2024年09月18日
亡くなった家族が車に乗っていた場合、その車を使い続けるためには、相続人が名義変更を行う必要があります。
車の所有者が「亡くなった家族」だった場合は、そのまま名義変更を進めることができますが、ローンが残っている場合は返済を続けるかどうか決断を迫られるでしょう。
また、相続人は必ずしも一人とは限らないため、複数人の家族が車を利用する場合、共有する形で相続することも考えられます。
この記事では、複雑になりがちな車の相続手続きについて、ローンが残っている車を相続するケースにも触れながら解説します。
目次
相続手続きは複雑な一面があるため、実際に車を相続する場面に遭遇する前に基礎知識を頭に入れておくと、手続きをスムーズに進めやすくなります。
以下にあげる知識を押さえておくと、故人の車をどのように引き継ぐべきか、家族構成に当てはめてイメージしやすいでしょう。
持ち主が亡くなった後の車を引き継ぐ際に、最初に押さえておきたい点は、その車が基本的に「家族の共有財産」となる点です。
家族の中で話し合った場合、何となく「運転免許証を持っている家族」が車を引き継ぐようなイメージを抱きがちですが、相続が始まった段階では特定の誰かのものではありません。
相続人になれる人には優先順位が設けられており、配偶者は必ず何らかの形で相続しますが、血族の主な順位は以下のようになります。
共有財産として相続し、そのまま利用し続けることもできますが、相続手続きや処分の手続きが複雑になるものと予想されます。
よって、資産価値の高い車でない場合は、基本的にその車を運転できる人が相続した方がよいでしょう。
相続時に車検証を見たとき、所有者の欄が信販会社、または車を購入したディーラーの名義になっていることは珍しくありません。
ディーラーでローンを組んで車を購入した場合、返済が終わるまで車を担保にするため、そのようなケースは頻繁に見られます。
例えば、祖父がローンを完済する前に亡くなってしまった場合、車の相続手続きをするだけで持ち主が移行することはありません。
よって、相続の段階で、家族はローンの返済を引き継ぐかどうか決断する必要があります。
家族があまり車に詳しくなかった場合、例えば家族がよく知らない人の名前が所有者欄に記載されていることも考えられますが、その場合は事情をよく確認して相続するかどうか判断しなければなりません。
例えば、車の所有者欄が以前の所有者の名義だった場合、放置しておくと自動車保険に加入できないなどのデメリットが想定されるため、早めに所有者を見つけて名義変更を進めることが大切です。
相続手続きが面倒だからといって、故人名義のまま車を使い続けることには、様々なリスクがあります。
最大のリスクが「任意保険を使用できなくなるおそれがある」ことで、故人はすでにこの世に存在しない人物のため、その名義のまま自動車保険に加入することはできません。
最悪の場合、自賠責保険を超える金額が補償されないリスクがあることから、重大な不安要素を抱えながら車を運転することになるでしょう。
加えて、何らかの理由で車を処分しようと思った際も、故人名義のままだと売却・廃車の手続きを進めることができません。
乗らなくなった車を手放せないと、自動車税などの税金が発生し続けるため、ランニングコストも馬鹿になりません。
車を相続する際は、将来のことも見据えて、早めに手続きを済ませることをおすすめします。
車の相続手続きは、大きく分けて次の4つのステップを踏んで進めるのが一般的です。
以下、それぞれのステップについて、各種注意点も含め解説します。
相続にあたり、効率的かつ適切に手続きを進めるためには、最初に「相続予定の車の名義」を確認する必要があります。
当然ながら、相続予定の自動車は、相続する前まで故人もしくは他の誰かが所有者となっていたものですから、まずは“誰から誰に対して相続する車なのか”を明確にします。
基本的に相続は「する」か「しない」かの二択でしか選択できず、例えば「家は相続するけど車は相続しない」といった柔軟な相続は難しいのが現実です。
故人名義であれば比較的スムーズに相続できますが、ディーラーになっていた場合、現時点でカーローンが残っている可能性があります。
もし、カーローンが残っている車を相続する場合、原則として相続者がローンを一括返済しなければ相続できません。
相続手続きを進めてから後悔することのないよう、必ず車の名義を確認しましょう。
車検証に記載されている所有者の名義が分かったら、次は相続人のうち“誰が”車を相続するのかを決めていきます。
まず、遺言書がある場合は、その中に「誰が車を受け継ぐのか」についての記載があるかどうか確認し、その遺言書を添付する形で名義変更の手続きを進めます。
遺言書がない場合は、どの相続人が車を相続するのかについて、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議の中で相続人が決まったら、遺産分割協議書を作成して、名義変更の準備を進めていきます。
このとき、相続予定の車の価格が100万円以下だった場合は、より簡易な「遺産分割協議成立申込書」による手続きが可能です。
なお、遺産分割協議書・遺産分割協議成立申込書を比較した際、手続き上の大まかな違いは以下の通りです。
遺産分割協議書 | 相続人全員の実印が必要 |
---|---|
遺産分割協議成立申込書 | 自動車を相続する1名の実印が必要 ※(車の価格が100万円以下であることを証明する査定証を添付する必要がある) |
車を相続する人が正式に決まったら、名義変更の手続きを進めていきます。
その際、警察署で発行してもらえる「車庫証明」が必要になるため、次は管轄の警察署で車庫証明を申請します。
車庫証明の申請書類は、車庫となるスペースを自分で所有している場合と、月極駐車場などを借りている場合で異なります。
そのため、管轄の警察署に足を運んだら、想定している車の保管場所に応じて必要書類を確認するようにしましょう。
手続きを終えた後は、1週間程度で車庫証明が発行されるため、再び管轄の警察署まで向かい交付を受けます。
ちなみに、自動車を共有で相続することを検討している場合、車庫証明は「使用者」の名義のものを使用することになるでしょう。
車を相続する人が決まって、必要書類が一通りそろったら、いよいよ管轄の運輸支局で名義変更を行います。
このとき注意しなければならない点は、運輸支局が平日の日中しか営業していないことです。
多くの人は、仕事の合間に時間を縫って手続きするか、休みを取って手続きする形になることが予想されます。
そのため、手続きの時間が取れない人は、行政書士事務所やディーラーに手続き代行を依頼してもよいでしょう。
新しい所有者が自力で手続きを済ませる場合は、運輸支局の窓口まで足を運び、具体的な手続きの流れを説明してもらえば問題ないでしょう。
なお、直接手続きをする際は実印を持参する必要があり、行政書士などに依頼する場合は委任状を用意します。
運輸支局で名義変更の手続きを行う場合、相続人の人数・相続の仕方によって、準備する書類の種類が大きく3パターンに分かれます。
以下、それぞれのパターンと、必要書類をご紹介します。
<相続人が一人だけで、その一人が相続するパターン>
戸籍謄本(故人) | 「全部事項証明書」が必要 |
---|---|
戸籍謄本(相続人) | 「全部事項証明書」が必要 |
相続人の印鑑 | 実印を用意 |
相続人の印鑑証明書 | 発行から「3ヶ月以内」のもの |
車検証 | 原本を用意 |
自動車保管場所証明書 (車庫証明書) | 40日以内のもの ※(故人と相続人が同居していた場合は不要) |
<複数の相続人がいて、その中の一人が相続するパターン>
戸籍謄本(故人) | 「全部事項証明書」が必要 |
---|---|
戸籍謄本(相続人) | 「全部事項証明書」が必要 |
遺産分割協議書 | ●相続人全員が実印を押印したもの ※(未成年者がいる場合は「特別代理人」の押印が必要) ●車の価格が100万円以下の場合は「遺産分割協議成立申込書」でも可 |
相続人の印鑑証明書 | 発行から「3ヶ月以内」のもの |
車検証 | 原本を用意 |
自動車保管場所証明書 (車庫証明書) | 40日以内のもの |
<複数の相続人がいて、共有する形で相続するパターン>
戸籍謄本(故人) | 「全部事項証明書」が必要 |
---|---|
戸籍謄本(相続人) | 「全部事項証明書」が必要 |
相続人の印鑑証明書 | ●発行から「3ヶ月以内」のもの ●共有(共同相続)する人全員分を用意 |
相続人全員の印鑑 | 実印が必要 ※(本人が来られない場合は、実印を押印した委任状が必要) |
車検証 | 原本を用意 |
自動車保管場所証明書 (車庫証明書) | 40日以内のもの |
最低限、上記のパターンを想定していれば、書類の準備を進めやすいでしょう。
所有者がディーラーのケースで、まだ故人がローンを支払い終えていなかった場合、そのままでは車を相続できません。
よって、基本的には相続人がローンを一括返済して車を相続する形になります。
しかし、予算の都合上、一括返済が難しい場合もあるでしょう。
そのような場合は、相続人がディーラー・信販会社によるローンの再審査を受け、引き続き相続人が返済を続けるという選択肢もあります。
手続きの具体的な流れは、ディーラーや信販会社によって異なりますが、まずは返済方法をすり合わせることがスタートラインになります。
具体的には、ローンの残額・返済方法・所有権解除の手続きなどについて確認する必要があります。
最終的に、一括返済した方が有利な条件になりそうなら、相続人が故人と同条件でローンを引き継ぐのではなく、より金利の安い金融機関などからお金を借りて、そのお金でローンを返済するのも一手です。
相続した車のローンを支払う際は、できるだけ多様な選択肢を検討しておき、自分にもっとも有利なものを選ぶことが大切です。
ローンが残っている車につき、少しでも返済負担を減らして相続するためには、より有利な条件でお金を借りてローンを支払いたいところです。
しかし、住んでいる地域によっては、ローンを組む金融機関の選択肢が限られてしまうおそれがあります。
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持ち主がいなくなった車は、そのままでは乗り続けられないため、何らかの方法で相続手続きを行う必要があります。
一般的な相続手続きにおいては、所有者名義の確認、相続人の決定、車庫証明申請、名義変更という手順を踏みます。
ローンが残っている場合は、原則一括返済が必要になりますが、一括で支払えない場合は「相続人がローンの審査を受け返済を続ける」という選択肢もあります。
より有利な条件で相続したい場合は、金融機関でのローンの借り換えも検討してみましょう。
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