2025年までに入居し、すでに確定申告で住宅ローン控除を受けた会社員は、2026年分を勤務先の年末調整で控除できます。勤務先に出すのは、税務署から届く「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と、その下の部分にある「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」です。借入先が「調書方式」に対応していれば、金融機関の年末残高等証明書は添付しません。対応していない「証明書方式」では、年末残高等証明書を添付します。
2025年に入居して2026年に初めて確定申告をした人は、2026年分が年末調整の1年目です。書面で受け取る場合、控除申告書は証明書方式なら10月下旬頃、調書方式なら11月下旬頃に、控除を受ける各年分がまとめて届きます。控除申告書をなくしても、税務署に交付申請書を出せば再交付を受けられます。年末調整に間に合わなかった場合の受け皿は確定申告です。
この記事では、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」と調書方式の案内をもとに、提出書類、時期、記入のしかた、控除額の計算例を整理します。2026年に入居した人の初年度の手続きは扱いません。その場合は年末調整では控除できず、2027年の確定申告が必要です。
目次
国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」は、本年の年末調整で控除を受けられる人を「令和7年分以前の確定申告で住宅借入金等特別控除の適用を受けた人」と説明しています。最初の年分は確定申告が必要で、年末調整で控除できるのは2年目以降です。2025年以前に入居し、入居年分の確定申告を済ませた人が対象になります。
控除を受ける年の12月31日まで、その家に引き続き住んでいることも条件です。転勤などで年の途中から住まなくなった場合、その年は控除を受けられません。令和4年以降に入居した人は、原則として、その年分の合計所得金額が2,000万円を超えると控除を受けられません。令和3年以前に入居した人は3,000万円が基準です。床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の特例居住用家屋などは、1,000万円が基準になります。所得の判定は毎年行われます。給与以外に不動産所得や株式の譲渡益がある人は、年末調整の前に合計所得金額を確認してください。
控除限度額や控除期間は、入居した年と住宅の区分で決まっています。国税庁によると、令和元年以降に入居した人は、税務署から届いた控除申告書で自分の控除限度額を確認できます。2026年の税制改正で変わった借入限度額は、2026年以後に入居した人に適用されるものです。2025年以前に入居した人の限度額は変わりません。
調書方式は、金融機関が税務署に「年末残高調書」を出し、国税当局が本人に年末残高情報を提供する方式です。この方式を使えるのは、借入先が調書方式に対応しており、本人が金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出している場合です。国税庁は、対応した金融機関のうち公表に同意した先を一覧にしています。一覧の注意書きには、年の途中から対応を始めた金融機関もあるため、契約時の書類や金融機関のホームページも確認するよう書かれています。
| 項目 | 調書方式 | 証明書方式 |
|---|---|---|
| 勤務先に出す書類 | 控除申告書兼控除証明書 | 控除申告書兼控除証明書と、金融機関の年末残高等証明書 |
| 年末残高の確認 | 控除証明書に年末残高情報と控除額(見込額)が原則記載される | 年末残高等証明書を見て自分で記入・計算する |
| 書面で届く時期 | 入居2年目の11月下旬頃に、2年目以降の分をまとめて郵送 | 入居2年目の10月下旬頃に、各年分をまとめて郵送 |
| 電子で届く時期 | 毎年11月中旬頃にe-Taxのメッセージボックスへ | 毎年10月頃にe-Taxのメッセージボックスへ |
| 備考欄 | 調書方式に対応する金融機関からの借入れである旨を記入 | 連帯債務がある場合などに記入 |
調書方式でも、控除申告書兼控除証明書の提出は必要です。不要になるのは金融機関の年末残高等証明書だけです。証明書方式の人は、金融機関から届く年末残高等証明書を控除申告書と一緒に出します。証明書が届く時期は金融機関によって違います。
年末調整の書類の締切は、勤務先ごとの決まりです。以下は国税庁が公表している交付時期をもとにした流れです。日付は「頃」と案内されている目安です。初めて控除を受けた年の確定申告書を出した時期によっては、交付時期が変わる場合があります。
| 時期 | すること | 確認する点 |
|---|---|---|
| 10月 | 証明書方式の控除申告書が届く(電子は10月頃、書面は入居2年目の10月下旬頃) | 2026年分(令和8年分)の用紙があるか |
| 10月〜11月 | 証明書方式の人は金融機関から年末残高等証明書を受け取る | 借入先が2つ以上なら、すべての証明書がそろったか |
| 11月中旬〜下旬 | 調書方式の控除申告書兼控除証明書が届く | 年末残高と控除額(見込額)が記載されているか |
| 勤務先の締切まで | 控除申告書に記入し、必要な書類と一緒に提出する | 電子で提出する場合は勤務先が電子の受付に対応しているか |
| 12月の給与など | 勤務先が年末調整を行い、源泉徴収票に控除額が反映される | 源泉徴収票の住宅借入金等特別控除の額 |
勤務先によっては、電子で受け取った控除証明書を電子のままでは受け付けていません。その場合は、国税庁の「QRコード付証明書等作成システム」で書面に出力して提出できます。国税庁が無償で提供する年末調整控除申告書作成用ソフトウェアなどでマイナポータル連携を使うと、控除証明書のデータを取り込んで申告書に自動入力できます。年末残高等証明書のデータは、借入先の金融機関が連携に対応している場合に取り込めます。
控除額は、年末残高に0.7%を掛けて求めます。ただし基になる金額は、年末残高、入居年と住宅の区分で決まる借入限度額、住宅の取得対価の額のうち最も小さいものです。取得対価の額は、国や自治体の補助金や、住宅取得等資金の贈与の特例を受けた金額を差し引いた額です。控除額の100円未満は切り捨てます。2025年入居で新築の省エネ基準適合住宅の人を例に、仮の数字で計算すると次のとおりです。
| 例 | 前提(仮定) | 計算 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 基本 | 借入限度額3,000万円、年末残高2,850万円、取得対価3,600万円 | 2,850万円×0.7% | 199,500円 |
| 繰上返済 | 上の例で、証明書の作成後に300万円を繰上返済し、実際の残高が2,550万円 | 2,550万円×0.7% | 178,500円(予定額より21,000円少ない) |
| 連帯債務 | 年末残高3,900万円、本人の負担割合50% | 1,950万円×0.7% | 136,500円 |
| 端数 | 年末残高21,234,567円 | 148,641.969円の100円未満を切捨て | 148,600円 |
控除額は所得税から引かれます。上の基本の例で住宅ローン控除前の所得税額が15万円なら、所得税から引けるのは15万円までです。残りの49,500円は、翌年度の住民税から引ける場合があります。住民税で引ける上限は、原則として所得税の課税総所得金額等の5%で、97,500円が最高額です。2014年から2021年に入居し、特定取得などに当たる人は、7%・136,500円が上限です。課税総所得金額等を300万円と仮定すると上限は97,500円になるため、49,500円は住民税で引ける計算です。住民税の分は市区町村への申告が要りません。
2026年分は所得税の基礎控除が引き上げられ、12月の年末調整から反映されます。そのため所得税額が前年より小さくなり、控除額の一部が所得税から引ききれない人もいます。令和8年度税制改正の大綱では、2025年までに入居した人の住民税の控除限度額について、基礎控除の引上げに伴う措置を講じるとされました。具体的な扱いは、住民税の通知書や市区町村の案内で確認してください。
調書方式でも、控除証明書に年末残高や見込額が記載されないことがあります。国税庁は、借換えがある場合、2つ以上の金融機関から調書が出ている場合、控除の重複適用を受ける場合、借入先が調書方式に対応していない場合などを挙げています。書面交付を選んだ人は、年末残高が印字されるのは入居2年目分だけです。3年目以降の分は、返済予定表などで実際の年末残高を確かめて自分で記入します。3年目以降も記載済みの証明書が欲しい人は、e-Taxで電子交付に一括同意し、e-Taxでの交付を希望する必要があります。
調書方式の年末残高調書は10月31日までに提出されるため、記録されるのは年末の予定残高です。証明書方式でも、予定額で作られた年末残高等証明書があります。その後に繰上返済をしたり返済が遅れたりして実際の残高と違った場合は、実際の年末残高で正しい控除申告書を出し直す必要があります。調書方式の人は返済予定表などで、証明書方式の人は金融機関に改めて発行してもらった証明書で確認します。
税務署から届く用紙には「平成38年分」と印字されたものがあり、令和8年分として使えます。夫婦の連帯債務では、年末残高に本人の負担割合を掛けた額を書きます。負担割合が記載された控除証明書を添付する場合は、備考欄に連帯債務者の記入を受ける必要はありません。
主たる給与の年末調整だけでは控除額を引ききれないことがあります。国税庁は、確定申告をすれば控除不足額を引ける場合があると説明しています。副業の給与がある人は、年末調整後の源泉徴収票を見て判断してください。
控除申告書や控除証明書をなくしたときは、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を、住所地を管轄する税務署に出して再交付を受けます。提出はe-Taxのほか、書面を窓口に持参するか郵送する方法でもできます。提出時期の定めはありません。ただし再交付には時間がかかるため、勤務先の締切が近いなら早めに申請してください。代理人が窓口で申請するときは、委任状と代理人の本人確認書類が必要です。税務署の窓口の受付時間は、2026年10月1日から原則として午前9時から午後3時までになっています。
年末残高等証明書が勤務先の締切に間に合わない場合は、2027年に確定申告をすれば控除を受けられます。翌年1月31日までに証明書を受け取れたなら、勤務先に出して年末調整をやり直してもらうことも可能です。どちらにするかは、勤務先の給与担当者と相談してください。
| 困っていること | 手続き | 提出先・期限 |
|---|---|---|
| 控除申告書をなくした | 交付申請書を出して再交付を受ける | 住所地の税務署(e-Tax、持参、郵送)。提出時期の定めなし |
| 電子の証明書を勤務先が受け付けない | QRコード付証明書等作成システムで書面に出力 | 勤務先の締切まで |
| 年末残高等証明書が届かない | 確定申告で控除を受ける。または1月31日までに受け取り再計算を依頼 | 勤務先または税務署 |
| 控除証明書に年末残高が載っていない | 返済予定表などで年末残高を確かめて記入 | 勤務先の締切まで |
年末調整で戻る税額は、その年の年末残高と所得税額で決まり、毎年同じ額にはなりません。繰上返済をすると控除額は減りますが、支払う利息も減ります。繰上返済をするかどうかは、減る利息と総返済額で比べて決めてください。リフォームの借入れで控除を受ける場合の要件は、リフォームローンで住宅ローン控除を受けるための要件と必要書類の記事で説明しています。
住宅購入後のリフォームや家具・家電などで別にローンを検討するときは、年末調整の還付を返済の当てにせず、必要な借入額と総返済額で比べてください。CrowdLoanで複数の金融機関のローンを比較して検討できます。審査は各金融機関が行い、借入れの可否や金利、税額控除の効果を約束するものではありません。
調査日:2026年10月11日。控除証明書の交付時期は国税庁の案内による目安です。勤務先の提出期限や電子提出の可否は勤務先に確認してください。
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