500万円の設備を5年で導入する場合、リースと融資の総支払額は、リース料率と融資金利の仮定しだいで逆転します。筆者の試算では、月額リース料率1.85%のリースは5年間で555万円、金利4.0%の融資で購入すると元利合計は約552万円です。ただし購入側は固定資産税と保険料を自分で払うため、固定資産税を足すと約569万円になります。見積書の数字をそのまま並べず、同じ費用項目にそろえてから比べることが判断の出発点です。
税務では、一般的な所有権移転外のファイナンス・リースは法人税法上「売買」として扱われます。それでも中小企業はリース料を賃借料として経費処理でき、毎月定額の契約なら税務上の調整も原則として不要です。一方でリースは原則として中途解約できません。やめる場合は残りのリース料かそれに相当する違約金を一括で払います。5年以内に業態や店舗を変える可能性があるか、補助金や特別償却を使うかも選択を左右します。
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ファイナンス・リースでは、事業者が選んだ設備をリース会社が販売会社から買い取り、事業者に貸し出します。リース事業協会の説明によると、リース会社は物件代金を販売会社へ一括で支払い、その代金と諸費用のおおむね全部をリース期間中のリース料で回収する前提で契約を組みます。そのため設備の所有者はリース会社で、事業者は使用者という立場です。
融資で購入する場合は、事業者が金融機関から借りたお金で設備を買い、最初から自社の資産として持ちます。返済が終われば負担は残らず、設備は売却も継続使用もできます。リースは期間満了時に返却するか、低い再リース料で使い続けるかを選ぶ形です。
もう一つの違いは、リース料に含まれる費用の範囲です。リース事業協会は月額リース料を「(物件価格+金利+固定資産税+保険料+管理費・利益)÷リース期間の月数」と説明しています。リース料には固定資産税や動産総合保険などの保険料まで含まれます。融資の金利は借りたお金の利息だけなので、両者の数字をそのまま比べると、購入側が実態より安く見えます。
同じ条件で試算します。設備価格は税抜500万円、期間は5年(60か月)で、消費税は除きます。リース料率はリース事業協会などに公表統計が見当たらないため、月額料率1.85%を仮定しました。実際の料率は物件や事業者の信用力、リース会社によって変わります。融資金利は、日本政策金融公庫(国民生活事業)が公表する無担保・税務申告2期終了者向けの基準利率が年4.05〜5.65%(令和8年10月1日現在)であることを参考に、これに近い年4.0%を主なケースと仮定し、担保の有無や制度で低くなる場合を想定して年3.0%も並べました。公表利率は金融情勢で変動し、実際の金利は融資制度や期間、担保の有無で異なります。
表:500万円の設備を5年で導入した場合の総額比較(試算)
| 項目 | (a)リース | (b)融資・年4.0% | (b')融資・年3.0% | (c)自己資金 |
|---|---|---|---|---|
| 毎月の支払い | 92,500円 | 92,083円 | 89,843円 | なし(購入時に500万円) |
| 5年間の支払い | 5,550,000円 | 5,524,957円 | 5,390,607円 | 5,000,000円 |
| うち金利・手数料相当 | 550,000円(金利・税・保険・管理費等を含む) | 524,957円(利息) | 390,607円(利息) | 0円 |
| 固定資産税(償却資産) | リース料に含む | 約167,300円 | 約167,300円 | 約167,300円 |
| 保険料 | リース料に含む | 別途(見積りで確認) | 別途(見積りで確認) | 別途(見積りで確認) |
| 保険料を除く合計 | 5,550,000円 | 約5,692,300円 | 約5,557,900円 | 約5,167,300円 |
| 5年後の設備 | 返却または再リース | 自社所有 | 自社所有 | 自社所有 |
※筆者試算。前提:税抜価格500万円、期間60か月、リースは月額料率1.85%(仮定)、融資は年4.0%・3.0%(日本政策金融公庫の公表利率を参考にした仮定)、元利均等返済・据置なし。固定資産税は耐用年数8年(減価率0.250)と仮定し、取得翌年から5回の賦課期日で計算。税率は標準税率1.4%、同じ区市町村に他の償却資産がなく5年目は課税標準額が免税点150万円を下回る場合の概算。保守費用は両方式とも事業者負担のため除外。
月額料率1.85%で5年間払うと、総額は物件価格の1.11倍です。この支払いを500万円の借入れの返済と見なして年率に換算すると、約4.2%になります(試算)。この4.2%には固定資産税、保険料、リース会社の管理費まで含まれるため、融資の金利4.0%とそのまま比べるのは公平ではありません。融資側に固定資産税と保険料を足してから比べると、上の表のように差が縮むか逆転します。
事業用の機械や器具は償却資産として固定資産税の対象になり、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。東京都主税局によると、前年中に取得した資産は取得月にかかわらず半年分を償却し、その後は前年度評価額に(1−減価率)を掛けて評価額を出します。税率は1.4%で、課税標準額が150万円未満なら課税されません。リースでは所有者であるリース会社が申告・納付し、その分がリース料に織り込まれます。購入すると、この申告と納付を自社で行います。
自己資金なら利息はかかりませんが、500万円の現金が一度に減ります。売上の入金が遅れたときや、別の設備が故障したときに使える資金が薄くなる点は総額表に表れません。運転資金の余裕と比べて判断してください。
国税庁のタックスアンサー(No.5702)によると、平成20年4月1日以後に契約した一定のリースは、設備の引渡し時に売買があったものとされます。対象は、中途解約が禁止されているか、解約時に未経過期間のリース料のおおむね全部(原則として90%以上)を払う契約で、かつ使用による利益と費用を借り手が実質的に負うものです。このうち契約終了時に無償で譲渡されるものなどを除いたものが「所有権移転外リース取引」で、借り手は「リース期間定額法」で償却します。
リース期間定額法の償却限度額は「リース資産の取得価額÷リース期間の月数×その事業年度のリース期間の月数」です。リース事業協会は、税務上の取得価額は原則としてリース料総額になると説明しています。上の試算なら555万円を60か月で割り、1年あたり111万円です。
No.5702は、借り手が賃借料として損金経理した金額は償却費として損金経理した金額に含まれると定めています。リース事業協会は、毎月定額のリース料がリース期間定額法の償却限度額と同じになる契約なら、会計で賃貸借処理をしても申告調整は不要で、明細書の記載も要らないと解説しています。毎月のリース料を経費に計上する処理は、税務上も通常そのまま通るということです。
「中小企業の会計に関する指針」(令和7年9月19日改正)は、所有権移転外ファイナンス・リースの借り手は売買処理を原則としつつ、賃貸借処理もできると定めています。賃貸借処理を選んだ場合は未経過リース料を注記し、重要性がなければ注記を省略できます。「中小企業の会計に関する基本要領」も、賃貸借取引と売買取引のどちらかに準じて処理するとしています。
購入した設備は法定耐用年数で減価償却します。国税庁の耐用年数表では、たとえば飲食店業用設備は8年です。5年で返済が終わっても、経費化は5年目以降も続きます。リースは5年で経費化が終わるため、同じ総額でも利益の出る時期がずれます。
一方で、所有権移転外リースの資産には、圧縮記帳、特別償却、少額減価償却資産や一括償却資産の損金算入が適用されません(国税庁No.5704)。特別償却などの税制を使う予定があるなら、購入のほうが選択肢は広くなります。なお、ここまでの説明は法人税の取扱いです。個人事業主の所得税の扱いは、税理士や税務署で確認してください。
リース事業協会のQ&A(2025年12月19日版)によると、税務上のファイナンス・リースは売買扱いのため、リース料総額にかかる消費税をリース開始日に一括して仕入税額控除するのが原則です。ただし賃貸借処理をしている場合は、リース料の支払日が属する課税期間ごとに控除する分割控除も認められます(消費税法基本通達11-3-2)。
リース期間が法定耐用年数に比べて短すぎると、所有権移転外リースの要件から外れる場合があります。国税庁No.5704では、法定耐用年数の70%(10年以上の資産は60%)に相当する年数(1年未満切捨て)を下回るリース期間を「相当短いもの」とし、借り手の税負担を著しく軽くすると認められる場合に限って所有権移転外リースに該当しないとしています。
飲食店の厨房機器が耐用年数8年なら、8年×70%=5.6年で、端数を切り捨てて5年です。5年リースは基準を満たします。工作機械を使う金属製品製造業用設備(その他の設備)は耐用年数10年なので、10年×60%=6年になり、5年リースは基準を下回ります。耐用年数は設備の種類だけでなく使う業種で決まるため、工作機械のリース期間はリース会社と税理士に確認してから決めてください。
リース事業協会によると、ファイナンス・リースは基本的にリース期間中の中途解約が禁止されています。当事者の合意で解約する場合も、残りのリース料または残リース料相当額の違約金を一括で支払います。同協会が作成した参考契約書も「契約に定める場合を除き解除できません」という条項です。これとは別に、リース料の不払いなど契約違反があった場合は、リース会社が契約を解除し、事業者は物件を返したうえで規定損害金を払うという条項もあります。
試算のリースを2年(24回)払った時点で合意解約すると、残り36回分の3,330,000円程度を一括で求められる計算です(試算)。実際の金額は契約書の別表などで定められるため、契約前に解約時の算定方法を確認してください。
融資で購入した場合は、設備が自社の資産なので売却や譲渡ができます。ただし借入金は売却しても消えません。金利4.0%の試算では、24回返済した時点の残高は約312万円です。売却代金で一括返済できるか、繰上返済に手数料がかかるかは金融機関や契約によって異なります。5年以内に移転や業態変更の可能性があるなら、解約の負担と売却の自由度を総額と並べて比べてください。
リース事業協会がまとめた「リースに関する主要な補助金制度(2026年度、2026年5月末現在)」では、中小企業省力化投資補助金、中小企業新事業進出補助金、中小企業成長加速化補助金、中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金で、リース会社との共同申請が可能とされています。共同申請では、リース会社が「リース料軽減計算書」について同協会の確認を受ける必要があります。
大規模成長投資補助金の手引き(6次公募)によると、ファイナンス・リースで導入した設備も補助対象になり、補助金は交付決定後にリース会社へ交付されます。リース会社は補助金の全額をリース料から減額します。補助金はリース料の引下げという形で受け取ることになり、自社に補助金が入金されるわけではありません。
同じ手引きでは、リース会社が作成して協会の確認を受けた軽減計算書を、事業者が内容を確認したうえで補助金の申請書に添付する流れが示されています。リースで申請するなら、公募要領と手引きを先に読み、申請の主体と時期を確認してください。補助率や対象者、受付状況は制度ごとに異なり、予算に達すれば受付が終わります。
企業会計基準委員会は2024年9月13日に企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」を公表しました。借り手はすべてのリースについて資産と負債を計上する考え方で、2027年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用されます(2025年4月1日以後に開始する事業年度からの早期適用も可能)。同委員会の公表資料は、中小企業では「中小企業の会計に関する指針」または「中小企業の会計に関する基本要領」が用いられると注記しています。
リース事業協会は、金融商品取引法の適用対象会社と会社法上の会計監査人設置会社を除く会社は、会計基準を適用せずに中小会計指針や中小会計要領を適用できると説明しています。同協会の資料は、令和7年度税制改正についても「新リース会計基準を適用しない中小企業等は、税制改正の影響は原則ありません」としています。新基準の解説記事を見ても、中小企業の処理が直ちに変わるわけではありません。
リースが向くのは、手元資金と借入枠を残したい場合、固定資産税の申告や保険の手配を自社でしたくない場合、期間満了後に設備を返却して処分の手間を省きたい場合です。リース事業協会も、固定資産税の計算・申告をリース会社が行う点や、返却後の物件処理をリース会社が担う点を利点として挙げています。
融資による購入が向くのは、5年より長く使う予定がある場合、特別償却や補助金を自社で受けたい場合、途中で売却や移設の可能性がある場合です。融資の金利が低ければ、固定資産税と保険料を足してもリースより総額が小さくなることがあります。どちらの場合も、リース会社の見積りと金融機関の融資条件を同じ期間、同じ費用項目にそろえて並べてください。
購入を選ぶ場合は、金利と返済期間で総額が大きく変わります。TASUKARI(タスカリ)は、売上500万〜3億円規模の小規模事業者向けの資金調達サービスです。事業内容や年商、希望額を入力すると、保証会社の事前審査で借りられる見込みを確認でき、複数の銀行から届く融資条件の提案を金利や返済期間で比べられます。運営はクラウドローンです。事前審査は見込みの確認で、融資の可否や金利・期間は各金融機関の本審査で決まり、事業の状況によって異なります。
物件価格、リース期間、月額リース料のほか、固定資産税と保険料が含まれているか、再リース料の金額、中途解約時の残リース料や違約金の算定方法を確認してください。物件価格とリース期間がわかれば総支払額との差額を出せるため、融資の見積りと同じ条件で比べられます。
リース会社に返すか、再リースで使い続けるかを選びます。リース事業協会によると、満了の2〜3か月前にリース会社から通知が届くのが通常で、再リース料は低い金額になります。返却は事業者の負担で行い、リース会社が指定する場所へ返す決まりです。
ファイナンス・リースでは、保守と修繕は事業者の負担です。リース事業協会の説明では、事業者が販売会社と保守契約を結ぶ形です。リース料の内訳に保守費用は入っていないため、購入する場合と同じく保守費用を見込んでください。
国民生活事業の一般貸付では、設備資金の返済期間は10年以内(うち据置期間2年以内)、融資限度額は4,800万円です(2026年10月15日確認)。利率は返済期間や担保の有無で異なり、審査の結果、希望に沿えない場合もあります。
原則として解約できないため、入替えには残リース料か相当額の違約金の支払いが伴います。入替えの可能性がある設備は、短めのリース期間にするか購入を検討してください。リース期間を短くすると、耐用年数との関係で税務上の扱いが変わる点にも注意が必要です。
調査日:2026年10月15日
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