2023年12月06日
出産は病気やケガではないため健康保険は適用されず、費用は全額自己負担となります。しかし、医療処置を伴う分娩の場合には保険が適用されます。
出産時に人工的に陣痛を起こして分娩を促す「誘発分娩」は、母体と赤ちゃんの安全性を考慮して行われるものです。誘発分娩は医療処置として医療保険が適用になるのでしょうか。出産には健康保険が適用されなくても、出産一時金などの手当もあります。出産に関する費用の相場や、費用を抑える手当の仕組みなどについてご紹介します。
目次
誘発分娩は陣痛を促すために陣痛促進薬を使用して、人工的に子宮口を開く処置を行う分娩方法です。誘発分娩は自分で選択するものではなく、母体と赤ちゃんの安全性を考慮して医師の判断で行われます。
誘発分娩を実施した場合、薬を投与するなどの処置がされるため、普通分娩に費用が加算されます。基本的に、誘発分娩は自然分娩の範囲内であるため医療保険の対象とならず、費用はすべて自己負担です。
相場としては数万〜20万円程度が一般的です。陣痛促進剤の投与や入院日数の超過分、バルーンや投薬などの費用分が加算されます。医療機関によって投薬回数や入院日数、処置内容が異なり、入院する部屋などによっても費用が変わってきます。
誘発分娩は基本的に医療保険は適用されませんが、医師が母体も赤ちゃんも危険な状態になると判断する「異常分娩」として処置をした場合には医療保険が適用されます。
<異常分娩と判断されるケース>
誘発分娩には主に3種類の処置があります。
母体や赤ちゃんの状態から医師が判断して処置を行います。
バルーンにはラミナリアという子宮の中の水分で拡張する棒状の器具と、メトロイリンテルという生理食塩水をいれてふくらませるバルーン形状の器具の2種類あります。器具が膨らむことにより子宮を刺激し、その収縮を促し、子宮口を柔らかく開きやすい状態にします。バルーンの費用は器具の種類によって異なり1~3万円程度です。
陣痛が始まらない、陣痛が強くならないという時には陣痛促進剤(陣痛誘発剤)を使用して、陣痛を促進させます。
陣痛促進剤(陣痛誘発剤)を使用した場合、費用は医療機関により異なり、1回1~3万円ほどが相場です。前処置や投薬があった場合はその費用も含まれます。
陣痛促進剤を使用しても陣痛が誘発されない場合は、内診時に胎児を包んでいる卵膜を破って人工的に破水させ、陣痛を誘発させる「人工皮膜」を行います。
自然分娩の場合、公的医療保険が適用されないため、出産費用は全額自己負担となります。分娩から退院までには、入院料、分娩料、検査・薬剤料、処置・手当料、新生児管理保育料、差額ベッド代、などがかかります。
出産する地域や病院、出産方法によって変動しますが、自然分娩の場合にかかる出産費用は、50万円程度です。
帝王切開などの異常分娩の場合は健康保険が適用されるため、医療費の3割が自己負担額となり、手術、入院費用、麻酔、投薬、などが保険適用となります。だたし、全ての費用が保険適用されるわけではなく、異常分娩の場合にかかる分娩介助料のほか、新生児管理保育料、病院での食事代、差額ベッド代、などは自己負担となり、自然分娩と大きく費用は変わりません。
高額療養費制度は1カ月間にかかった医療費の自己負担額が高額になり限度額を超えた場合、その分のお金が払い戻される制度です。健康保険・国民健康保険を問わず、公的な健康保険の加入者なら誰でも利用できますが、所得などに応じて自己負担限度額が決まっています。高額療養費は、同じ月に他の病院でかかった医療費や、家族の医療費を合算し申請することが可能です。また、帝王切開が決まっているなど、高額な医療費がかかると分かっている場合には事前に申請を行い、病院での窓口での支払いを自己負担額までにすることもできます。
基本的に自然分娩では高額医療制度は適用されませんが、帝王切開や切迫早産などで医療行為を受けた際には利用することができます。誘発分娩の場合も通常分娩の範囲であれば、自然分娩とみなされるため適用されませんが、医師が医療行為として処置をした場合には適用されます。
高額療養費の対象となる医療費はあくまでも出産時に健康保険の適用となる医療費のみで、病院での食事代や差額ベッド代など出産時に自己負担となるものは対象となりません。
医療保険の場合にも、自然分娩の範囲内の誘発分娩は基本的に医療保険は適用外です。異常分娩と判断された場合には公的保険と同様に保険適用されます。
ただし、保険会社によって医療保険が下りるケースもあるため、誘発分娩を行った場合は確認をしましょう。
医療費控除とは1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費が、世帯の合計で10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超える場合、所得が控除される税金の制度です。医療費控除を受けるためには翌年に税務署あてに確定申告を行う必要があります。
医療費控除の医療費には誘発分娩も含まれます。出産にかかった費用から、出産一時金や高額医療費制度で支払われた金額が差し引かれて計算されることになります。10万円に満たない場合でも、出産にかかった費用だけでなく、家族の分の医療費もまとめて申告できるので、1年分の医療費の領収書は必ず保管しておきましょう。
自然分娩での誘発分娩は医療費とならず自己負担になりますが、保険組合などから支給される手当を利用することで、医療費とならない場合でも出産費用を補うことができます。
出産育児一時金は、出産前後の経済的負担を軽減するために、保険組合から支給されるお金です。健康保険や国民健康保険等に加入している妊婦であれば、出産育児一時金が子ども1人につき50万円が支給されます。(※制度の改正により、2023年4月1日の出産から42万円から50万に増額。)出産一時金の申請は医療機関経由で、またはご自身で直接保険組合に申請します。
適用には、妊娠4カ月(85日)以降での出産が条件です。妊娠週数が22週に達していない場合など、産科医療補償制度対象出産ではない場合は、減額されます。
出産育児一時金により、通常の出産費用の多くを補うことが可能です。
出産手当金とは、出産のために会社を休んだ際に支給される手当のことです。
出産手当金の支給開始日以前12ヵ月の標準報酬(給与・賞与)月額の平均して、その2/3程度の金額が日割りされて支給されます。
出産手当金は、出産の予定日を含む出産日までの42日間(双子など多胎妊娠なら98日間)から、出産日の翌日以降56日目まで受給できます。ただし、受給できるのは産休を取得した期間のみです。
出産手当金の申請は産休開始の翌日から2年間です。期限を過ぎると一部が支給されなくなるおそれがあるため、育休を取得予定の場合などは申請期間について会社の担当部署に早めに確認をしておきましょう。申請から1~2カ月程度で指定口座に振り込まれます。
出産に関する手当は基本的に出産後に支払われるため、出産時に支払いができない人のために、全国健康保険協会や健康保険組合、都道府県社会福祉協議会では出産費の貸付制度があります。
出産費貸付制度は、手元に資金がない場合に出産費用を借りられる制度です。全国健康保険協会や健康保険組合には、一定の条件を満たす人に、出産育児一時金が支給されるまでのあいだ、出産育児一時金見込額の8割相当を無利子で貸与する制度があります。利用できるのは、健康保険に加入する本人または配偶者(被扶養者)です。
なお、国民健康保険にも同様の制度がありますが、実施していない市区町村もあります。
生活福祉資金は、高齢者世帯や低所得世帯などを対象に貸付を行う制度です。都道府県社会福祉協議会が、生活福祉資金貸付制度の一環として行っており、貸付には出産費用も対象となります。
貸付上限額は50万円、返済期間は3年以内(6ヵ月は据え置き)です。連帯保証人ありの場合は無利子、なしの場合は年1.5%の利子がつきます。
妊娠すると、健診や必要なものの準備などで出産前から費用がかかりますが、給付金などが支給されるのは基本的に出産後。制度やサービスをフル活用しても、どうしても費用が足りない場合は、医療ローンやカードローンなども検討してみてはいかがでしょうか。
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自然分娩の場合、公的医療保険が適用されないため、出産費用は全額自己負担となります。また、自然分娩であっても、誘発分娩など出産は予定外のことも起こる可能性があり、出産費用も予定通りにはなりません。
妊娠から出産、産後、育児にも費用が必要となります。今後かかる費用を考えて補助金の制度、貸付制度の仕組みやローンについて理解し、安心して出産を迎えられるように準備をしておきましょう。
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この記事は出産にかかる費用と、それを補助するさまざまな公的制度について詳しく解説しています。特に、誘発分娩のような特別なケースで健康保険がどう適用されるのか、また出産育児一時金や高額療養費制度を利用する方法についても触れており、未来の親にとっては計画的に資金を管理する上で役立つ情報が満載です。出産の経済的負担を理解し、適切に準備するためのガイドとしてぜひ参考にしてください。