2026年に入居した会社員は、2026年分の年末調整では住宅ローン控除を受けられません。控除を受ける最初の年分は、確定申告が必要と決まっているためです。2026年12月の年末調整は勤務先でいつもどおり受け、住宅ローン控除は2027年に令和8年分の確定申告で受けます。源泉徴収された所得税の還付を受ける申告(還付申告)なら、2027年2月15日以前でも提出できます。年末調整で控除を受けられるのは、2年目にあたる2027年分からです。
確定申告では、計算明細書、登記事項証明書、売買契約書や工事請負契約書の写しなどを出します。借入先の金融機関が税務署に年末残高調書を出す「調書方式」なら、自分で年末残高等証明書を用意する必要はありません。調書方式の人は、2026年のうちにe-Taxで情報取得の希望を登録しておくと、年末残高情報を2月中旬に受け取れます。借入限度額は、入居年、新築か既存か、住宅の省エネ性能、子育て世帯かどうかで変わります。一律の金額は決まっていません。
この記事では、国税庁と国土交通省の資料をもとに、入居年と控除を受ける年の関係、2026年入居の借入限度額、必要書類、手続きの順番を整理します。2年目以降の年末調整の手続きは対象外です。
目次
住宅ローン控除は、住宅を取得した年ではなく住み始めた年の分から適用されます。条件は、住宅の取得から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日まで住み続けていることです。国税庁のQ&Aには、年末に住宅を取得して翌年の年明けに入居した例が載っています。この場合、控除は入居した翌年の分から始まります。借入限度額や控除期間を決めるのも、入居した年の制度です。
| ケース | 最初の年分 | 確定申告する時期 | 年末調整で控除できる年 |
|---|---|---|---|
| 2026年中に取得・入居 | 令和8年分(2026年分) | 2027年(還付申告は2月15日以前も提出可) | 2027年分から |
| 2026年12月に引渡し、2027年1月に入居 | 令和9年分(2027年分) | 2028年 | 2028年分から |
| 2025年中に入居し確定申告済み | 令和7年分 | 済み | 2026年分から |
2026年12月に引渡しを受け、年明けに引っ越す人は注意が必要です。入居が2027年になると、最初の確定申告は2028年になり、借入限度額も2027年入居の制度で決まります。引越しの日程は、住宅の取得(引渡し)から6か月以内に収まるように決めてください。
2026年1月1日から2030年12月31日までに入居した人の控除率は、控除期間を通じて0.7%です。令和8年度の税制改正で、省エネ性能の高い既存住宅の借入限度額が引き上げられ、控除期間が13年になりました。子育て世帯と若者夫婦世帯には上乗せがあります。子育て世帯は19歳未満の扶養親族がいる世帯です。若者夫婦世帯は、夫婦のどちらかが40歳未満の世帯です。どちらに当たるかは、入居した年の12月31日時点で判定します。
| 住宅の区分 | 借入限度額(一般) | 借入限度額(子育て・若者夫婦) | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 新築 認定長期優良・低炭素 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| 新築 ZEH水準省エネ | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 新築 省エネ基準適合 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 新築 その他の住宅 | 原則として対象外。2023年末までに建築確認を受けたものなどは2,000万円 | 10年 | |
| 既存 認定長期優良・低炭素 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 既存 ZEH水準省エネ | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 既存 省エネ基準適合 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 既存 その他の住宅 | 2,000万円 | 2,000万円 | 10年 |
床面積は原則40平方メートル以上が条件です。ただし合計所得金額が1,000万円を超える年や、子育て世帯等の上乗せを使う場合は、50平方メートル以上が必要です。床面積が40平方メートル台の住宅では、子育て世帯でも上乗せは使えません。合計所得金額が2,000万円を超える年は、控除そのものを受けられません。夫婦でペアローンや連帯債務を組んだ場合、所得はそれぞれ1人ずつ判定します。
必要な書類は、借入先が調書方式に対応しているかどうかで変わります。調書方式では、金融機関が税務署に年末残高調書を出すため、本人は年末残高等証明書を添付しません。借入先に「住宅ローン控除の適用申請書」を出しているかは、契約書類で確認してください。金融機関によっては、契約書類に申請事項を含めて受け付けています。
| 書類 | 証明書方式 | 調書方式 |
|---|---|---|
| 住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 必要(連帯債務があれば付表も) | 必要。年末残高はマイナポータル等で確認 |
| 年末残高等証明書 | 借入先すべての分が必要 | 不要(調書方式に対応しない借入れがあればその分は必要) |
| 家屋の登記事項証明書 | 床面積の確認に必要。不動産番号の記載で代えられる | 同じ |
| 売買契約書・工事請負契約書の写し | 必要 | 一定の場合は添付を省略できる。省略したら5年間保管 |
| 土地の登記事項証明書・売買契約書の写し | 土地の借入れも控除する場合に必要 | 同じ |
| 補助金の決定通知書など | 補助金を受けた場合に必要 | 同じ |
| 贈与税の申告書の写しなど | 住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合に必要 | 同じ |
住宅の区分に応じた書類も加わります。認定長期優良住宅や認定低炭素住宅は、認定通知書の写しと住宅用家屋証明書などです。ZEH水準省エネ住宅は、住宅省エネルギー性能証明書か建設住宅性能評価書の写しです。新築の省エネ基準適合住宅は、これらのほか、2025年4月1日以後に建築確認を受けた住宅なら建築基準法の検査済証の写しも使えます。既存住宅で1981年12月31日以前に建築されたものは、耐震基準を満たすことの証明書類が必要です。
子育て世帯や若者夫婦世帯の上乗せを受ける場合は、計算明細書に配偶者や扶養親族の氏名、生年月日、個人番号などを記載します。対象の配偶者や扶養親族が全員国外に住んでいる場合は、親族関係書類などを追加で出します。源泉徴収票は申告書への添付が不要です。ただし申告書を作るときに使うので、勤務先から受け取ったら手元に保管してください。
| 時期 | すること | 注意点 |
|---|---|---|
| 2026年12月31日まで | 調書方式の人は、マイナポータルからe-Taxの「情報取得希望」を登録 | 年明けの登録だと年末残高情報の格納が遅れる |
| 2026年12月 | 勤務先で通常の年末調整を受ける | 住宅ローン控除はここでは反映されない |
| 2027年1月〜 | 源泉徴収票、登記事項証明書、契約書の写しなどをそろえる | 証明書方式の人は年末残高等証明書も |
| 2027年2月9日〜12日頃 | 調書方式の年末残高情報がe-Taxのメッセージボックスに届く | 年内に準備した場合の目安 |
| 2027年2月16日〜3月15日 | 一般の確定申告期間。還付申告はこれより前でも提出できる | 確定申告が義務の人は3月15日が期限 |
| 申告書の送信後 | e-Taxマイページの「通知書等の受領方法」で電子を選べる | 2年目以降の控除証明書を電子で受け取る場合 |
| 2027年10月〜11月頃 | 年末調整用の控除申告書兼控除証明書が届く | 2027年分から年末調整で控除 |
国税庁のQ&Aでは、確定申告の義務がない給与所得者は、居住した年の5年後の12月31日まで住宅ローン控除の申告ができると説明しています。2026年入居なら2031年12月31日までです。ただし、副業の所得などで確定申告が義務になっている人は、2027年3月15日が期限です。還付は申告した後に振り込まれるため、書類がそろえば2月15日以前に提出してもかまいません。
控除額は、年末残高、借入限度額、取得対価の額のうち最も小さい金額に0.7%を掛け、100円未満を切り捨てて求めます。補助金を受けたときや、親などからの資金援助で住宅取得等資金の贈与の特例を使ったときは、その金額を取得対価から引いてから比べます。以下は仮の数字で計算した例です。実際の所得税額は、申告書の計算で確かめてください。
| 例 | 前提(仮定) | 計算 | 控除額 |
|---|---|---|---|
| A 新築ZEH・子育て | 借入限度額4,500万円、年末残高4,200万円、取得対価4,800万円 | 4,200万円×0.7% | 294,000円 |
| B 新築ZEH・一般 | Aと同じ住宅で上乗せなし(借入限度額3,500万円) | 3,500万円×0.7% | 245,000円 |
| C 既存の省エネ基準適合 | 年末残高2,600万円。一般は限度額2,000万円、子育て等は3,000万円 | 2,000万円×0.7%/2,600万円×0.7% | 140,000円/182,000円 |
| D 補助金あり | 新築認定住宅で取得対価4,000万円、補助金100万円、年末残高3,950万円 | 3,900万円×0.7% | 273,000円 |
所得税から引ききれない分は、翌年度の住民税から引けます。住民税で引ける額は、所得税の課税総所得金額等の5%か97,500円のどちらか低いほうまでです。例Aで住宅ローン控除前の所得税額を18万円、課税総所得金額等を380万円と仮定します。所得税から18万円を引き、残りは114,000円です。住民税の上限は380万円の5%にあたる19万円ですが、97,500円が最高額なので、住民税から引けるのは97,500円です。残りの16,500円はどちらからも引けません。控除額の計算上の上限まで戻るとは限らないため、家計の見通しには所得税と住民税の実額を使ってください。住民税の分について、市区町村への申告は要りません。
勤務先に住宅ローンの書類を出しても、2026年分の年末調整では控除されません。年末調整と確定申告は役割が違います。年末調整は勤務先が給与の所得税を精算する手続きで、住宅ローン控除の最初の年分は本人が税務署に確定申告をします。2年目以降に使う控除申告書が税務署から届くのは、確定申告をした後です。
2026年にふるさと納税をしてワンストップ特例を申請していても、住宅ローン控除のために確定申告をすると特例は適用されません。寄附金控除も確定申告書に入れてください。医療費控除がある人も同じ申告書にまとめます。
入居時に結婚していても、12月31日時点で離婚していれば若者夫婦世帯には当たりません。12月31日時点で妊娠中の場合は、19歳未満の扶養親族がいることにならず、子育て世帯の要件は満たしません。ただし、夫婦のどちらかが40歳未満なら若者夫婦世帯として適用を受けられます。
マイナンバーカードを使わない人は、マイナポータルで年末残高情報を受け取れません。その場合は、返済予定表などで年末残高を確認して申告書に書きます。借入れが2本以上ある人や、調書方式に対応しない借入先がある人も、書類の組み合わせを確認してください。
借入限度額は控除の計算に使う上限で、借りるべき金額の目安ではありません。控除額は年末残高に応じて毎年変わり、所得税と住民税の額によっては全額を使えません。住宅購入の費用全体は、住宅購入の登記費用の記事のように諸費用まで含めて見積もり、必要な借入額と総返済額から決めてください。入居後に増改築をして借入れをする場合の控除の要件は、リフォームローンと住宅ローン控除の記事にまとめています。
入居後のリフォームや家具・家電の購入で別にローンを検討するときも、還付の見込みを返済の当てにせず、必要な借入額と総返済額で比べてください。CrowdLoanで複数の金融機関のローンを比較して検討できます。審査は各金融機関が行い、借入れの可否や金利、税額控除の効果を約束するものではありません。
調査日:2026年10月11日。令和8年分の確定申告の振替日など、公表前の事項は国税庁の発表で確認してください。必要書類は住宅の区分や借入れの状況で変わるため、最終的には税務署で確認してください。
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