国の教育ローン(日本政策金融公庫の教育一般貸付)は、世帯年収が子どもの人数ごとの上限以内の保護者が対象です。上限は子ども1人で790万円、2人で890万円です。子どもが2人以内なら、8つの要件のどれか1つに当てはまれば上限が990万円まで緩和されます。
つまり「上限を少し超えた」家庭でも、自宅外通学や返済負担率30%超などに該当すれば申し込める可能性があります。990万円も超える場合や要件に当てはまらない場合は、公表条件に年収の上限がない銀行の教育ローンを比べることになります。
この記事では、上限と緩和要件の判定手順、要件ごとの追加書類、上限を超えたときの借入先の選び方を整理します。数字は2026年10月8日時点の公庫・各行の公式資料で確認したものです。
目次
年収が国の教育ローンの上限付近でも、すべての支援が対象外とは限りません。文部科学省によると、大学等の授業料・入学金の減免は、扶養する子どもが3人以上の世帯なら所得制限なく国が定める額まで受けられます。
貸与型の奨学金も、ローンより先に検討する価値があります。JASSOの貸与奨学金は学生本人が借りて返す制度で、親名義のローンとは返済者が違います。制度の内容はJASSO貸与奨学金の第一種・第二種と入学時特別増額で確認できます。
なお、JASSOの入学時特別増額貸与は、国の教育ローンを申し込んで融資を受けられなかった世帯が対象で、公庫の「ご融資できない旨の通知」が必要です。公庫は収入(所得)制限を超えている人にはこの通知を出さないと明記しています。上限超過の家庭はこの経路を前提にしないでください。
上限は「世帯で扶養している子どもの人数」で決まります。公庫のFAQでは、子どもの数に年齢や就学の有無は問わないとしています。大学院生や中学生でも、扶養していれば1人として数えます。
| 扶養している子どもの人数 | 世帯年収の上限(給与) | 事業所得者の上限(所得) | 990万円への緩和 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 790万円 | 600万円 | 要件該当で990万円(790万円) |
| 2人 | 890万円 | 690万円 | 要件該当で990万円(790万円) |
| 3人 | 990万円 | 790万円 | 緩和の記載なし |
| 4人 | 1,090万円 | 890万円 | 緩和の記載なし |
| 5人 | 1,190万円 | 990万円 | 緩和の記載なし |
世帯年収には世帯主のほか配偶者等の収入も含まれます。共働きの場合は、申込人だけでなく夫婦の年収を合計して上限と比べます。給与所得の人は年収、事業所得の人は表の括弧内の所得と比べます。
年金収入の扱いと、給与と事業所得の両方がある場合の合算方法は、公庫の公表資料で確認できませんでした。該当する人は申込前に教育ローンコールセンターで、どの金額を上限と比べるか確認してください。
年収は原則として前年1年間の金額で確認されます。一方、FAQには「今年の世帯年収が上限以内となる見込みのある方は、ご利用いただける場合がある」との記載もあります。退職や減収で今年の年収が下がる見込みなら、その根拠となる書類を含めて事前に相談するのが確実です。
子どもが2人以内の世帯は、次の8要件のいずれか1つに当てはまれば上限が990万円(事業所得者は790万円)になります。複数に当てはまっても、追加書類は1つの要件分で足ります。
| 要件 | 内容 | 公庫が示す追加書類 |
|---|---|---|
| 1 | 勤続(営業)年数が3年未満 | 個別の記載なし |
| 2 | 居住年数が1年未満 | 個別の記載なし |
| 3 | 世帯のいずれかの人が自宅外通学(予定)者 | 合格通知書・学生証など+住民票の写し・賃貸借契約書など |
| 4 | 申込人または配偶者が単身赴任 | 家族と単身赴任先それぞれの住民票の写しなど |
| 5 | 今回の融資が海外留学資金 | 個別の記載なし |
| 6 | 申込人の年収に占める借入金返済の負担率が30%超 | 個別の記載なし |
| 7 | 親族などの要介護(要支援)認定者の介護費用を負担 | 認定通知書や介護保険証など |
| 8 | 大規模な災害により被災 | り災証明書等(原本) |
要件3は、今回借りる子ども本人に限らず「世帯のいずれかの方」が自宅外通学なら当てはまります。上の子が下宿中で、下の子は自宅から通う場合も対象になり得ます。
要件1・2・5・6については、必要書類ページに個別の追加書類が載っていません。通常の提出書類(源泉徴収票、住民票、返済状況がわかる通帳など)で確認されるのかどうかは公表資料からは分からないため、申込時に確認してください。
要件8の災害特例は、対象となる災害と取扱期間が公庫の一覧(2026年10月1日現在)に載っています。災害特例で緩和を受ける場合はインターネット申込を利用できず、教育ローンコールセンターへの連絡が必要です。
要件6の負担率は「今後1年間の借入金返済額÷年収(所得)」で計算します。分母は世帯年収ではなく借入申込人本人の年収です。世帯年収で上限を超えていても、申込人本人の返済負担が重ければ緩和の対象になり得ます。
次の仮定で計算します。申込人の給与年収600万円、配偶者のパート年収220万円、扶養している子どもは高校3年生の1人です。世帯年収は600万円+220万円=820万円で、子ども1人の上限790万円を30万円超えています。
| ケース(仮定) | 今後1年間の返済額 | 負担率(÷600万円) | 要件6 |
|---|---|---|---|
| 住宅ローン月12万円+自動車ローン月3万円 | 180万円 | 30.0% | 該当しない(30%ちょうど) |
| 住宅ローン月13万円+自動車ローン月3万円 | 192万円 | 32.0% | 該当する |
1つ目のケースは(12万円+3万円)×12か月=180万円で、180万円÷600万円=30.0%です。要件は「30%超」なので、ちょうど30%では当てはまりません。2つ目は(13万円+3万円)×12か月=192万円、192万円÷600万円=32.0%で当てはまります。
今後1年間の返済額に、これから申し込む教育ローン自体の返済を含めるかどうかは、公表資料に記載がありませんでした。仮に200万円を年4.05%・10年(120回)の元利均等で借りると、毎月返済額は200万円×月利×(1+月利)^120÷((1+月利)^120−1)、月利=4.05%÷12で約20,297円です。
これを1つ目のケースに加えると年間約204万円、負担率は約34.1%になります。含めるか含めないかで判定が変わる世帯は、申込前に公庫へ計算方法を確認してください。試算は保証料を含めていません。
2人目の子がいる場合の例も見ておきます。子ども2人で世帯年収900万円なら上限890万円を10万円超えますが、上の子が下宿して大学に通っていれば要件3に当てはまり、上限990万円の範囲に入ります。
子どもが2人以内で990万円を超える世帯や、どの要件にも当てはまらない世帯は、国の教育ローンを申し込めません。この場合は銀行の教育ローンを比べます。下の2行の商品は、年収の「下限」を設けることはあっても、公表条件に上限は書かれていません。
| 項目 | 三菱UFJ銀行 ネットDE教育ローン | りそな銀行 りそな教育ローン(証書貸付タイプ) |
|---|---|---|
| 年収の条件 | 前年度税込年収(事業所得は申告所得)200万円以上。年金収入のみは対象外 | 継続安定した収入があれば年収・勤続年数の条件なし |
| 勤続年数 | 1年以上 | 条件なし |
| 借入額 | 30万円以上500万円以内(医歯薬系等は1,000万円以内) | 10万円以上1,000万円以内(医・歯・薬・獣医学部は2,000万円以内) |
| 期間 | 6か月以上10年以内 | 1年以上14年以内 |
| 金利 | 変動金利(保証料込) | 変動金利(保証料は金利に含む) |
| その他 | 1回の申込は1年度分が上限。原則、就学者1人につき1件 | 団体信用生命保険は金利年0.3%上乗せで任意加入 |
どちらも変動金利で、適用金利は各行の金利一覧と審査で決まります。国の教育ローンは令和8年7月1日現在で年4.05%(固定)ですが、実際の借入日の金利が適用されます。固定か変動かも含めて、同じ借入額・期間で毎月返済額を比べてください。
りそな銀行の商品概要説明書(2026年5月18日現在)は、当社所定の住宅ローンを利用中なら店頭表示金利から年2.0%引き下げるとしています。住宅ローンを借りている銀行に教育ローンがあれば、優遇の有無を確認する価値があります。銀行ごとの金利の比べ方は教育ローンの金利比較にまとめています。
判定は次の順で進めると迷いません。まず扶養している子どもの人数で上限を決め、夫婦等の年収を合計して比べます。超えていれば8要件を1つずつ確認し、当てはまる要件の書類を準備します。
前年の年収で超えていても今年の見込みが下がる場合、年金や事業所得がある場合、負担率の計算に新しい教育ローンを含めるか迷う場合は、自己判断で申し込まずにコールセンターへ確認してください。審査の考え方は教育ローンの審査のポイント、春の入学に向けた申込時期は国の教育ローンの2027年春入学の申込み時期で解説しています。
上限以内でも、審査の結果で希望額を借りられないことがあります。必要額から給付や奨学金を差し引き、不足分だけを借りる計画にしてください。
| 支払い方法 | 年収の条件 | 金利の型 | 向いている世帯 |
|---|---|---|---|
| 国の教育ローン | 子どもの人数別の上限あり(2人以内は要件で990万円まで緩和) | 固定 | 上限以内、または緩和要件に当てはまる世帯 |
| 銀行の教育ローン | 下限を設ける商品あり。上限は公表条件にない | 変動が中心(商品による) | 上限を超える世帯、借入額が大きい世帯 |
| 学校提携ローン | 提携先の信販会社等の基準による | 商品による | 学校の案内で手続きをまとめたい世帯 |
| 大学の延納・分納 | 大学の基準による | 借入ではない | 納付時期をずらせば足りる世帯 |
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調査日:2026年10月8日。制度・金利・商品条件は変更される場合があります。申込前に各公式ページで最新の内容を確認してください。
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