ひとり親が看護師や保育士などの資格を取るために学校へ通う間、生活費を支える国の制度が「高等職業訓練促進給付金」です。所管は厚生労働省からこども家庭庁に移り、2026年10月8日時点ではこども家庭庁のひとり親家庭等関係のページで案内されています。
この記事では、2026年度の給付額と要件を国の資料で整理し、自治体ごとの違いを具体例で示します。そのうえで、給付金、自治体の貸付、学校の制度、教育ローンの順に資金の組み立て方を説明します。
目次
こども家庭庁の案内では、対象は児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準にあるひとり親です。所得水準の目安は、子ども1人の場合で年収385万円未満と例示されています。所得水準を超えても、1年に限り引き続き対象になります。
ほかに、養成機関で6か月以上のカリキュラムを修業して資格取得が見込まれること、仕事や育児と修業の両立が難しいと認められることが要件です。
| 区分 | 住民税非課税世帯 | 住民税課税世帯 |
|---|---|---|
| 訓練期間中の月額 | 10万円 | 70,500円 |
| 最後の1年間の月額(4万円増額) | 14万円 | 110,500円 |
| 修了支援給付金(修了時に1回) | 5万円 | 25,000円 |
支給対象期間は修業する期間で、上限は4年です。准看護師の養成機関から引き続き看護師の養成機関に進む場合は、上限が5年になります。令和8年度予算資料には、この5年への延長が2026年度の拡充として載っています。
以前は1年以上の修業が必要で、6か月以上への緩和は令和5年度末までの時限措置でした。令和6年度予算資料で、この緩和と、6か月以上の訓練を通常必要とする民間資格への対象拡大が恒久化されています。2026年度も要件は6か月以上で、終了予定の特例ではありません。
国の案内に挙がる例は、看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師、製菓衛生師などの国家資格です。シスコシステムズ認定資格やLPI認定資格といったデジタル分野の民間資格も例示されています。実際の対象資格は、地域の実情に応じて実施自治体が定めます。
2026年度には「高等職業訓練促進継続給付金」が新設されました。給付金の受給中に子どもが20歳になっても、引き続き子どもを扶養していれば、同じ額を受け取りながら修業を続けられます。支給期間は、もとの給付金と通算して上限4年です。
2026年9月に公表された令和9年度概算要求の資料では、給付金と継続給付金の月額について「見直しを検討」と書かれています。2026年10月8日時点で、2027年度の月額は公表を確認できません。2027年春に入学する場合も、現時点では2026年度の額をもとに考え、予算成立後に自治体へ確認してください。
実施主体は都道府県、市(特別区を含む)、福祉事務所設置町村です。こども家庭庁は、制度を設けていない自治体に住んでいる場合は対象にならないと注意しています。手続きや対象資格は自治体ごとに異なるため、ここでは2市の公式案内を例として紹介します。ほかの自治体に当てはまるとは限りません。
さいたま市は、申請前の事前相談を必須としています。相談では意欲や資格取得の見込み、生活状況を聞いたうえで支給の必要性を審査し、必要がないと判断される場合もあると明記しています。対象者の要件には、以前に給付金を受けていないことや、原則として通学制の養成機関に通うことが含まれます。対象資格には看護師や保育士のほか、教育職員、二級建築士、歯科技工士なども並んでいます。
神戸市は、2026年9月2日更新のページで、区の保健福祉課での事前相談を求めています。支給は申請した月からです。入学から申請までが遅れると、その分の月は受け取れない書き方になっています。修了支援給付金は、修了日の翌日から30日以内の申請が必要です。准看護師から看護師へ進む場合は、看護師の養成機関に入学したあとで改めて申請するよう案内しています。
入学を決める前に、住んでいる自治体の窓口で、対象資格に入っているか、相談の予約時期、申請の締切を確認しておくと安心です。
仮に3年課程の看護師養成所に通い、3年間とも要件を満たしたとします。住民税非課税世帯なら、1〜2年目が10万円×24か月で240万円、3年目が14万円×12か月で168万円になり、合計408万円です。修了支援給付金5万円を足すと413万円です。
同じ条件で住民税課税世帯なら、70,500円×24か月で169万2,000円、110,500円×12か月で132万6,000円になり、合計301万8,000円です。修了支援給付金25,000円を足すと304万3,000円です。在学中に課税状況が変われば、月額も変わり得ます。
給付金は生活費の支援なので、入学金や教材費などのまとまった出費には足りないことがあります。そこで、給付金を受けている人向けに「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付」があります。実施主体は都道府県と指定都市、またはそこが認めた社会福祉協議会などの法人です。
令和8年度予算資料によると、入学時の入学準備金は50万円、修了して資格を取ったときの就職準備金は20万円です。保証人がいれば無利子、いなければ有利子です。修了から1年以内に資格を生かして就職し、貸付を受けた自治体の区域内などで5年間続けて従事すると、返還が免除されます。
神戸市社会福祉協議会の例では、免除の対象を週20時間以上の資格が必要な業務としています。また、保育士修学資金貸付や介護福祉士等修学資金貸付などとは併用できないと案内しています。どちらを使うかで返還免除の条件も変わるため、比べてから選びましょう。
都道府県などが貸し付ける母子父子寡婦福祉資金にも、親自身の資格取得に使える資金があります。こども家庭庁の資料(令和8年4月)では、技能習得資金が月額68,000円以内、特別な場合は一括816,000円以内です。保証人がいれば無利子、いなければ年1.0%です。資格を生かして就職するときの被服や通勤用品には、就職支度資金(一般110,000円)があります。
同じ福祉資金の「修学資金」は、扶養している子どもの進学に使うものです。親が自分の学費に使う資金ではない点に気をつけてください。
看護学校などには、学校独自の授業料減免や分納、病院や自治体の修学資金があります。修学資金は、卒業後に指定の施設で一定期間働くと返還が免除される仕組みが多い一方、勤務先や期間が決められます。内容は学校や運営主体ごとに違うため、募集要項や学校説明会で確認してください。
給付金と貸付、学校の制度を組み合わせても足りない分に限って、教育ローンを考えます。日本政策金融公庫の国の教育ローンは、修業年限3か月以上の専修学校や各種学校も対象です。公庫のよくある質問では、成人で安定した収入があり独立して生計を立てている人なら、社会人本人が申込人になれると説明しています。
金利は年4.05%(固定、令和8年7月1日現在)です。母子家庭や父子家庭、世帯年収200万円以内の人などは0.4%低くなり、保証基金を使う場合の保証料も通常の3分の2になります。金利は金融情勢で変わります。審査があるため、希望額を借りられるとは限りません。制度の全体像は国の教育ローンの記事で紹介しています。
民間の教育ローンは金利や審査基準が金融機関ごとに違います。返済が始まる時期と就職後の収入見込みを合わせて、毎月の返済額が無理のない範囲かを確かめてから借りましょう。
銀行や信用金庫の教育ローンをまとめて比べたい場合は、クラウドローンも選択肢になります。希望額などを登録すると、複数の金融機関から借入条件の提案を受け取れるサービスです。融資には各金融機関の審査があり、提案どおりに借りられるとは限りません。
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