設備資金は機械や営業車両の購入、店舗の改装に使うお金です。運転資金は仕入や人件費など、事業を続けるために繰り返し出ていくお金を指します。日本政策金融公庫(国民生活事業)の一般貸付では、返済期間は運転資金が5年以内、設備資金が10年以内です。融資限度額はどちらも4,800万円です。
設備資金を申し込むときは、公庫では見積書の用意を求められます。借りたお金は、申し込んだ使いみちにだけ使うのが前提です。使いみちを無断で変えると、金融機関によっては一括返済を求められる場合があります。この記事では、定義と返済期間の違いを一次資料で確かめます。申込から支払いまでの手続きと、使途違反のリスクも順に見ていきましょう。
目次
全国信用保証協会連合会は、保証の対象となる資金を運転資金と設備資金に限っています。同連合会の説明では、運転資金は「商品や材料を購入する仕入資金、人件費など、事業を維持するために必要な資金」です。設備資金は「機械や営業車輌の購入資金、店舗の改装資金など」とされています。生活費や住宅購入資金、投機のための資金は対象外です。
区別の目安は、お金がどう回収されるかです。運転資金は仕入や給与として出ていき、売上の入金で短い期間に戻ってきます。設備資金で買った機械や内装は、何年も使いながら少しずつ利益を生むものです。この回収の速さの違いが、返済期間の違いにつながっています。
公庫の一般貸付で、資金の種類ごとの条件を並べると次のとおりです。特定設備資金は公庫が定める区分で、対象になるかは公庫に確認が必要です。
| 資金の種類 | 融資限度額 | 返済期間 | うち据置期間 |
|---|---|---|---|
| 運転資金 | 4,800万円 | 5年以内(特に必要な場合7年以内) | 1年以内 |
| 設備資金 | 4,800万円 | 10年以内 | 2年以内 |
| 特定設備資金 | 7,200万円 | 20年以内 | 2年以内 |
利率は返済期間や担保の有無によって変わり、審査の結果、希望に沿えない場合もあります。信用保証協会の保証付き融資では、期間は利用する制度によって異なります。たとえば東京信用保証協会の案内(2026年3月現在)では、東京都制度融資の創業融資の融資期間は運転資金7年以内、設備資金10年以内です。ほかの制度の期間は、利用する協会や金融機関に確かめましょう。
同じ金額でも、返済期間によって月々の負担は大きく変わります。ここでは600万円を年4.05%の元利均等返済で借りると仮定しました。4.05%は、公庫国民生活事業の基準利率(無担保・税務申告2期以上、令和8年10月1日現在)の下限です。実際には期間で利率が変わりますが、比較のため同じ利率を置いています。
| 条件(600万円・年4.05%・元利均等) | 月々の返済額 | 利息総額 |
|---|---|---|
| 5年(60回) | 110,635円 | 638,040円 |
| 10年(120回) | 60,890円 | 1,306,700円 |
月利は年利を12で割った値です。月々の返済額は「借入額×月利×(1+月利)^回数÷((1+月利)^回数−1)」で求め、円未満を切り上げました。利息は円未満を切り捨て、最終回で残高を精算しています。10年にすると月々の返済は約5万円軽くなる一方、利息総額は約67万円の増加です。
設備は長く使って稼ぐため、長めの期間で借りれば返済額を毎月の売上の範囲に収めやすくなります。逆に設備の購入代金を運転資金として短期で借りると、毎月の返済が重くなり資金繰りを圧迫しかねません。借りる期間は、その資金が回収される期間に合わせるのが基本です。返済額の詳しい比較は事業融資の返済シミュレーションで解説しています。
公庫の必要書類の案内では、見積書は「設備資金をお申込の場合のみ」準備するものとされています。面談では資金の使いみちや事業計画を聞かれ、店舗や事業所の予定地を訪ねる場合もあります。設備資金は、何をいくらで買うかを書類で示す必要があるわけです。
融資後に使いみちを確かめる金融機関もあります。豊田信用金庫は、融資金が申込時の使途どおりに使われたかを確認する手続きを「資金トレース」と呼んでいます。同金庫の案内で求められる書類は、現金払いなら領収書など、振込なら振込受取書などです。別の金融機関に資金を移した場合は、その通帳の写しと領収書なども求められます。
こうした確認に備えて、見積書・契約書・請求書・領収書は1つの取引ごとにまとめて保管しましょう。支払いは融資金の入金口座から直接行うと、お金の流れを説明しやすくなります。見積書と実際の支払額がずれたときは、支払う前に金融機関へ伝えておきましょう。契約や支払いの順番は業種によって異なります。厨房機器の例は個人事業主の厨房機器入れ替え、設備資金は契約・支払いの前にどう準備する?で紹介しています。
豊田信用金庫の案内には、資金ごとに認められない例が挙げられています。運転資金では他行借入の返済、設備資金、不動産購入資金です。設備資金では運転資金や立替資金が挙げられています。設備資金で借りたお金を、申し込んでいない仕入や給与に回すことはできません。
見落としやすいのが、融資金の入金口座がほかの借入の返済口座になっている場合です。同金庫は、融資金でほかの借入金が自動で返済された場合も資金使途違反になるとしています。毎月の約定返済の引き落としも含まれます。入金前に、口座の引き落とし予定を確認しておくと安心です。
運転資金をいくら借りるかの考え方は、運転資金の借入目安は?所要運転資金の計算式で計算例とともに解説しています。
豊田信用金庫は、申込時の使途以外に流用すると貸出条件違反と判断し、一括返済を求める場合があるとしています。保証付き融資では、違反が分かると今後の信用保証協会の利用に制限がかかる場合があるとも書いています。使いみちを変える必要が出たら、使う前に金融機関へ相談してください。同金庫も、使いみちに変更がある場合は担当者に問い合わせるよう案内しています。
信用保証協会と金融機関の間の約定書にも関連する定めがあるので、見ておきましょう。東京信用保証協会の約定書では、金融機関が保証付き融資を既存の貸付の回収に充てることを制限しています。金融機関が保証契約に違反した場合などに、協会が保証債務の全部または一部の責任を免れる定めもあります。ただし、借り手の資金使途違反がこの免責に当たるかは約定書の文面からは判断できず、個別の事情によります。
帰結の重さは、金融機関や契約の内容によって異なります。手元の契約書の条項を読み、分からない点は融資を受けた金融機関に確認しましょう。資金が足りないときは、借入を増やす前に仕入先との支払条件の見直しも検討してください。
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調査日:2026年10月9日。融資限度額・返済期間・利率・必要書類は制度の改定や金融情勢で変わることがあります。最新の内容は各機関のページで確認してください。
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