案内で確かめるのが確実です。
取引銀行に相談する利点は、優遇の条件や自分の取引状況を踏まえた話ができる点です。弱点は、その銀行1行の条件しか分からないことです。他の金融機関と比べる材料は、自分で集めることになります。
CrowdLoanは、希望条件を登録して提携保証会社の事前審査を受け、通過すると金融機関から融資条件の提案が届く仕組みです。公式サイトでは、事前審査を行うのは提携保証会社(オリエントコーポレーション・三井住友カード)で、クラウドローン自体が融資の審査をするわけではないと説明されています。事前審査の結果は、平日16時までの申込みで当日19時頃、それ以降は翌営業日に届きます(公式FAQ)。
事前審査の段階では、郵送物や電話、勤務先への在籍確認はなく、本人確認書類も不要とされています。提携金融機関は40行超(2026年5月時点、公式発表)です。一度の入力で複数の提案を見られる点が、経路1との違いです。
ただし、提案された金利や借入可能額は確定ではありません。公式FAQには「金融機関での最終審査により、金利や借入可能額が変わる場合があります」とあります。また、保証会社が行う事前審査は信用情報機関に記録が残る旨も公式に記載されています。提案は1つだけ選ぶ仕組みで、本申込みは、選んだ金融機関の手続きに移ります。事前審査を通過しても、金融機関の本審査の結果によっては融資が実行されないことがあります。
表3 自分の金利を契約前に知る3つの経路の比較(2026年10月15日時点の公式記載にもとづく整理)
| 項目 | 個別の銀行の事前審査 | 取引銀行への相談 | 保証会社の事前審査を経る提案サービス |
|---|---|---|---|
| 比べられる金融機関の数 | 申し込んだ1行ごと | 相談した1行 | 複数(提携先から提案) |
| 手間 | 銀行ごとに入力と待ち時間 | 窓口や電話での相談 | 1回の入力でオンライン完結 |
| 得られる金利の確度 | 仮のもの。実際の条件と異なる場合がある | 優遇条件を踏まえた説明が得られる場合がある | 目安。最終審査で変わる場合がある |
| 取引実績の影響 | 銀行による | 優遇が大きい場合がある | 金融機関によっては優遇のケースもある(公式ヘルプ) |
| 主な注意点 | 複数行を比べるには何度も申し込む | 他行との比較は自分で行う | 提案先は保証会社単位で決まり、追加の提案は届かない |
どの経路でも、事前に示される金利は最終的な契約金利とは別物です。違いは、一度に見られる範囲と、そのために使う手間です。
給与振込口座や住宅ローンのある取引銀行がある人は、まず経路2から始めるのが自然です。優遇が大きい銀行では、他の経路で示される数字より有利になる可能性があります。そのうえで、他の選択肢と見比べたければ、経路1や経路3を足します。
特定の1行に決めている人は、経路1で十分です。その銀行の事前審査を受けて、金利と限度額の目安を見ます。
取引銀行がなく、どの銀行が合うかも分からない人は、経路3が候補になります。銀行ごとに申し込むよりも、入力の手間は減ります。ただし、提案の数は人によって異なり、提案が届くことも、金利が下がることも保証されません。
経路は排他的ではありません。取引銀行に聞いたうえで、経路3の提案と見比べる使い方もできます。
事前審査の有効期間は短いので、資金が必要な時期の少し前に動きます。静岡銀行の事前審査は1か月間有効、CrowdLoanの事前審査通過の有効期間はマイカーローンが3か月、それ以外は1か月です。早く取りすぎると、期限が切れてやり直しになります。
金利の差は、総返済額だけでなく返済期間にも関わります。返済期間を延ばせば月々の負担は軽くなりますが、利息の総額は増えます。表2は5年の試算ですが、10年なら利息はさらに増えます。事前審査で示された金利が下限に近くても、期間を長く取りすぎれば総返済額は思ったより大きくなります。
また、何度も事前審査を申し込む場合、信用情報機関に申込みの記録が残るかどうかを確認してください。CICでは申込情報は照会日から6か月間保有されると公表されています。どの会社がどの機関に照会するかは会社ごとに違うので、申込み前に各社の案内を読んでおくと安心です。関連して、仮審査を複数同時に出してよいかはマイカーローンの仮審査を複数同時に申し込んでも大丈夫?でも触れています。
CrowdLoanは、上の3経路のうち経路3にあたります。次のような場合は、他の方法のほうが合うことがあります。
1つめは、給与振込口座や住宅ローンのある取引銀行での優遇が大きい人です。取引銀行の条件のほうが有利になる場合があるため、先にその銀行へ聞くほうが確実です。2つめは、資金が必要な日まで日数がない人です。事前審査の回答に加えて、金融機関に必要書類を提出してから入金まで10日~2週間程度が目安とされているため、数日で資金が必要な場合は間に合わないおそれがあります。通常の有担保住宅ローンやフラット35を探している人も、公式ヘルプによるとCrowdLoanの提供対象外です。リフォーム資金向けのローンは別に扱っています。
国の教育ローンなど公的制度で足りる人や、1か月以内に資金が要らない人も、急いで事前審査を受ける必要はありません。
複数の金融機関の提示条件を、一度の事前審査でまとめて見たい方は、CrowdLoanで事前審査を試せます。提案の到着や金利の引下げを保証するものではなく、本審査は金融機関が行います。
されるとは限りません。静岡銀行・北陸銀行とも、金利は審査によって決まると明記しています。下限は幅の一端で、自分の金利を示す数字ではありません。
断定はできません。静岡銀行は事前審査の結果を「仮のもの」で実際の条件と異なる場合があるとし、CrowdLoanも提案金利は確定ではなく最終審査で変わる場合があるとしています。
静岡銀行は、事前審査後も無料でキャンセルできるとしています。CrowdLoanも、提案から1つを選ぶ仕組みで、事前審査自体の利用は原則無料です。ただし、条件は各社で異なるため、申込み前に確認してください。
同じとは限りません。保証料の扱い、手数料、繰上返済の費用、返済期間の上限なども総支払額に影響します。金利だけでなく、これらも合わせて確認してください。
調査日は2026年10月15日です。金利や商品条件は変わりうるため、申込み前に各社の最新の案内を確認してください。表2の試算は仮定の計算で、実際の契約条件ではありません。
「どの銀行が融資をしてくれるか分からない」をクラウドローンが解決
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