2023年07月04日
お産にかかる費用は、どのような形で分娩するかにより変わることもあり、少し複雑です。この記事では「帝王切開」にフォーカスし、保険適用はされるの?自己負担額はどのくらいになる?などの疑問に答えていきます。出産費用だけではなく、妊娠中や産前産後に必要な費用の相場と、負担を軽くしてくれる制度やサービスについても解説!お金の予習をしっかりして、万全の態勢で出産にのぞみましょう。
目次
自然(経腟)分娩による出産は、病気やケガではないため、保険が適用されず、分娩費用は全額自己負担となります。一方、帝王切開による出産は、医療行為が介入するため保険が適用され、麻酔、投薬、手術、入院費用などの自己負担は3割となります。
分娩費用だけで比較すると、保険適用となる帝王切開の方が自然分娩より安いですが、入院も含めたトータルの出産費用の自己負担額は帝王切開と自然分娩でほとんど変わらないことも多いです。これは、入院日数が5日前後の自然分娩に対し、帝王切開の場合、入院日数が7日〜10日と長くなるためです。
帝王切開による出産にかかる費用は、保険適用となる部分と、自己負担となる部分が混在し、複雑に感じるかもしれません。保険適用となる費用については高額療養費制度の対象にもなります。費用の内訳を項目ごとに整理していきましょう。
帝王切開の手術費用は保険適用のため、どの病院でも同じ金額となります。自然分娩では約25万円の分娩費用が全額自己負担となるのに対し、帝王切開では、6万円程度の自己負担となります。
帝王切開には2パターンあり、どちらかによって少し金額が変わってきます。
医療費 | 自己負担額 | |
予定帝王切開 | 201,400円 | 60,420円 |
緊急帝王切開 | 222,000円 | 66,600円 |
「予定帝王切開」は、事前の検査などから経腟分娩に適さないと判断され、前もって計画しておこなわれます。
「緊急帝王切開」は、妊娠経過中やお産の進行中に何らかの理由で経腟分娩が不可能との判断で急遽おこなわれるものです。
帝王切開の場合、入院中の治療費や入院基本料も保険適用です。ただし、産前産後をゆっくりと過ごしたい、などの理由で個室や設備の整った部屋を希望したときの差額ベッド代は全額自己負担となります。1人部屋の個室の追加料金は、1日あたり8,000円ほどです。
その他にも食事代や消耗品費、新生児管理保育料なども公的医療保険の適用対象外となり全額自己負担です。
一般的な病院で相部屋を選択した場合、入院にかかる費用は1日2万円程度が目安ですが、豪華な設備や食事を提供する病院だと費用も高くなります。
帝王切開による出産にかかる費用のうち、保険適用となる麻酔、投薬、手術、入院費などは高額医療費制度の対象となります。
高額療養費制度とは、健康保険を使って病院にかかり、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担分が一定の額を超えた場合、超えた金額が還付される制度です。支払いの上限額は所得により異なりますので、ご自身の収入をもとに計算してみましょう。
窓口での支払いが済んでいても、申請することで上限額より多く支払った分の払い戻しを受けることができます。出産以外の通院でかかった費用や家族の医療費も、同じ月で保険適用のものならば合算が可能です。保険適用外の差額ベッド代などは高額療養費制度の対象にならないので注意しましょう。
<限度額適用認定証を使えば窓口負担を減らせる>
一旦窓口で保険適用後の全額を支払ってから申請をする場合、還付までに3ヶ月程がかかります。あとから戻ってくるとはいえ、一時的には大きな金額を負担することになります。
窓口での負担を最小限に抑えたいときは、支払いの際に窓口で「限度額適用認定証」を保険証とあわせて提示し、自己負担限度額までの金額のみを支払う方法もあります。この場合、自己負担限度額を超えた分は医療機関から健保へ直接請求されます。
限度額適用認定証は、国民健康保険は市役所などの国民健康保険係の窓口、協会けんぽ、組合健保などの被用者保険は保険の所属支部に申請すると交付されます。
予定帝王切開など、あらかじめ医療費が高額になりそうと分かっている場合は、事前に交付してもらっておくのもおすすめです。
妊娠が分かってから出産するまでの間は、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?妊婦健診の費用や、出産準備品の購入費用は自治体のサポートをしっかり活用しましょう。
妊婦健診は補助券により自治体の助成を受けることができますが、枚数や補助金額は自治体により異なります。
妊婦健診は妊娠週数により頻度が変わり、必要な枚数の補助券が発行されます。
全額助成となる自治体もあり、一部助成となる自治体の場合でも、自己負担は1回1,000円〜3,000円程度が一般的です。36週を超えると出産に向けて検査が増え、自己負担額も高めになることがあります。
一般的に、補助券が使用できるのは、赤ちゃんの心拍が確認できてから40週までです。妊娠を確認するための初診から心拍確認までの健診、出産予定日を過ぎての健診は全額自己負担となり、1回1万円程度かかると考えておきましょう。
出産前後には病院にかかる費用だけでなく、マタニティ、ベビーグッズの購入費用として10~15万円が必要となります。帝王切開の場合、出産、入院グッズとして、自然分娩とは違う用品が必要になることもありますので、病院で詳しく聞いてみてくださいね。
妊娠中 | マタニティウェアや下着、妊婦帯など 大きくなるお腹に対応でき、快適に過ごせるものを |
出産、入院グッズ | 妊娠後期に産院から出産や入院に必要なものの説明 いつくるか分からない陣痛に備え早めに準備 |
ベビー用品 | 肌着、おむつ、授乳やミルクグッズ、沐浴グッズなど ベビーカー、チャイルドシート、ベビーベッドはライフスタイルに合わせて |
自治体によっては、育児用品の購入費助成制度がある場合がありますので、お住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。
帝王切開は一部医療費が保険適用になるとはいえ、産前産後を含め出産には多くの費用がかかります。また、産休、育休による収入の減少も心配です。国や自治体、民間の医療保険など、費用の負担を軽減するための制度やサービスがたくさんありますので、フル活用していきましょう。
妊娠中の妊婦健診(妊婦健康診査)は、市区町村による助成制度があります。
市区町村に妊娠届を提出することで、母子手帳とともに妊婦健診の補助券が発行される仕組みです。健診のたびに、補助券を病院に提出することで、その分の検査は自己負担なしで受けられたり、検査費用の補助を受けられたりします。
赤ちゃんの心拍が確認できたら、病院から指示がありますので、必ず自治体に申請しましょう。助成内容は自治体により異なります。
2023年4月以降、出産育児一時金の支給額が一児につき50万円に増額されました。出産育児一時金は、高額な出産費用の負担を軽減するための給付金制度です。
妊娠週数が22週以上の人が出産した場合、正常分娩・異常分娩のどちらであっても、公的医療保険(健康保険や国民健康保険)から支給されます。
なお、妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合には、48万8,000円が支給されます。
出産育児一時金を受け取るには、加入する公的医療保険に申請が必要です。
民間の医療保険では、帝王切開の費用が給付金の対象となることが多いため、加入している方はプランを確認してみましょう。入院だけでなく、手術も給付金の対象となることがあり、契約している保険会社やプランによっては、出産費用が黒字になる可能性もあります。帝王切開で出産したら、保険内容を確認して、忘れず請求してくださいね。
妊娠してからの加入は給付の対象外となることもあるので注意しましょう。
医療費控除とは、医療費が家計に与える負担を軽減するための制度です。1年の間に支払った医療費が一定額を超えた場合、所得控除が受けられます。
医療費の合算が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合、確定申告で申請することで、還付金を受け取れるほか、翌年の住民税も安くなります。
出産以外の医療費や、家族の医療費、場合によっては通院のための交通費も合算できるので、対象となる費用を確認し、確定申告に向けて領収書等をしっかり保管しておきましょう。なお、支払った医療費を計算する際には、出産育児一時金などで受け取った金額は差し引きます。
出産手当金は、出産のために会社を休んだ人のための手当です。健康保険に加入している人が対象で、国民健康保険の加入者には出産手当金はありません。
出産のために会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合、普段の報酬月額から算出された1日あたりの支給金額が、対象期間内で会社を休んだ日数分が支給されます。
<算出方法>
1日あたりの金額=標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2 |
会社を休む期間の対象は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前の42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産の翌日以後56日目までです。出産のために仕事を休みはじめた日の翌日から2年以内に勤め先に申請し、約1〜2カ月程度で振り込みとなります。
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者を対象に、出産後の育児休業の取得による収入の減少をサポートする給付金です。原則、子どもが1歳になるまでが対象ですが、保育園に入れないなどの理由がある場合は最長2歳までの延長措置があります。
給付金額は、育休開始から6ヵ月は賃金の67%、それ以降は50%という割合を基本に算出され、2ヵ月ごとに支給される仕組みになっています。
対象者に性別の制限はないため、ママだけでなくパパも受給することが可能です。ただし、パパとママでは対象期間や条件が異なるため、よく要件を確認し、パートナーと相談して検討しましょう。
申請は、勤め先の会社がハローワークでおこないますので、産休、育休に入る前に職場に相談しておくと安心です。
健康保険に加入している方は、産休(産前産後休業期間)・育休(育児休業期間)中の社会保険料(厚生年金保険・健康保険・介護保険)の支払いが全額免除となります。
申請は、勤め先の会社から、産休終了後1ヶ月以内に、日本年金機構へ書類が必要ですので、職場に相談しておきましょう。
また、自営業の人などが利用している国民年金保険料も免除があります。出産予定日または出産日のある前月から4ヵ月間が対象期間で、届け出は出産予定日の6か月前から市区町村でおこなうことができます。
妊娠すると、健診や必要なものの準備などで出産前から費用がかかりますが、給付金などが支給されるのは基本的に出産後。制度やサービスをフル活用しても、どうしても費用が足りない場合は、医療ローンやカードローンなども検討してみてはいかがでしょうか。
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妊娠が分かってから、出産、産後、そして子供が成長していく間、色々な費用が必要となります。必要な費用と、負担を減らせる制度やサービスを理解し、必要な金額が準備できない場合は、ローンを活用することも賢い選択のひとつです。妊娠、出産、とくに帝王切開となれば、不安はつきもの。なるべくリラックスして過ごすためにも、費用についてはしっかり下調べをして、心配事を減らしておけるといいですね。
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帝王切開についての出産費用は、保険適用される部分と自己負担となる部分があり、それぞれの内訳や負担額について詳しく解説しました。また、妊娠中や産前産後にかかる費用の相場や制度、サービスについても紹介しています。帝王切開に関する用途に使える低金利のローンなどもご紹介しており、出産に備える際の参考にしていただけます。出産前に費用を把握して心配事を減らし、安心して出産に臨めるようにしましょう。