銀行の変動金利型教育ローンは、金利が上がると半年ごとの見直しで適用金利が上がり、返済額が増える時期は商品の「返済額見直しルール」で決まります。毎回返済額を再計算する商品なら数か月後に増え、5年ごとに見直す商品なら返済額は据え置かれたまま利息の割合が増えます。
2026年は短期プライムレートの引上げが続いています。三菱UFJ銀行は2026年11月2日に短期プライムレートを2.375%から2.625%へ改定すると発表しました。変動金利で借りるなら、上昇しても払える返済額かを先に確かめてください。
この記事では、銀行・労働金庫の変動金利型教育ローン3商品の見直しルールと、200万円・10年で金利が上がった場合の返済額を計算します。金利は2026年10月8日時点の公式資料で確認しました。
目次
変動金利のリスクは借入額が大きいほど重くなります。まず給付奨学金や授業料減免の対象かを確認し、ローンは不足分だけにしてください。制度の概要は給付奨学金・多子世帯の授業料減免・授業料後払い制度の解説にまとめています。
そのうえで、固定金利の国の教育ローンと銀行の変動金利型を比べます。金利水準の比較は教育ローンの金利比較の記事に任せ、この記事では金利が動いたときの返済額の変わり方に絞ります。
3商品とも、適用金利の見直しは年2回(4月1日・10月1日が基準日)です。違いが大きいのは、返済額をいつ変えるかです。
| 商品 | 現在の金利 | 基準となる金利 | 返済額の見直し |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 ネットDE教育ローン | 年4.975%(2026年10月1日現在) | 当行の短期プライムレート連動長期貸出金利 | 5年ごとに見直し。増額は従来の125%まで(5年ルール・125%ルール) |
| ドコモSMTBネット銀行 教育ローン | 基準金利 年4.025%~5.225%、引下げ適用後 年3.025%~4.725%(2026年10月1日時点) | 当社の短期プライムレート | 金利見直しに伴い年2回見直し |
| 中央労働金庫 教育ローン[証書貸付型] | 団体会員の構成員 年3.1%、生協会員 年3.3%(金利引下げ対象はそれぞれ年2.9%・3.1%。2026年10月1日更新) | 労金変動型住宅ローンプライムレートの変動幅と同率 | 金利変更の都度再計算。減額になる場合は返済額を据え置き、期間を短縮 |
中央労働金庫の変動金利は、団体会員の構成員と生協会員だけが選べます。それ以外の人は固定金利のみです。ドコモSMTBネット銀行は、短期プライムレートが大幅に変動した場合は基準日以外にも金利を見直すことがあるとしています。
ドコモSMTBネット銀行と中央労働金庫の資料には、住宅ローンのような125%の上限は書かれていません。金利が上がった分は、次の返済額にそのまま反映されると考えてください。
短期プライムレートが改定されても、借入中の金利がすぐ変わるわけではありません。4月1日時点の基準金利で見直した金利は6月の約定返済日の翌日から適用され、10月1日時点の分は12月の約定返済日の翌日から適用されます。
中央労働金庫の資料では、新しい返済額は4月見直し分が7月の返済分から、10月見直し分が翌年1月の返済分から適用されます。三菱UFJ銀行も、見直し後の利率は7月・1月の返済分から反映すると案内しています。
三菱UFJ銀行の2026年11月2日の改定を例にすると、借入中の人に関係するのは次の基準日である2027年4月1日です。ただし同行の基準は「短期プライムレート連動長期貸出金利」なので、上げ幅が短期プライムレートと同じになるかは公表資料で確認できませんでした。
三菱UFJ銀行の商品は、金利が変わっても5年間は返済額が変わりません。その間は毎月の返済に占める利息が増え、元金の減りが遅くなります。最終の返済額変更以降に金利が上がると、未払利息や元金の一部が残る場合があり、その場合は最終返済日に一括で払います。
ここからは仮定の試算です。200万円を10年(120回)の元利均等返済で借り、当初金利を三菱UFJ銀行ネットDE教育ローンの2026年10月1日現在の年4.975%とします。25回目の返済から金利が0.5%または1.0%上がり、その後は変わらないと置きました。
毎月返済額は「借入額×月利×(1+月利)^回数÷((1+月利)^回数−1)」、月利は年利÷12で求め、上昇後は残高と残り回数で再計算しました。端数処理はせず、結果を1円単位に四捨五入しています。
実際には、上で説明した基準日と適用日の関係で、上昇から反映まで数か月ずれます。保証料・事務手数料は含めていません。
| ケース | 当初の毎月返済額 | 上昇後の毎月返済額 | 総返済額 | 上昇なしとの差 |
|---|---|---|---|---|
| 上昇なし(年4.975%のまま) | 21,189円 | ― | 2,542,641円 | ― |
| +0.5%・毎回再計算型 | 21,189円 | 25回目から21,590円 | 2,581,121円 | +38,480円 |
| +0.5%・5年ルール型 | 21,189円 | 61回目から21,888円 | 2,584,609円 | +41,968円 |
| +1.0%・毎回再計算型 | 21,189円 | 25回目から21,995円 | 2,620,036円 | +77,395円 |
| +1.0%・5年ルール型 | 21,189円 | 61回目から22,607円 | 2,627,762円 | +85,122円 |
| 参考:国の教育ローン 年4.05%(固定) | 20,297円 | 変わらない | 2,435,591円 | ― |
毎回再計算型は、上昇直後から返済額が増えます。+1.0%なら毎月806円の増加です。5年ルール型は60回目まで返済額が変わらない代わりに、61回目からの増加が+1.0%で1,418円と大きくなり、総返済額も再計算型より多くなります。
5年ルール型では、24回返済後の残高1,675,256円に対し、25回目の利息は上昇前の6,945円から、+1.0%で8,341円に増えます。同じ21,189円を払っても、元金に回る額はその分減ります。この試算の上げ幅では、125%の上限には届きませんでした。
在学中に元金を据え置いて利息だけを払う場合、金利上昇は毎月の支払いに直接表れます。200万円を据え置くと、年4.975%で月8,292円、+0.5%で月9,125円、+1.0%で月9,958円です(200万円×年利÷12、四捨五入)。
据置期間中は元金が減らないため、卒業後に返済が始まる時点の金利で元利返済額が決まります。据置の仕組みと返済開始時期は教育ローンの返済はいつからかの記事で確認できます。
2026年10月8日時点では、変動金利型でも金利が国の教育ローンの固定金利より高い商品があります。三菱UFJ銀行の年4.975%は、国の教育ローンの年4.05%を上回っており、試算の毎月返済額は892円多くなります。変動だから低いとは限らないため、借りる時点の金利を必ず並べてください。
中央労働金庫のように、変動年3.1%と固定年3.5%(10年以内、団体会員の構成員)を同じ金融機関で選べる場合もあります。金利差0.4%が数年で埋まる上昇を許容できるかが判断の基準です。返済期間が短く、繰上返済で早く完済できる見込みがあるなら、変動を選ぶ余地は大きくなります。
変動を選ぶなら、毎月返済額が+1.0%上昇後の水準になっても家計が回るかを試算しておきます。差額分を毎月積み立て、金利が上がったら繰上返済に充てる方法もあります。
借入先の商品説明書で、次の3点を確認してください。基準となる金利の名称と見直しの基準日、返済額の見直し方法(毎回か5年ごとか、上限の有無)、元金据置中の利息の扱いです。
国の教育ローンの金利は年2回(5月と11月の1日前後)見直されますが、借入後は完済まで固定です。お借入金利は実際の借入日の金利が適用されます。国の教育ローンの金利と申込方法は国の教育ローンが年4.05%の記事にまとめています。
| 支払い方法 | 金利 | 金利上昇時の影響 | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 国の教育ローン | 令和8年7月1日現在 年4.05%(固定)。交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭、世帯年収200万円(所得132万円)以内、子ども3人以上かつ世帯年収500万円(所得356万円)以内は▲0.4% | 借入後は完済まで変わらない | お借入金利は実際の借入日の金利。保証料が別途かかる |
| 銀行・労働金庫の変動金利型教育ローン | 商品・条件により異なる(上表参照) | 年2回の見直しで上がる。返済額の変わり方は商品ごとに違う | 返済額見直しルール、上限の有無、事務手数料 |
| 学校提携ローン | 提携先の信販会社・金融機関の条件による | 契約条件による | 募集要項と契約書で金利の種類を確認する |
変動金利型と固定金利型の教育ローンを並べて比べたい場合は、複数の金融機関のローンを比較して検討できるサービスCrowdLoanを使う方法もあります。審査は各金融機関が行い、借入れの可否や金利を約束するものではありません。
調査日:2026年10月8日。金利と商品条件は変更される場合があります。申込前に各公式ページと商品説明書で最新の内容を確認してください。
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