制度融資とは、都道府県や市区町村が条件を定め、信用保証協会の保証を付けて銀行・信用金庫などの金融機関が貸し出す事業資金の融資です。自治体は金融機関への預託や信用保証料の補助、自治体やメニューによっては利子補給で、利用者の負担を軽くします。融資の可否を決めるのは、信用保証協会の保証審査と金融機関の審査です。
申込窓口は、金融機関に直接申し込む方式と、自治体や商工団体で「あっせん」を受ける方式に分かれます。融資限度額・利率・補助の割合・窓口は自治体ごとに異なり、年度途中の改定もあります。この記事では、令和8年度の東京都と東京都中央区の公式資料を例に、2026年10月9日時点の仕組みと流れを整理しました。
目次
全国信用保証協会連合会によると、信用保証協会は信用保証協会法に基づく公的機関です。47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあります。信用保証制度は、事業者・金融機関・信用保証協会の三者が当事者です。制度融資では、ここに条件を定める自治体が加わります。
| 当事者 | 主な役割 | 東京都の制度融資での例 |
|---|---|---|
| 自治体 | 融資の対象・限度額・利率の上限などを定め、預託や補助で負担を軽くする | 都が要項で条件を定め、指定金融機関に預託し、信用保証料の一部または全部を補助するメニューがある |
| 信用保証協会 | 保証審査を行い、保証を決めたら信用保証書を出す | 東京信用保証協会が保証審査を行う |
| 金融機関 | 融資の審査を行い、信用保証書に基づいて融資を実行する | 都が定めた取扱指定金融機関(令和8年10月1日時点で94機関) |
| 利用者 | 要件を満たして申し込み、信用保証料を払い、借入金を返済する | 都内に事業所があり、保証対象業種を営む中小企業者など |
東京都の要項は、預託金を「東京都が金融機関に対して預金する、貸付原資の一部」と定義しています。預託によって、円滑な資金の供給と低利な政策金利の実現を図る仕組みです。ただし、すべてのメニューに預託があるわけではありません。要項の表では「金融機関提案融資」や「借換融資」は預託金が「無」です。
信用保証協会が保証する仕組みや、保証付き融資と金融機関独自のプロパー融資との違いは、信用保証協会付き融資とプロパー融資の違いで詳しく解説しています。
3つの支援は、自治体がお金を出す先が違います。預託は貸付原資の一部を金融機関に預け、保証料補助は信用保証料の一部を、利子補給は利息の一部を自治体が負担します。どの支援を使うかは、自治体とメニューしだいです。下の表は、東京都と中央区の令和8年度の例です。
| 項目 | 東京都「設備投資・企業立地促進」 | 中央区「一般運転資金」 |
|---|---|---|
| 融資限度額 | 2億8,000万円(組合4億8,000万円) | 一般2,500万円、区民2,700万円 |
| 融資期間 | 20年以内(据置2年以内を含む) | 7年以内(据置6か月以内を含む) |
| 利率 | 都が上限を定める(固定・責任共有対象・10年超なら3.30%以内) | 融資利率年2.0%、うち区の利子補給年1.1%、本人負担年0.9% |
| 保証料の補助 | 都が3分の2を補助 | 区が3分の2を補助 |
| 主な窓口 | 取扱指定金融機関、東京信用保証協会、商工会議所など | 区役所の商工観光課(面談は予約制) |
東京都の利率は、令和8年10月から令和9年3月までに「信用保証委託申込書」が受け付けられた場合の上限です。都は令和8年10月1日に、固定金利の上限を一律0.25%引き上げました。中央区も令和8年度から融資利率を1.8%から2.0%に改めましたが、引上げ分は全額を利子補給に上乗せしたため本人負担は変わっていません。東京都の要項は、区市町村の制度融資と併用や同時申込をする場合も想定しています。中央区の「一般」は代表者の住民登録が区外、「区民」は区内の場合の限度額です。
中央区の例で、1,000万円を84回の元金均等月賦(据置なし)で借りた場合を仮定して試算しました。利息は毎月「残高×年利÷12」の円未満切り捨てで計算しています。融資利率2.0%の利息総額は約70.8万円ですが、本人負担0.9%なら約31.9万円です。差の約39万円は、返済の途中で利子補給が終わらない前提で区が負担する計算です。信用保証料は、この利息とは別にかかります。
全国信用保証協会連合会の用語集は、申込方式を2つに分けています。事業者が金融機関に借入を申し込み、金融機関が保証を依頼するのが「金融機関経由保証」です。都道府県や市区町村、商工会議所、信用保証協会などの窓口に申し込むのが「協会斡旋保証」です。
東京都の要項では、指定金融機関が受け付けた申込は、金融機関が審査して保証協会に送ります。あっせん機関が受け付けた申込も、融資の対象に当たるかの確認を経て保証協会に届く仕組みです。保証協会は審査の上で保証を決め、信用保証書を指定金融機関に送ります。指定金融機関は、この信用保証書に基づいて融資を実行する流れです。メニューによっては指定金融機関でしか受け付けない点に注意してください。
中央区のあっせん型は、手順がさらに細かく決まっています。最初の段取りは、金融機関との事前相談と、区の経営相談員との面談予約です。書類を提出し、必要に応じて事業所訪問を受けたあと、区が「あっ旋状」を交付します。これを指定金融機関に出して融資を申し込むと、金融機関が保証協会に保証を申し込む手順です。融資の実行後に、区から保証料補助金が振り込まれ、区は金融機関に利子補給をします。
実行までの日数を示した公式資料は見つかりませんでした。中央区のパンフレットは、期間が金融機関の審査や保証協会の利用の有無、業績などで異なるとしています。初めて利用する場合や創業の場合は、さらに時間がかかります。支払期日から逆算し、余裕を持って相談を始めてください。
東京都の要項が定める共通書類は、法人なら信用保証委託申込書、信用保証委託契約書、個人情報の取扱いに関する同意書です。ほかに印鑑証明書・商業登記簿謄本・確定申告書(決算書)の写し(原則直近2期分)・納税を確認できる書類も出します。設備資金なら見積書または契約書の写しが必要です。保証協会やあっせん機関から申し込む場合は、「融資あっせん用」の様式を使います。審査のために、ほかの書類を求められることもあります。
東京都の制度を使えるのは、都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象業種を営む中小企業者などです。事業税その他の租税の未申告や滞納がないことも条件です。ただし、完納の見通しが立つ場合などは例外とされています。中央区は、区内で同じ事業を1年以上続けていることを基本要件にしています。法人なら区内に事業所登記があることも必要です。創業前の人が使える制度は別にあり、創業資金の相談先は創業融資の相談先と準備する書類にまとめています。
制度融資でも、信用保証料はかかります。東京都のページでは、都制度融資の料率を年0.27%〜1.72%の幅で示しています。料率を左右するのは、保証付き融資の合計額や責任共有制度の対象かどうか、経営状況です。都の要項によると、保証料を分割で納める場合は都の補助の対象になりません。
中央区では、融資の実行後に区外へ移転すると、移転後の利子補給は受けられません。繰上償還で保証料が返ってきた場合は、区の補助金に当たる額を返す必要があります。金融機関や保証協会の審査の結果、融資額が減ったり融資を受けられなかったりする場合があります。補助があっても返済は自分の事業収入で行うので、月々の返済額が払えるかを先に確かめましょう。
この記事の数値は令和8年度のものです。令和9年度(2027年度)の条件は、今回確認した資料には載っていませんでした。東京都は令和8年10月に金利を、中央区は8月に一部資金の限度額を改定しています。申し込む前に、所在地の自治体と信用保証協会のページで最新の要項を確認してください。
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調査日:2026年10月9日。制度融資の利率・限度額・補助の割合・受付窓口は、自治体ごとに異なり、年度途中にも改定されます。最新の内容は各自治体と信用保証協会のページで確認してください。
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