2023年12月25日
40歳以上の人なら毎月納めている介護保険料。「介護が必要になったら、公的介護保険で全て賄えるの?」と疑問に思ったことはありませんか。今回は、実際に介護をした経験がある人の平均期間や費用から、予想される介護費用を算出しました。そのなかで公的介護保険でカバーできる範囲や、民間の介護保険の必要性も解説していきます。
目次
2000年にスタートした公的介護保険は、40歳以上の人が加入して介護保険料を納め、介護が必要になった時に所定の介護サービスが受けられる社会保険です。介護が必要になったら、度合いに応じて、要支援1~要支援2、要介護1~要介護5の7段階に分かれた介護認定を受けます。介護認定を受けると、ケアマネジャーが毎月の介護計画を作成し、介護度別に範囲内での介護サービスを受けることができます。サービスは自宅で受けられるものから施設で受けられるものまであり、利用者は所得に応じて1~3割の利用料を自己負担で支払います。要介護度に応じて支給限度額が設けられており、 限度額を超えた分は全額自己負担となります。
出典:(公財)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度より
それでは、介護費用は総額でいくらかかるのでしょうか。2021年に「生命保険文化センター」が過去3年間に介護経験がある人を対象におこなった調査によると、公的介護保険の自己負担分を含んだ平均的な介護費用は、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円であることが分かりました。介護期間の平均は61.1カ月(5年1ヵ月)であり、月々の費用の8.3万円を掛けると合計約506万円、これに一時的な費用を足すと平均で総額約580万円程度になることが分かりました。
この金額は、介護保険サービスを利用したうえでの自己負担額の平均です。介護が必要な状況は人によって違い、あくまで計算された平均値に過ぎませんが、ひとたび介護が必要になると、公的な介護保険制度を利用してもこれだけのお金がかかってくるのです。
公的介護保険では、具体的にどのような介護サービスが受けられるのでしょうか。ここでは「居宅サービス」、「施設サービス」、「地域密着型サービス」の3つのサービスについて、その内容と費用を解説します。
居宅サービスとは、介護を受ける人が自宅に住んだまま受けられる介護サービスです。居宅サービスに含まれる内容は種類が多いですが、大きく「訪問サービス」、「通所サービス」、「短期入所サービス」に分類できます。
「訪問サービス」は、自宅で生活する要介護者や要支援者に対して、専門スタッフが訪れて買い物や掃除などの日常生活をサポートするサービスです。
「通所サービス」は、施設で日中を過ごすサービスで、介護施設内でリハビリや入浴、食事などのサービスを受けて、健康管理をサポートしてもらうサービスです。
「短期入所サービス」は一定期間施設に滞在して必要なサポートを受けて、その後は自宅での生活が続けられるように支援してもらうサービスです。
施設サービスは、要支援1・2認定の方は利用できず、要介護状態にある人が「特別養護老人ホーム」、「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設」、「介護医療院」に入所して受けるサービスです。
「特別養護老人ホーム」は在宅での介護が困難な方を対象にしており、主に食事や排泄、入浴などの介護が中心です。
「介護老人保健施設」は、医学的管理のもとで介護・機能訓練を受け、在宅復帰を目指す施設です。
「介護療養型医療施設」は2023年度末に廃止予定ですが、その受け皿となる「介護医療院」では長期療養のための医療ケアと日常生活上の介護ケアを一体的に提供します。
地域密着型サービスは2006年に導入された制度で、要介護者や要支援者が地域で生活しやすくなるよう、市町村が提供する介護・看護サービスのことで、「訪問・通所型」、「認知症対応型」、「施設・特定施設型」に分かれています。
「訪問・通所型サービス」は自宅で暮らす要介護者や要支援者を訪問あるいは施設に受け入れて、買い物や掃除などの生活支援や食事、入浴介助、リハビリ、健康管理といった介護や看護を行うサービスです。
「認知症対応型サービス」は訪問・通所サービスの内容に加えて認知症のケアも含まれます。
「施設・特定施設型サービス」は特別養護老人ホームや有料老人ホームに入居する要介護者や要支援者を対象にしたサービスです。
介護が必要な人が自宅で安全に生活するためにリフォームをおこなうと、介護保険から居宅介護住宅改修費が支給されます。対象となる工事は、手すりの設置、段差の解消、床材の変更・滑り止め設置などです。新築工事は対象外であり、賃貸住宅の場合は家主の承諾が得られれば改修可能です。支給限度基準額は要介護度や工事の内容に関わらず20万円です。
また、介護に使う道具を購入した際にも介護保険から福祉用具購入費が支給されます。腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽など「特定福祉用具」と呼ばれるものを購入した場合が対象で、福祉用具購入費の支給限度基準額は要介護度に関わらず4月から翌年3月の1年間で10万円です。
これらの出費があったときに受け取れる金額は介護保険の自己負担割合で決まり、たとえば自己負担割合が1割の方が上限の20万円を超えるリフォーム工事をおこなった場合、支給額は自己負担額の2万円を除いた18万円です。
介護にかかるお金のなかで公的介護保険制度でまかなえる部分がある一方で、公的介護保険制度ではカバーできない空白部分が存在することも事実です。具体的にはどのような出費があるのでしょうか。
公的介護保険ではまかないきれない具体的な費用とは、例えば、日常生活費、交通費、住宅改修費、福祉用具費などです。在宅介護の場合、衣類やシーツ交換など洗濯回数増加にともなう水道代、流動食や経口保水液、配食サービスなどの食事代もかかります。おむつや防水シーツなど日用品の購入も必要になります。通院や通所時の交通費も自己負担です。住宅の改修や福祉用具の購入も、公的介護保険で補えない範囲は自己負担となります。ひとつひとつの金額は大きくなくても、これらの費用を合算すると相当な金額になる可能性があります。
公的介護保険制度において、介護が必要になった際の被保険者は65歳以上の第一号被保険者と40歳~64歳の第二号被保険者に分かれます。65歳以上の第一号被保険者は、要支援・要介護認定を受けることで公的介護保険制度が利用できるのに対し、40歳~64歳の第二号被保険者は、介護が必要な状態になってもその原因が「特定疾病」でない限り公的介護保険制度の保障を受けることができません。そのため、たとえば交通事故の影響で介護が必要になった場合などは、介護保険制度の保障を受けることができません。また、40歳未満の方はそもそも公的介護保険制度に加入していないため、公的介護保険制度を利用する資格がありません。
65歳以上の方は公的介護保険制度によって介護費用の自己負担が軽減される一方、一部の65歳未満の方は公的介護保険制度を利用できず、介護費用の大部分を自己負担する必要があるのです。
預貯金などで介護費用をカバーできそうにない場合は、保険会社などが販売している民間の介護保険に加入しておくのもひとつの方法です。民間の介護保険とは、保険契約に定める所定の要介護状態になった場合、現金を受け取れる保険です。給付内容は「一時金(介護一時金)」、「年金(介護年金)」、「一時金と年金の併用」の3タイプがあります。加入方法としては、主契約として「介護保険」に加入する以外にも、終身保険に「介護の特約」を付加する方法などもあります。
民間の介護保険は給付金の用途が限定されていないので、介護保険サービスの自己負担分やリフォーム費用、65歳未満で介護状態になった場合など自由に使えるのが特徴です。保険商品によって保障の対象となる要介護状態、保険期間、受取期間などが異なるため、自分の生活設計にあった介護保険を選ぶことが大切です。
誰でも介護は急に必要になることがあり、いざ介護が必要になったときに十分な備えができていない事態も十分に起こり得ます。親の介護では、親の貯蓄が十分にない場合は、子どもが費用を捻出するケースも多く見受けられるのが現状です。特に介護初期にリフォームや介護用品の購入でまとまった費用が必要になることが多く、預貯金で対応できない場合には、介護ローンを利用することも検討しましょう。
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日本では公的介護保険制度によって、いざ介護が必要になった場合には保険の範囲内で受けられるサービスも多数あります。介護が必要になった場合は、あわてずに主治医や自治体の窓口、地域包括支援センターに相談をして、適切な介護サービスが受けられるようアドバイスを求めましょう。公的介護保険を利用するときは、自己負担割合や限度額に注意しながら、無理のない介護プランを作成していくことが大切です。
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公的介護保険は40歳以上の方々が支払う保険料に基づくシステムで、介護が必要になった際に一定のサポートを提供します。しかし、多くの人が疑問に思うのは、これらのサービスで全ての介護費用を賄えるかという点です。本記事では、実際に介護経験がある人の平均期間と費用から、必要とされる介護費用を詳しく分析しています。さらに、公的介護保険でカバーできる範囲と民間の介護保険の必要性についても解説しており、将来的な介護費用への備えについて考える良い機会となります。