2024年04月23日
近年注目を集めている再生医療は、病気や事故などによって失われた体の機能を、自身の細胞や人工的な材料を使って再生する最先端医療です。再生医療を活用すれば、これまで治療が難しいとされていた病気や怪我の改善が期待できます。さらに、身体機能の改善やエイジングケアの分野でも大きな可能性を秘めています。しかし、日々進化を続けている再生医療の大半は、まだまだ有効性や安全性が確立しておらず、健康保険が適用される治療は限られています。
そこで、今回は健康保険を活用して受けられる治療、健康保険適用外の再生医療の治療を、費用を抑えながら受ける方法、加えて再生医療を活用することで改善が見込める症状をご紹介したいと思います。
目次
日本では、健康保険を納めている人が、厚生労働大臣の登録を受けた医療機関にて医療を受けた場合、多くの治療は治療費の3割(被保険者の年齢や年収によっては1~2割)を支払うことで受けることができます。しかし、厚生労働省が承認していない治療や薬を使う、自由診療と言われる治療は、全額自己負担になります。
では、再生医療では、どんな治療が保険適用になっているのでしょうか。
健康保険が適用される医療は、費用が補助されるだけではなく、安全性、有効性が確立された治療として安心して受けることができるものです。2015年9月、表皮細胞の再生シートと骨髄由来間葉系幹細胞の承認を皮切りに、毎年様々な新再生医療等製品が厚生労働省に承認されています。
2022年4月現在、保険適用で受けられる治療は以下の通りです。
また、再生医療への期待が高く「一刻も早く自分の症状に対応する治療を受けたい」という希望が多いことから、有効性が推定され、安全性が確認されたものに関しては、早期に承認、保険適用できる『条件および期限付き承認』という制度があります。『条件および期限付き承認』を受けた再生医療等製品は、製造販売後に使用成績調査や製造販売後臨床試験を実施して、7年以内に有効性、安全性を検証し、再度承認申請して本承認を取得する必要があります。
2022年4月現在、条件および期限付きで承認されているのは以下の治療です。
これらの治療も保険適用で受けることができます。
日々進化を続ける再生医療分野において、保険適用される治療は限られています。では、現在は厚生労働省に承認されていない、保険適用外の再生医療を受けるには、どのような方法があるでしょうか。
日本の保険制度では、保険診療と保険外診療を併用した場合、原則として全額自己負担となります。しかし、厚生労働省が定める先進医療(保険外診療)と通常の保険診療を併用した場合、保険診療分は通常通り保険が適用され、先進医療のみ全額自己負担となります。この制度を保険外併用療養費と言います。
先進医療は、厚生労働省が指定した医療機関で受けた場合のみ、保険診療との併用が認められています。認定されていない医療機関で同じ治療を受けた場合、保険診療も含めて全額自己負担となるため注意が必要です。
様々な実験で安全と予測された医療や薬を、健康な人や患者の協力のもと人体で行う試験を臨床試験といいます。臨床試験の中でも、厚生労働省から医薬品・医療機器等としての承認を得るため、医薬品医療機器等法に従って行われる試験が「治験」です。
特に再生医療等製品の治験に関しては、生きた細胞やウイルスが製品であるため、医師のみならず、製品を管理する担当者の事前トレーニングが必要です。そのため、再生医療等製品の治験は、体制が整った限られた病院でのみ受けることができます。
治験にかかる費用は、先進医療と同様保険外併用療養費が適用されます。つまり、保険外診療にあたる再生医療等製品の費用や、保険診療が認められない治験に関わる検査の費用などは全額自己負担となります。一方、保険診療範囲内の診察や検査等は通常通り保険が適用されます。治験においては、多くの場合、保険外診療にかかる費用は治験依頼者(製薬会社など)が負担するため、実質的には保険診療の自己負担分のみで治療を受けることができます。
使用する再生医療等製品や治験を受ける病院によって費用や検査内容が異なりますので、詳細は治験を担当する医療機関に確認しましょう。
現在、多くの再生医療は自由診療です。全額自己負担となるため、高額な費用がかかります。しかし、日々進化する最先端の医療技術や薬剤を、承認を待つことなくいち早く受けることができるため、希望する人が増えています。
一方で、厚生労働省の承認を受けていない治療法や薬剤の中には、科学的根拠が十分に確立されていないものも多く含まれるため、事前に担当医師から十分な説明を受け、納得した上で治療を受けることが重要です。
再生医療は、そのリスクに応じて、高リスクである「第1種再生医療等」、中リスクである「第2種再生医療等」、比較的低リスクな「第3種再生医療等」の3つに分類されています。
いずれの分類の再生医療等を実施する場合も、再生医療等提供計画を厚生労働大臣への届け出が義務付けられています。
未知や既知のリスクが高い再生医療が第1種再生医療等に分類されています。
iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)など幹細胞を応用した医療や、遺伝子を導入した細胞を用いた再生医療、本人以外の細胞を培養、または加工したものを用いた再生医療などがこれにあたります。
人に実施したことはほとんどなく、大学病院や国立の医療機関などで臨床実験が行われています。
既に人に実施しており、既知の中程度のリスクがある再生医療を第2種再生医療等に分類しています。
体性幹細胞や神経幹細胞、造血幹細胞など、決まった細胞にしか変化しない幹細胞を培養、またはその他の加工を施したものを用いた治療がこれにあたります。
細胞の本来の機能を利用し、大きな操作を加えないため、リスクが低いと考えられる技術を第3種再生医療等に分類しています。
リンパ球を用いた癌免疫治療などがこれにあたります。
ここでは、再生医療がどのような症状の改善に活用さ入れているか、またその大まかな費用を具体的に紹介します。
皮膚の再生医療の代表的なもののひとつに「自家培養表皮」による治療があげられます。患者自身の正常な皮膚から細胞を取り出し、培養して移植する治療です。重症熱傷、先天性巨大色素性母斑、表皮水疱症(接合部型と栄養障害型に限る)の治療では保険が適用され、高額療養費制度の対象にもなるため、自己負担額は月額60,000円~250,000円程度になります。
美容目的での培養表皮治療は全額自己負担となりますので、費用は1,000,000円〜2,000,000円程と非常に高額になります。
その他、美容分野では「自己多血小板血漿(PRP)を用いたしみ、しわ、たるみ、にきび跡などの再生療法」が100,000円~300,000円程度、「自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いたアトピー性皮膚炎の治療」が1,500,000円~3,000,000円程度となります。
角膜上皮幹細胞疲弊症とは、目の病気やケガが原因で黒目と白目の境目にダメージを受けた際に、角膜上皮幹細胞が消失してしまう病気です。角膜上皮幹細胞疲弊症を、自家培養角膜上皮シートを移植することで治療する方法が、2020年6月1日より保険適用になりました。高額療養費制度を活用することができるので、自己負担額は月額60,000円〜250,000万円程度になります。
自由診療では、「多血小板血漿(PRP)を用いた角膜組織修復」が150,000円〜200,000円程度の費用で治療を受けることができます。
関節の治療で保険適用されている再生医療は「自家培養軟骨移植術」です。「自家培養軟骨移植術」とは、患者本人の軟骨組織の一部を取り出して体外で培養し、軟骨が欠損している部分に移植するという治療です。膝関節の外傷性軟骨欠損症か、離断性骨軟骨炎の治療にのみ保険が適用されます。
現在、日本で約3000万人の方が患っているといわれる変形性膝関節症は、年齢とともに軟骨が消耗し、階段の上り下りや歩行の際に膝に痛みを感じる病気です。今のところ変形性膝関節症には、保険が適用された再生医療による治療法はありません。自由診療の「自家多血小板血漿(PRP)による治療(100,000円~500,000円程度)」や「自己脂肪由来幹細胞を用いた治療(1,000,000円~2,500,000円程度)」を行っている医療機関が多くありますが、全額自費負担となるため、高額な費用がかかります。
先述したとおり、保険適用や先進医療に認定された再生医療は負担が軽減されますが、自由診療の治療に関しては高額な費用が必要になることが多くあります。また、保険適用であっても治療によっては数百万もかかってしまうような場合があります。では、できる限り費用を抑えて再生医療を受けるにはどのような方法があるでしょう。
保険適用であっても、最先端技術である再生医療による治療は、開発にコストがかかるため高額になりがちです。中には1千万円を超える再生医療等製品もあります。そのような治療を受けた場合、3割負担であったとしても高額な費用が必要です。そのような時は高額療養費制度を活用しましょう。1カ月の医療費が、年齢や収入によって定められた限度額を超えた場合、超えた分の費用が払い戻されるという制度です。
しかし、高額療養費制度が適用されるのは保険診療の医療費に限られるので、自由診療で支払った医療費や、先進医療を受けた際の保険外診療の費用などは対象外となるため、注意が必要です。
本人、または同居する家族の1年間の医療費の合計が、10万円または所得総額の5%のいずれか低額な金額を超えた場合、確定申告をすることで超えた金額分が所得から控除され、支払った税金の一部が還付される制度を医療費控除といいます。
管轄の税務署によって異なりますが、再生医療の治療費は、自由診療、保険診療ともに医療費控除が適用される可能性が高いので、税務署に問い合わせてみましょう。
再生医療を受ける際、医療ローンを利用することは可能です。医療ローンは、目的を医療費の支払いに限定した目的別ローンで、フリーローンやカードローンより、比較的低い金利で借りることができます。医療ローンには銀行系ローンと信販系ローンがあり、銀行系は審査が厳しい代わりに金利が低めに設定されています。医療機関によっては信販会社と提携して、病院窓口でローンを申し込むことが可能なところもあります。銀行系と比べて金利が高く設定されている代わりに、審査は通過しやすく、短時間で結果が出るところもあります。
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再生医療は、日々進化を続けている最新技術であり、その安全性や有効性が、厚生労働省の承認を得られていない治療も多くあります。まずは事前の情報収集を行い、担当医から説明を受け、メリットやデメリット、副作用などしっかりと把握した上で、受けるか否かの判断を行いましょう。
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再生医療は健康保険の適用外である場合が多く、治療費は高額になりやすいです。 ただし、医療ローンを活用することで、費用の負担を軽減することが可能です。と非適用の治療を比較しつつ、ローンを利用して治療費を賢く管理する方法についても解説しています。を立てることが重要です。