マイカーローンの返済が苦しくなったら、延滞する前に借入先へ連絡し、返済額の変更を相談するのが最初の手順です。銀行などの金融機関には、返済条件の変更について相談を受け付ける窓口を設けているところがあります。ただし、条件変更に応じるかどうか、手数料や金利がどうなるかは金融機関が判断します。相談すれば必ず月額が下がるわけではありません。
比べる順番は、借入先への条件変更(期間延長)の相談、低い金利への借り換え、車を売って一括返済、の3つです。筆者の試算では、残高200万円・残り36回・年6.0%(仮定)のローンを60回に延ばすと、月額は約6.1万円から約3.9万円に下がり、総支払額は約13万円増えます。年3.5%(仮定)で60回に借り換えると、月額は約3.6万円、総支払額は諸費用3万円(仮定)を含めて約221万円です。売却は、査定額が残債を下回ると差額の手当てが必要で、車検証の所有者がローン会社やディーラーなら完済と所有権解除が前提になります。
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相談はできます。たとえば三井住友信託銀行は、経済的な事情で返済が難しくなった個人の顧客向けに、取引店とローン事務センターを相談窓口として案内しています。同行は「ご返済条件の変更等のご相談に迅速かつ丁寧にお応えしてまいります」と掲げ、内容によっては専門部署から折り返す場合があるとしています。これは一例で、窓口の形や対応は金融機関ごとに異なります。
条件変更には費用がかかることもあります。高崎信用金庫のマイカーローン「カーライフプラン」の商品案内(2025年取扱分)では、一部繰上返済・期日前完済・条件変更をする場合に「所定の手数料」がかかると書かれています。相談するときは、変更後の月額だけでなく、手数料の有無、適用金利、最終回の返済日を書面で確認してください。
相談するなら、転職や減給で家計が変わると決まった時点が望ましいです。延滞が始まってからでは、信用情報に記録が残る可能性が高まります。連絡の前に、手取り収入の見込みと生活費、ほかの借入の返済額を書き出しておくと、払える月額を具体的に伝えられます。
最初の連絡先は、いま返済しているローンの借入先です。銀行のマイカーローンなら銀行、ディーラーで組んだローンなら契約書に記載されたローン会社になります。契約書と返済予定表を手元に置き、残高・残り回数・金利を正確に把握してから連絡してください。
借入先に伝えるのは、収入が変わった理由と時期、今後の収入見込み、無理なく払える月額の上限です。どの方法を提示するかは借入先が決めるため、提示された案の月額と総支払額を必ず比べてください。
条件変更の案が出たら、次に借り換えの見積もりを取ります。借り換えは新たな審査を受けて別の金融機関から借り、今のローンを完済する方法です。金利が下がれば、期間を延ばしても総支払額の増え方を抑えられます。一方で、事務手数料や保証料などの諸費用がかかる場合があり、収入が大きく減った直後は審査が難しくなることがあります。
条件変更でも借り換えでも月額が家計に収まらないなら、車を手放す選択肢を検討する段階です。通勤や送迎に車が必要なら、売却後の移動手段の費用も含めて判断してください。
ここでは、残高200万円・残り36回・年6.0%(仮定)のマイカーローンを例に、4つの方法を比べます。月額は元利均等返済の式で計算しました。月利を r(年利÷12)、返済回数を n、借入残高を P とすると、月額は「P × r ×(1+r)^n ÷ {(1+r)^n − 1}」です。総支払額は月額に回数を掛けた概算で、実際の契約では最終回の金額で端数を調整します。
表:残高200万円のローンを4つの方法で比べた月額と総支払額
| 方法 | 条件(仮定) | 月額 | 総支払額 |
|---|---|---|---|
| a) 現状維持 | 年6.0%・残り36回 | 60,844円 | 約219.0万円 |
| b) 期間延長 | 年6.0%のまま60回へ | 38,666円 | 約232.0万円 |
| c-1) 借り換え | 年3.5%・36回、諸費用3万円 | 58,604円 | 約214.0万円 |
| c-2) 借り換え | 年3.5%・60回、諸費用3万円 | 36,383円 | 約221.3万円 |
| d) 売却して一括返済 | 査定150万円、不足50万円を年10%・24回で借入 | 23,072円 | 約55.4万円(売却代金とは別に支払う額) |
※筆者試算。前提:金利・諸費用・査定額はすべて仮定で、実際の条件は金融機関や車の状態で異なります。b)は条件変更後も金利が変わらず、手数料がかからない場合です。月額は円未満を四捨五入し、総支払額は月額×回数の概算です。償却表を1か月ずつ計算し、最終回で残高がほぼ0になることを検算しました。
期間延長(b)は月額を約2.2万円下げられますが、総支払額は約13万円増えます。返済期間が2年延びるため、利息を払う期間も長くなるからです。
借り換え(c)は、金利差が十分あれば有利になります。この例では60回に延ばしても、総支払額は現状維持より約2万円多いだけにとどまります。ただし年3.5%は仮定で、実際に提示される金利は審査で決まります。諸費用が数万円単位でかかると、残り期間が短いケースでは金利差の効果が薄れます。見積もりでは「諸費用を含めた総支払額」を現在のローンと並べて確認してください。
売却(d)は、ローンの返済そのものを終わらせる方法です。表の総支払額は不足分50万円の返済額だけなので、a〜cと単純に比べることはできません。車の維持費はなくなりますが、代わりの移動手段の費用が新たに発生します。
最初に車検証の所有者欄を確認してください。ローンで購入した車は、完済まで販売会社やローン会社が所有者として登録されていることがあります。スズキの販売会社であるスズキ自販福岡は、ローンで購入した場合、支払いが完了するまでの間は同社が車検証上の所有者になると案内しています。完済後に所有者を本人に変える手続きを「所有権解除」と呼び、同社は所有権解除をしておくと売却時などの手続きがスムーズになると説明しています。
所有者が自分以外になっている場合、売却するには残債の完済と所有権解除が必要になると考えて準備してください。査定額が残債を上回れば、売却代金で完済して差額を受け取れます。査定額が残債を下回る場合は、不足分を現金で用意するか、別のローンで借りて埋める必要があります。表のd)のように不足分を新たに借りると、車はないのに返済だけが残る状態です。金利の高いローンで埋めると負担がさらに重くなるため、手元資金でどこまで賄えるかを先に確認しておきましょう。
手続きの流れや必要書類は、ローン会社や販売会社によって異なります。売却を考えたら、まず借入先に残高と完済の方法を問い合わせ、そのうえで複数の買取店から査定を取り、差額を確認してください。
信用情報機関のCICには、契約内容のほか、請求額、入金額、残高、入金の状況が記録されます。CICの説明では、支払状況の情報に「異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況等」が含まれます。クレジット情報の登録期間は「契約期間中および契約終了から5年間」です。
条件変更や借り換えがどのように記録されるかは、契約の種類や借入先の対応によって異なります。この記事では一律に「影響がない」とも「必ず不利になる」とも言えません。気になる場合は、CICの情報開示で自分の記録を確認できます。インターネット開示は手数料500円、郵送開示は1,500円です。延滞が発生してからでは記録が残る可能性が高まるため、延滞前に相談することが信用情報の面でも重要です。
マイカーローン以外にも借入があり、条件変更や借り換えでも家計が回らない場合は、第三者の相談窓口を使ってください。全国銀行協会相談室は、銀行と取引があり住宅ローンやカードローン等の返済が難しくなった個人を対象に、無料のカウンセリングを行っています(電話0570-017003)。必要に応じて銀行の窓口や法テラスなどを紹介するとしています。貸金業者からの借入なら、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)が相談を受け付けています。日本クレジットカウンセリング協会も、クレジットやローンの返済に関する相談を無料で受けています(0570-031640)。
債務整理を検討する段階では、法テラスに相談できます。収入と資産が一定基準以下なら、弁護士・司法書士による無料法律相談を同じ問題につき3回まで受けられ、1回の相談時間は30分です。依頼費用は立替制度を使える場合があり、立替金は利息なしの分割で返済します。立替には、自己破産なら免責決定の見込みがあるなど、問題が解決する見込みも条件になります。
裁判所の手続としては、個人再生と破産が用意されています。個人再生は、将来も継続的な収入が見込め、無担保債務の総額が5000万円以下の人が対象です。再生計画が認可され、計画どおりに返済すると残りの債務の免除を受けられます。破産は、破産管財人が債務者の財産を金銭に換えて債権者に分配する手続です。どちらも車の扱いを含めて影響が大きいため、自分で判断せず専門家に相談してください。なお、金融庁の金融サービス利用者相談室も貸金などの相談を受け付けていますが、あっせんや仲介は行っていません。
条件変更の案と並べて、借り換えの条件も確認したい場合は、CrowdLoanで複数の金融機関からの提案を比較できます。金利や借入可否は各金融機関の本審査で決まり、条件には個人差があります。延滞中の方や、収入が大きく減った直後の方は審査が難しくなることがあり、借り換えできるとは限りません。提案を受け取ったら、諸費用を含めた総支払額を現在のローンや条件変更後の返済と比べてください。
相談先は、契約書に記載されたローン会社の窓口です。条件変更に応じるかどうかはローン会社の判断で、銀行と同じ対応になるとは限りません。
繰上返済の可否や手数料は契約によって異なります。高崎信用金庫の商品案内のように、一部繰上返済や条件変更に所定の手数料を定める例もあるため、延長の相談をするときに繰上返済の条件もあわせて確認してください。
所有者が本人なら所有権解除は不要ですが、ローンの残債は残ります。担保の有無や売却時の扱いは契約によるため、売る前に借入先へ売却してよいか、残債をどう清算するかを確認してください。
金利と諸費用で決まります。試算では、同じ60回でも年3.5%への借り換え(諸費用3万円込みで約221万円)のほうが、年6.0%のままの延長(約232万円)より総支払額が少なくなりました。ただし借り換えには新たな審査があるため、条件変更の相談と並行して見積もりを取ると比べやすくなります。
差額を借りると、車がないまま返済が続きます。不足額が大きい場合は、売却より条件変更や借り換えで月額を下げ、乗り続けながら返すほうが負担が軽いこともあります。車の維持費と、代わりの移動手段の費用を含めて比べてください。
調査日:2026年10月15日
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