2024年11月13日
外車のボディは、その衝突安全性の高さが日本でもよく知られており、車に詳しい人の間では昔から「死にたくなければドイツ車に乗れ」などと言われることがあるほどです。
このような意見が聞かれる理由の一つに、ドイツ車などの外車が高速走行を主体とする道路を走ることがあげられ、万一に備えて頑丈な造りになっているのです。
実際、事故が起きた状況を想定して考えると、確かに外車はドライバーの身を守る上では安全かもしれませんが、日本で走る場合は「性能面だけでは語れないリスク」にも注意が必要です。
この記事では、外車で日本の道路を走る際のリスクについて解説します。
目次
日本の道路を外車で走るリスクについて触れる前に、まずは日本でよく聞かれる外車の性能面でのメリットについてご紹介します。
外車の性能自体は、やはり世界中で販売されているだけあって、海外でも活躍できる性能を備えているといえます。
日本で販売されている外車の多くは、公道・高速道路を問わず、日本と比較して「高速走行」を想定した道路環境で開発されています。
そのため、ハイスピードで走ったとしても、ドライバーが安心して運転できるのが特徴です。
具体的には、高速域での安定性、加速性能、コーナリング性能などに優れている車種が、外車には数多く存在しています。
強力なエンジンを搭載したモデルも多く、スポーティーなドライブを体験したい人が外車を選ぶことも珍しくありません。
本格クロカンモデルのように、悪路をスムーズに走ることを想定して作られている外車もあり、 そのような車はオフロードを走行するのに最適です。
もちろん、日本車にも走行性能に優れた車種は存在しますが、やはり外車の“乗り味”にはかなわないと感じる車好きは多いものと思われます。
ボディ・パーツの耐久性が高いことも、外車の特徴の一つといえるかもしれません。
特に欧州車にいえることですが、欧州では日本と比べて石畳の道、未舗装路を走る機会が多いことから、当然ながらそのような環境でもしっかり走れるよう仕上げなければなりません。
エンジンや足回りの耐久性が高くなければ、そもそも商品として成立しないという厳しい環境下において、欧州の各メーカーは研鑽を積み重ねてきました。
その結果、世界に通用する数多くの名車が、欧州から登場しています。
加えて、高速走行中に衝突事故に遭っても問題ないよう、堅牢なボディ構造を持つ車種が数多く製造・販売されているのも、日本人が外車に魅力を感じる理由の一つです。
初めて外車に乗った際、その静粛性の高さに驚いた方も多いのではないでしょうか。
ドライブに支障をきたすことなく、静かに安定して走れることは、外車の大きなアドバンテージといえるかもしれません。
静粛性に関しては、国産の高級車も技術を磨いており、ドライバーや乗員が感じる“あらゆる音”を消すコンセプトで作られているものが多く見られます。
しかし、外車の高級車の場合は、あくまでも車が道路を走るものであるという意識があり、最低限“運転に必要な情報としてのノイズ”は残すスタンスの車が多いようです。
このような理由から、ドライブが好きな人・外車のオーナーになったことがある人からは、「長距離・長時間運転するなら外車がいい」という意見が聞かれることもあります。
性能面にだけ目を向けるのであれば、外車には日本車にない魅力・メリットが数多く存在します。
しかし、日本という「国」で外車を走らせる点に関しては、ドライバーにとって無視できないリスクがいくつか存在します。
日本と海外では道路事情が違うため、外車がハイスペックであることが理由で、かえってドライバーの負担を増やしてしまう状況が想定されます。
それにともない、一般的な国産車では考える必要がなかったリスクも生じるため、外車を選ぶ際は性能以外の面にも目を向けて購入を検討することが大切です。
外車が生まれた国と日本では、気候もルールもまったく別物であるため、ドライバーもその点を踏まえた上で運転やメンテナンスを行わなければ、思わぬ事態に遭遇してしまうおそれがあります。
以下、日本で外車を選んで乗るリスクについて、主なものをいくつかまとめました。
国産車の場合、定期的なオイル交換・点検などを行っている限り、日本国内で極端にメンテナンスの頻度が増えることはないものと考えられます。
しかし、外車の場合は国産車と異なるタイミングで修理が必要になることも珍しくありません。
多くの外車は、日本だけでなく様々な環境に対応できるよう、使用するパーツを見直したり性能を向上させたりしています。
それでも、雨や高温多湿に弱い電装部品・ゴム部品などは、劣化や故障が多い傾向にあります。
車種によっては、メンテナンスや部品交換のタイミングを知らせるため、国産車にはない警告灯が光ることもあります。
このような理由から、外車に乗り始めると、総じて工場に車を乗り付ける機会は多くなるものと考えられます。
構造上、外車はハイスピードで走ることを想定して作られており、静粛性・安定性に優れています。
そのため、国産車で同じスピードを出すケースに比べると、ドライバーがスピードを体感しにくいという一面があります。
スピードメーターを意識しながら走行すれば、どんなドライバーでも法定速度で走行することはできるはずですが、国産車に乗る感覚で外車を操っていると、次第にスピードに鈍感になってしまうおそれがあります。
ドライバーがハイスピードで走行することの魅力に気付き、公道でも法定速度を超過するようになると、やがて歩行者を轢いてしまうような事態を招くかもしれません。
日本では、自分が交通事故の被害者になるのはもちろんのこと、加害者となってからの人生も非常に厳しいものとなります。
よって、自分がスピードに魅入られやすいことを自覚しているなら、外車を避けるのも賢明な選択肢の一つかもしれません。
ハイクラスの車種で、かつ外車ともなれば、売却すれば高値で買い取られることが予想されます。
その分、盗難に遭うリスクも高くなるため、極端な話「朝起きたら駐車場に停めていた愛車がなくなっていた」という状況に陥る可能性は十分考えられます。
盗難防止の観点からは、頑丈なガレージを愛車のために用意することが重要になるでしょう。
しかし、ドライバーのすべてがガレージを用意できる環境で暮らしているわけではなく、土地が限られている都市部で暮らす人は青空駐車場に駐車しなければなりません。
青空駐車場に駐車している車が高級車で、かつ防犯対策を何もしていないとなれば、窃盗犯としてもそのような車を狙おうとするでしょう。
よって、高級車に分類される外車を購入する場合は、防犯対策にも力を入れる必要があります。
日本で外車を保有する場合、そもそも外車が「日本という国に100%適用するものではない」ことを正しく理解した上で、日々の運転やメンテナンス・管理を行うことが大切です。
以下、日本で外車に安全に乗るために、ドライバーが知っておきたいことを解説します。
外車の多くは、車両の特性が国産車と異なるため、ディーラーから受けたアドバイスをしっかり守って運転・メンテナンスすることが大切です。
例えば、一般的に外車のブレーキ性能は国産車に比べて優れているという意見がよく聞かれますが、これは「ブレーキパッド」と「ブレーキローター」という2つのパーツを摩耗させてブレーキの性能を高めているためです。
摩耗する部品が多いということは、それだけブレーキダストも出るため、ホイールも汚れやすくなります。
このような問題に対処するためには、工場に車を預けるタイミングでのメンテナンスだけでなく、普段からドライバー自身が行う洗車などのケアの頻度についても、ディーラー等に確認しておく必要があります。
外車に乗っている場合、その堅牢なボディが、ドライバーの交通事故における被害を軽減してくれます。
その一方で、ハイスピードで公道を走行することにより、誤って自分が人を轢いてしまうなど、自分が“加害者”になるリスクは十分に考えられます。
万一、人の命を自分の運転で奪ってしまうようなことがあれば、一度失われた命は取り戻せず、償いようがありません。
自分自身も、辛い日々を過ごす結果を招くため、どんなときでも心にゆとりを持って運転を心がけることが大切です。
特に、日本は歩行者を優先する傾向にあることから、歩行者や自転車などが入り混じる公道においては、スピードの出し過ぎを控えたいところです。
高速道路においても、動物の侵入や逆走車との遭遇が想定されるため、いかなる場面でも法定速度を遵守し、慎重に運転するようにしましょう。
車を盗む手口は日々巧妙化しており、車種を問わず盗難のリスクは高まっている状況といえます。
日本においては、国産車の窃盗が多い傾向にあるものの、その傾向を「外車だから盗難に遭わない」と単純に解釈できるわけではありません。
過去には、空港周辺にある民間の駐車場において、3時間という短時間で外車を含む高級車が大量に盗まれる事件も発生しています。
このケースでは幸いにして、車両に搭載されている「GPSサービス」を活用し、コインパーキングに停車していた盗難車をすべて見つけ出すことができました。
つまり、仮に車を盗まれてしまったとしても、GPSが搭載されていれば取り戻せる可能性があり、より厳重な防犯対策をすれば車を盗まれなかった可能性もあるわけです。
よって、外車を持つなら念のため、外付けのハンドルロックやセキュリティアラーム、GPSといった防犯対策を徹底しましょう。
車を安全に運転するという観点からは、最先端の安全支援機能が備わっている外車を選ぶことも重要です。
海外と比較して、全体的に狭さを感じる日本の道路事情においては、道路や駐車場が狭い中での事故を回避する「CTA(クロス・トラフィック・アラート)」や、歩行者や自転車などを検知する「衝突回避支援機能」などが備わる車を選んだ方が、安心して運転できるでしょう。
しかし、このような車は新車に多く、新車で外車を購入すると金額も高くなることが予想されるため、金融機関などが提供する低利子のカーローンを利用することをおすすめします。
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外車は走行性能や耐久性に優れ、静粛性も高い車種が多いことから、国産車よりも安全に走れると考えるドライバーは一定数存在しています。
その一方で、日本という環境で走行させることを考えた場合、故障・スピード超過・盗難などのリスクが高くなります。
これらのリスクを防ぐためにも、普段からディーラー・メカニックのアドバイスを守ってメンテナンスを行いつつ、心にゆとりを持って運転し、防犯対策を徹底することが大切です。
可能であれば、安全支援機能が充実した車を選ぶようにしましょう。
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