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女性から男性への性別適合手術(性転換手術)の費用相場|保険適用や医療費控除も解説

一言コメント村田大輔 - 貸金業取扱主任者/クラウドローン株式会社代表

LGBTQ+に属するトランスジェンダーの方々が性別適合手術を検討する際、治療内容や費用に関する不安は大きいものです。本記事では、FTM(Female to Male)の個人が性別適合手術を受ける際の具体的な進め方、費用、健康保険の適用範囲、医療費控除の対象範囲について詳しく解説しています。また、2018年にWHOが性同一性障害の分類を更新したことにも触れ、最新の医療環境に基づいた支援情報を提供しています。性別適合手術について正確な情報を求める方は、是非参考にしてください。

幅広いセクシュアリティを総称するLGBTQ+。近年では、社会に認知され、話題になることも多くなってきました。トランスジェンダー(身体的性と性自認が異なる人)の方が性別適合手術(性転換手術)を希望する時、治療内容やそれに関わる費用が分からず不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、女性として生まれ、性自認が男性の人(FTM:Female to Male)が、性別適合手術を受ける場合の治療の進め方から、費用や健康保険適用範囲、医療費控除の対象範囲などについて詳しく解説していきます。

※性同一性障害は、世界保健機関(WHO)が2018年に改訂した国際疾病分類では「性別不合」とされ、精神障害の分類から外れましたが、国内ではまだ未適用のため、この記事では性同一性障害と記載します。

目次

女性から男性への性別適合手術費用は平均100~200万円程度

日本精神神経学会および性同一性障害学会では、性転換手術を正式には「性別適合手術」と呼んでいます。FTMの性別転換手術には、具体的には乳腺摘出・乳房切除、子宮・卵巣摘出術、膣閉鎖、陰茎形成術などがありますが、全ての治療を全て受ける必要はなく、自分にとって必要だと思う手術だけを選んで受けていくことになります。
手術費用は、内容やホルモン治療の期間によっても異なりますが、平均で約100~200万円程度とされています。

女性から男性への性別変更には性別適合手術が一般的

戸籍の性別を変更する場合には、2003年に成立した「性同⼀性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(2008年一部改正)」に基づき、家庭裁判所の審判が必要です。司法統計によると、特例法が施行されてから2022年までの間で、戸籍上の性別を変更した人数は約12,000人程度です。変更が認められるためには、次の1から6までの要件のいずれも満たす必要があり、事実上、手術が必要とされていました。

  1. 2人以上の医師により性同一性障害であることが診断されていること
  2. 18歳以上であること
  3. 現に婚姻をしていないこと
  4. 現に未成年の子がいないこと
  5. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
  6. 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

性別適合手術なしで女性から男性への性別変更が認められた例も

しかし、2023年10月、最高裁判所大法廷決定において、この「性同一性障害特例法」の6つの要件のうち、5の要件(生殖不能要件)は憲法13条に違反し無効であるとの判断が示され、6の要件(外観要件)は高等裁判所で審理をやり直すよう命じられました。よって、性同一性障害特例法は今後の法改正が待たれるところです。

この決定を受けて、戸籍上の性別を変更する際の運用が変わり、家庭裁判所が5と6の要件を無効として戸籍上の性別変更を認めるケースも出てきています。実際に静岡家庭裁判所では手術を受けていない女性の戸籍上の性別を男性に変更することを認めた例もあります。

女性から男性への性別適合手術にはどの科を受診すればいい?

性別適合手術は不可逆的な手術なので、本人の強い希望によって行われています。日本精神神経学会の医療機関向けガイドラインによると、性別適合手術を受けるためには、まずは精神科や心療内科で「性同一性障害」の診断を受けてから、身体的な治療に移ることを勧めています。

治療は原則的に第1段階(精神的サポート)、第2段階(ホルモン療法と乳房切除術)、第3段階(性器に関する手術)と進み、それぞれの治療で受診科目が異なります。ホルモン治療は主に泌尿器科や産婦人科、内科、精神科で、乳房切除術は美容整形外科、子宮卵巣摘出は産婦人科、陰茎形成は泌尿器科・形成外科を受診することになります。

身体的治療を受ける時は、治療内容を十分に理解したうえで、個人の状況に合わせて治療内容と順番を自分で決めますが、診断の手続きと精神科領域の治療を省略することはできません。

女性から男性への性別適合手術費用の内訳

ここからは、FTMが受ける性別適合手術の種類や内容、必要な金額について詳しく解説していきます。なお、正式にはFTMの性別適合手術に含まれるものは、下記の④子宮卵巣摘出術と⑤陰茎形成術のみです。

女性から男性への性別適合手術費用①【診断書代:3,000~数万円】

改名や戸籍の変更を希望する時にも必要になるのが診断書です。性同一性障害に関して専門知識を持つ精神科医に診断してもらうことが望ましく、2人の精神科医の診断が一致することで、性同一性障害と確定します。ただし、身体的治療を前提としない診断書は、必ずしも2人の精神科医の一致した診断が必要になる訳ではありません。
診断書がもらえるまでの期間としては、初診でもらえる場合もあれば、1年程度カウンセリングに通う場合もあります。必要な費用は、診断書代として3,000〜60,000円程度と通院費も別にかかります。

女性から男性への性別適合手術費用②【ホルモン治療:1回1,500〜5,000円】

精神科の治療を続けるなかで身体的治療への移行を強く希望する場合は、ホルモン治療からはじめるのが一般的です。ホルモン治療では、2週間から1カ月に一度の頻度で1年以上男性ホルモンの製剤を投与します。ホルモン療法を開始すると、開始後数ヶ月で次のような変化が現れます。

  • 乳房の縮小
  • 皮下脂肪の減少、筋肉、内臓脂肪の増加
  • 月経の停止
  • 性格の男性化
  • ひげが生えてくる、頭髪の減少

薬の種類や量によって金額は変わりますが、通常1回1,500〜5,000円程度かかります。治療中は、副作用に注意が必要で、定期的な検査も必要です。ホルモン治療は性別適合手術を受けた後でも、生涯受け続ける必要があります。

女性から男性への性別適合手術費用③【乳房切除術:50~130万円】

乳房切除術とは、胸を切除して男性的な平らな胸にする手術です。性別適合手術には当たらず、性別変更に際して必須の処置ではありませんが、多くのFTMの方が選択しています。
一般的に採用されているのは乳輪の中央を横に切開する「経乳輪的乳房縮小術(TATG法)」であり、わずかな傷から乳腺をすべて取り除くことで平らな胸にします。同時に乳頭の縮小術も行うことがあります。バストの大きさや形状などによって最適な方法は異なり、手術費用も異なりますが、一般的には50〜130万円程度かかります。

女性から男性への性別適合手術費用④【子宮卵巣摘出:50~140万円】

子宮およびその付属器を摘出する手術です。生殖機能に関わる不可逆的な性別適合手術のため、男性としての生活を少なくとも1年以上続けたうえで手術を行うのが理想とされています。子宮卵巣の摘出術は、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの婦人科疾患で一般的に行われている手術と手技上は同じで、手術方法は腟式手術、腹腔鏡手術、開腹手術があります。
タイなどの海外で手術する場合は国内よりも費用が少なくて済むケースもあり、平均的な必要金額は50〜140万円と言われています。

※なお、すでに解説したように2023年に最高裁で性同一性障害特例法の要項にある生殖不能要件は違憲判決が出たことを受け、現在では子宮卵巣の摘出は性別変更において必須の条件ではありません

女性から男性への性別適合手術費用⑤【陰茎形成:300万円程度】

腕や太ももの皮膚など身体の別の組織から採取した部位を用いて疑似陰茎を形成する手術です。陰茎形成は性別変更のために必須ではなく、身体への負担も大きく、尿路系の合併症のリスクが高いため選択する人は少ないと言われています。陰茎形成を行う場合は、下準備の手術として、膣を閉じるための膣閉鎖術、尿道延長術が必要です。時間をかけて疑似陰茎を形成してからの手術となり、準備に手間やお金もかかります。かかる金額はそれらの準備段階での必要金額も含めて約300万円ほどです。

性別適合手術費用以外に女性から男性への性別変更に必要な費用

性別を変更する場合は、大きな金額となる性別適合手術の費用だけを考えがちですが、実は医療機関に支払うお金以外にも見落としがちな出費があります。ここでは、女性から男性に性別を変更する時に必要な手術代以外の項目について見ていきましょう。

海外で女性から男性へ性別適合手術するなら渡航費用が必要

国内では共通のガイドラインに沿ってトータルで治療を行う医療施設の数が少ないのが現状です。近隣に手術可能な医療機関がない場合には、遠くの医療機関まで通うための交通費が必要です。
もし、海外で手術を受ける場合には、手術費に加えて旅費やパスポート代などの渡航費用が必要です。現地の病院とのやりとりなどを頼めるアテンドサービスを利用する可能性もあります。入院生活で必要な海外対応の電化製品を揃えたり、入院中に必要なものを現地で買うための外貨もある程度必要です。

女性から男性へ性別適合手術後の生活費

手術後は多くの方が休職をして自宅療養をすることになります。術後の体調の戻り方には個人差があり、傷が治っても体力の回復に時間がかかって職場への復帰が遅れる、復帰しても以前と同じように働くことができない、といった事態も想定しておきましょう。有給消化では足りずに休職をする可能性も考え、最低でも3カ月程度は生活できる費用を確保しておくと安心です。

戸籍の性別変更のための費用

戸籍の性別変更に必要な診断書をもらうための通院費、診断書代をはじめ、戸籍謄本や住民票を準備する費用、裁判所への申立て費用などで数万円程度かかります。裁判所への申立ては自分でもできますが、司法書士や行政書士、弁護士に提出書類の作成を依頼する場合は、数万円の報酬が必要です。性別変更後は、免許証や金融機関、保険などの各種変更手続きが必要で、それぞれに足を運ぶための交通費も必要になってきます。

女性から男性への性別適合手術後もホルモン治療費用は必要

性別適合手術が終われば通院が不要になる訳ではなく、ホルモン治療は生涯続きます。定期的にホルモン値を知るための血液検査も必要です。以前は、手術後はホルモン投与間隔を開けて、投与量も減らすケースもありましたが、現在は手術前と同量投与されることも多くなっています。

女性から男性への性別適合手術費用は保険適用?

長らく精神療法のみが健康保険の適用対象でしたが、2018年の診療報酬改定で性別適合手術や乳房切除など性同一性障害の手術療法に対して、一定の施設基準を満たした医療機関での手術に限り、健康保険が適用されるようになりました。
しかし、ガイドラインで手術の前に必要と位置付けられているホルモン治療が保険適用となっていません。ホルモン療法を行っている人の手術は、手術も含めて一連の治療とする混合診療と判断され、自費診療となります。そのため、実際に性別適合手術が保険適用になるケースは少ないのが実情です。

女性から男性への性別適合手術費用は医療費控除の対象になる?

医療費控除とは所得税を軽減するための仕組みで、年間の医療費が一定の金額を超える場合、その超過分が所得から差し引かれ、納税額が軽減される制度のことです。

性別適合手術を受けた人の場合は、精神科の受診やホルモン療法、手術費用は医療費控除の対象となります。また、個人輸入したホルモン代や海外で受けた手術の費用も対象になります。

女性から男性への性別適合手術費用にローンは使える?

今すぐまとまったお金は用意できないが、一刻も早く希望する性で生活をしたいという場合には、ローンの利用を検討するのもひとつの方法です。

病院によっては提携ローンを用意している場合があり、銀行系医療ローンとくらべると金利は高めになりますが、審査は通りやすい傾向があります。病院の提携ローンがない場合や、金利の低いローンを選びたい場合は銀行ローンを検討しましょう。

銀行ローンでは、メディカルローンを利用できる可能性があります。希望する銀行で医療ローンの取り扱いがない場合は、用途を限定しないフリーローンや、必要な時に利用できるカードローンも検討してみてはいかがでしょうか。

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女性から男性への性別適合手術費用は余裕を持った準備が必要

2023年の最高裁判決は、日本におけるトランスジェンダーの権利を大きく前進させました。性同一性障害の治療の目的は、社会のなかで自らが希望する性別で生活していくことにあります。手術を受けて自分が望む状態になるためには、手術前に内容やリスクをよく検討することが大事です。また、手術代だけでなく手術前後の生活費など余裕を持って資金を備えておくことも大切です。もし現在ひとりで悩んでいるなら、まずはサポートしてくれるセラピストや医師を見つけることからはじめていきましょう。


POINT

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