大学の授業料を期限までに用意できないとき、多くの大学には延納や分納の仕組みがあります。ただし名前も条件も大学ごとに違い、全国共通のルールはありません。申請期限を過ぎると使えない制度がほとんどです。
この記事では、2026年10月8日時点で公開されている国立2校(東京大学・筑波大学)と私立3校(早稲田大学・慶應義塾大学・近畿大学)の案内を比べます。そのうえで、学校の制度、給付・減免、教育ローンの順に確認する手順をまとめます。
目次
国立大学では「徴収猶予」「月割分納」、私立大学では「延納」「分納」という呼び方が多く見られます。延納は納入期限を後ろにずらす制度、分納は数回に分けて納める制度です。
同じ言葉でも意味が違うことがあります。慶應義塾大学の学費ページでは、春学期を「分納Ⅰ期」、秋学期を「分納Ⅱ期」と呼んでいます。これは通常の学期ごとの支払いの呼び名で、困ったときの分割制度ではありません。慶應で期限を延ばしたい場合の制度は「延納申請」です。言葉だけで判断せず、自分の大学の学費ページで制度名と申請期間を確かめてください。
| 大学 | 通常の納付期限 | 制度 | 申請期限 | 延ばした後の期限 |
|---|---|---|---|---|
| 東京大学 | 口座振替 前期5月27日・後期11月27日 | 免除申請中の猶予、徴収猶予 | 後期分は免除申請(10月6日まで)、徴収猶予とも受付終了 | 免除の結果通知(1月中旬)後に納付 |
| 筑波大学 | 第1期5月31日・第2期11月30日 | 徴収猶予、月割分納 | 第2期分は2026年10月13日(火) | 徴収猶予は2027年2月末 |
| 早稲田大学 | 口座振替 5月5日・10月5日 | 学費延納願 | 春学期9月20日・秋学期3月31日 | 次学期分と合算して口座振替 |
| 慶應義塾大学 | 振込 4月30日・10月31日 | 延納申請(学費Navi) | 春学期5月15日・秋学期11月13日 | 春学期7月31日・秋学期12月24日 |
| 近畿大学(農学部の例) | 前期5月14日 | 分納(3回)、延納 | 前期4月14日〜30日・後期9月14日〜30日 | 後期は分納11月2日・11月30日・12月21日、延納12月21日 |
東京大学は、授業料を前期と後期に年額の2分の1ずつ納めます。2026年10月1日付の案内では、後期分の引落日は2026年11月27日(金)で、学部学生は321,480円です。2025年度以降に入学した学部生の年額642,960円の半分にあたります。
東京大学では、授業料免除を申請すると結果通知(1月中旬)まで支払いが猶予される仕組みです。それより長い猶予が必要な人は、別に徴収猶予を申請できます。2026年度後期分の免除の申請期間は8月3日〜10月6日で、すでに終わっています。免除の結果通知後に徴収猶予は申請できません。2026年10月8日時点の案内では、月割分納の記載は見当たりませんでした。
筑波大学は、学期ごとに徴収猶予と月割分納の申請を受け付けています。2026年度第2期分の申請期限は2026年10月13日(火)です。結果発表は月割分納が11月中旬、徴収猶予が2027年1月中旬の予定です。10月から翌年3月末まで在籍しない人や、その期間に休学する人は申請できません。
早稲田大学では、期日までに納められない場合、各学期末までに「学費延納願」を出します。春学期は9月20日、秋学期は3月31日が期限です。延納中の学費は、次学期分と合算して口座振替する扱いです。たとえば秋学期分を延納した人は、5月5日に春学期分と合わせて引き落とされます。この振替ができなかった場合、秋学期分は6月30日までに納める必要があります。
慶應義塾大学は、2026年度から学費Naviでの延納申請に変わりました。秋学期は10月中旬から11月13日(金)まで申請でき、最終納入期日は12月24日(木)です。メールや電話、書面では受け付けません。前の学期までの学費が未納の人は申請できません。
近畿大学農学部は、分納と延納のどちらかを選べます。分納は授業料の40%、30%、30%の3回払いです。後期分は11月2日、11月30日、12月21日が期限で、延納は12月21日に一括で納めます。申請は学生本人のIDで行い、保護者用IDではできません。同じ近畿大学でも、生物理工学部の後期分は納入期限が10月14日、申請期間が9月8日〜25日でした。学部やキャンパスで日程が違うことがあります。
延納の手続きをせずに未納が続くと、学籍を失うおそれがあります。早稲田大学の案内では、延納願の提出がない場合、学期末で学費未納による抹籍となります。東京大学も、未納のままだと学則に基づき除籍となることがあると説明しています。
近畿大学農学部の後期分では、2027年1月29日(金)までの納入なら延滞手続と延滞料2,000円が必要です。2月2日(火)以降は復籍手続と復籍料10,000円が必要になります。年度を超えての復籍は原則認められません。延納や分納の期限そのものに遅れないことが大切です。
授業料を減らす制度の中心は、国の高等教育の修学支援新制度です。授業料・入学金の減免と給付型奨学金を組み合わせた制度で、2025年度からは多子世帯の学生について、所得制限なく国が定める一定額まで減免されます。
東京大学では、修学支援新制度の支援対象期間中、支援区分にかかわらず授業料を全額免除しています。これは大学独自の上乗せです。対象者は審査結果の決定後に納付し、先に払って後から返金を受ける方式ではありません。修学支援新制度の対象外の人は、大学独自の免除に申請できます。家計が急変した場合は、給付奨学金の家計急変採用に年間を通じて申し込めます。
気をつけたいのは、延納・分納と減免の組み合わせです。筑波大学では、月割分納を申請すると授業料免除は申請できません。近畿大学では、修学支援新制度を申請中の人を含む減免者は分納を申請できません。公立大学の授業料免除の例は東京都立大学の授業料免除の記事で紹介しています。
まず在籍する学部の学費ページか学生課の案内を開きます。確認するのは、制度の名前、申請期間、申請方法、延ばした後の最終期限、併用できない制度の4点です。ページに年度の表記や更新日があるかも見てください。前年度の案内が残っていることがあります。近畿大学農学部の申請期間は前期・後期とも17日間で、期間外は受け付けないと明記されています。
次に、返す必要のない支援を確かめます。修学支援新制度、大学独自の免除や奨学金、家計急変採用が候補です。減免を申請中だと分納を選べない大学があるため、減免を受けられそうなら、そちらを優先して申請期限を確認します。
延納は支払いを後ろにずらすだけで、金額は減りません。延ばした期限までに入るお金の見込みがなければ、借入を検討することになります。文部科学省の調査では、2025年度入学者の私立大学の平均授業料は968,069円でした。単純に半分にすると、1学期分は約48万円です。
仮に半期の授業料が50万円で、近畿大学のような40%・30%・30%の分納を使うとします。1回目は20万円、2回目と3回目は15万円ずつです。3回目は「授業料の30%他」とあり、授業料以外の費用が加わる場合があります。手元資金で払える回と払えない回を分けて考えると、借りる額を小さくできます。
国の教育ローン(日本政策金融公庫)の金利は、年4.05%(固定、令和8年7月1日現在)です。ひとり親家庭や世帯年収200万円以内の世帯などは0.4%引き下げられます。金利は見直されることがあり、審査があるため必ず借りられるわけではありません。制度の概要は国の教育ローンの記事にまとめています。融資の実行までには日数がかかるため、延ばした後の最終期限から逆算して早めに動くと安心です。
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