2社間と3社間の違いは、取引先への通知の有無と、それに伴う入金の速さ・手数料の水準にあります。中小企業庁の資料では、2社間は取引先に通知しないぶん速く、手数料は高めの傾向です。3社間は取引先への通知と合意が必要で、遅めですが手数料は安めの傾向とされています。
この記事は、2026年10月21日時点で確認した金融庁・中小企業庁・法務省の資料と、事業者の公式サイトをもとにしています。料率の数字は、各社が公表している条件の紹介であり、業界全体の成約平均ではありません。
仕組み全体を先に確認したい場合は、ファクタリングの基礎と買取手数料をご覧ください。
目次
ファクタリングは、売掛債権を事業者に売って資金化する取引です。金融庁は、事業者による売掛債権の買取を債権の売買として説明しています。
違いが出るのは、売掛先(取引先)が取引に関わるかどうかです。
2社間は、売主とファクタリング事業者の二者で契約します。中小企業庁の資料では、通常の2社間は取引先に通知しない形とされています。
支払いの流れは次のとおりです。売掛金の支払期日に、取引先はこれまでどおり売主へ支払います。売主は回収した金銭を、事業者へ送金します。
ここで注意したいのは、この送金と「買戻し」は別物だという点です。回収した金銭を事業者へ渡すのは、2社間の仕組み上の送金義務です。一方、買戻しは、取引先が支払わなかったときに売主が自己資金で債権を買い戻す義務を指します。
2社間の送金義務があるからといって、買戻し義務が当然に付くわけではありません。契約書でどちらの義務が定められているかを、別々に確認してください。
3社間は、売主・事業者・取引先の三者が関わります。中小企業庁の資料では、取引先への通知と、取引先の合意を伴う形とされています。
取引先が合意すれば、支払期日に取引先から事業者へ直接支払われるのが一般的です。取引先との調整が必要になるため、2社間より時間がかかる傾向があります。
そのぶん手数料は安めの傾向とされています。ただし、傾向は個別の見積もりを保証しません。
| 2社間 | 3社間 | |
|---|---|---|
| 当事者 | 売主・事業者 | 売主・事業者・取引先 |
| 取引先への通知 | 通常はしない | 通知し、合意を得る |
| 支払いの流れ | 売主が回収し、事業者へ送金 | 取引先が事業者へ支払う形が中心 |
| スピード | 速い傾向 | 遅い傾向 |
| 手数料 | 高めの傾向 | 安めの傾向 |
金融庁は、売主に買戻し義務や、自己資金での支払義務が残る実態は、貸付と評価されうると警告しています。契約書に「ノンリコース」と書いてあっても、実態が評価されます。
つまり、契約書の文言だけで安心することはできません。取引先が支払えないときに、売主が自分のお金で埋め合わせる約束になっていないか。この点を、契約前に必ず確認してください。
給与ファクタリングについても、金融庁は貸金業に該当すると警告しています。会社の売掛債権の話とは別物なので、混同しないでください。
債権を譲渡した後、取引先や第三者にその事実を主張するための手続きを分けて確認します。
民法467条では、債権譲渡を取引先(債務者)に対抗する方法が定められています。譲渡人からの通知、または取引先の承諾のどちらかです。
一方、取引先以外の第三者に対抗するには、確定日付のある証書による通知または承諾が必要です。この2つは分けて考えてください。
法務省は、法人が譲渡人の場合、債権譲渡登記に第三者対抗要件を認めています。ただし、取引先に対する対抗要件は別です。登記事項証明書の交付付きの通知、または取引先の承諾が必要になります。
実務では、2社間でも登記を行う場合があります。反対に、3社間でも登記が必須とは限りません。登記の有無は、2社間か3社間かで一律には決まりません。
また、登記は公開される情報です。取引先に通知しない形でも、秘密が絶対に守られるとはいえません。取引先に知られたくない場合は、登記を行うのかを事前に事業者へ確認しましょう。
各社の公開条件を確認した上で、100万円の売掛金を売却した場合の手取りを試算します。
各社の公式サイトで確認できた公表条件は、次のとおりです。いずれも各社の公表条件であり、実際の成約料率を示すものではありません。
料率の幅は広く、売掛先や契約内容で変わると考えられます。比較するときは、諸経費が含まれるかどうかも確認してください。
次の計算は、あくまで仮例です。手数料が売掛金額に対する料率で、ほかの費用がないものとします。
5%の場合、手数料は5万円で、受け取りは95万円です。
10%の場合、手数料は10万円で、受け取りは90万円です。
同じ100万円でも、手元に残る額は5万円違います。見積もりでは、料率だけでなく、実際に受け取る金額まで確認しましょう。
選ぶときは、次の順で考えると整理しやすくなります。
取引先に通知したくないか。その場合は2社間が候補です。ただし手数料は高めの傾向があり、登記の有無も確認が必要です。
手数料を抑えたいか。その場合は3社間が候補です。ただし取引先への通知と合意が必要で、時間がかかる傾向があります。
契約書に買戻し義務がないか。これは2社間・3社間のどちらでも確認してください。回収後の送金義務とは別に、買戻しの条項がないかを見ます。
ファクタリングの費用と、事業融資の費用の比べ方は、ファクタリングと事業融資の費用比較で整理しています。あわせて確認してください。
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