2023年12月22日
40代50代になるにつれて、気になってくるのが介護費用。ご自分やご両親が介護サービスを利用することになったら、「介護費用をどのくらい自己負担すれば良いのか」「自己負担額はいつどのように決定されるのか」「自己負担額の軽減制度があるのか」気になるところでしょう。
今回は、介護費用の自己負担の相場や決定基準、要介護ごとの上限額などについて詳しく説明していきます。ぜひ、ご参考にされてください。
目次
介護保険とは「社会全体で要介護の人を支える制度」であり、全国の市区町村が運営します。市区町村の区域内に住所がある40歳以上の住民(被保険者)が加入し(義務)、被保険者が納める介護保険料と税金で運営されています。
上の図の通り、介護費用は、7~9割ほど介護保険から給付されますが、1~3割ほどの一定の自己負担費用が発生し、限度額を超えた分は全額自己負担になります。
被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者に分かれており、第1号被保険者は65歳以上の人であり、第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険に加入している人が対象です。介護保険料の滞納などの問題がなければ、65歳になった時点で介護保険証が交付され、要支援や要介護に認定されると、介護保険サービスが受けられるようになります。第2号被保険者のうち、特定疾病により介護が必要と判定された場合は、介護保険サービスを利用することができます。
世帯年収により介護費用の自己負担が決定するため、下表の厚生労働省のフローを使ってシュミレーションしてみると良いでしょう。
65歳以上の方の介護費用の自己負担は基本1割ですが、介護保険の公平性を確保するため、現役並みの所得がある高齢者は、自己負担割合は2~3割になります。
参考:厚生労働省「利用者負担割合の見直しに関わる周知用リーフレット」
例えば、本人の所得が160万円以上220万円未満の場合、単身世帯なら1割負担になり、同一世帯の65歳以上の方の所得合計が346万円以上の場合は、2割負担になってしまいます。
介護費用の自己負担割合は、前年の所得をもとに要介護認定が下りる際に決定され、その後は毎年7月に自動更新されます。
申請から1ヶ月程度で要介護認定が決定され、「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」が発行・郵送されて初めて負担割合がわかります。
毎月の介護費用の自己負担限度額は、所得に応じて決定されます。次の表に、要支援・要介護度ごとの自己負担額や給付限度額(月額)を記載していますので、チェックしてみてください。自己負担限度額を具体的に把握しておけば、資金計画をスムーズに進めることができます。
<在宅サービスの1ヵ月あたりの支給限度基準額と自己負担限度額>
介護度 | 給付限度額 | 1割負担額 | 2割負担 | 3割負担 |
---|---|---|---|---|
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
上の表の支給限度基準額は、訪問介護などの居宅サービスやショートステイといった地域密着型サービスにかかる費用に適用されます。くわえて、支給限度基準額までは、自己負担割合に応じた金額で利用可能です。
具体的なサービスは、介護士や看護師などが自宅に訪問して介護や看護、入浴介護、リハビリテーションの利用や、通所型のデイサービスやリハビリテーション、グループホームやショートステイの利用などが挙げられます。
特定福祉用具購入費の支給限度額は、年間10万円です(1年間は、毎年4月1日から翌年3月31日まで)。要介護に応じて、特定福祉用具の購入費用の一部が要介護・要支援認定者へ支給され、利用者はその1~3割を負担します。
特定福祉用具とは以下のものをさします。
介護を目的とした住宅改修費は、1つの住宅につき20万円が限度額になります。要介護度にかかわらず上限は20万円が設定されており、その1~3割を利用者が負担することになります。20万円は数回にわけて利用することもでき、新しい家に引っ越した場合は、支給限度額20万円まで再度設定されます。
住宅改修の種類は以下の通りです。
住宅改修前後に自治体へ申請する必要があるため、住宅改修の検討時点でケアマネージャーへ、まずはご相談ください。
施設サービスとは、介護保険施設において利用できる介護サービスのこと。介護保険施設とは、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホームといった高齢者向け施設のことです。
施設の種類や要介護度、居室タイプなどに応じて費用が設定され、自己負担割合に応じた金額で利用することができます。介護サービス費のほかに、介護サービス加算や居住費、食費、日常生活費などもかかるため、自己資金は余裕を持たせておくと良いでしょう。
特別養護老人ホーム(特養)とは、自宅での生活が難しく常に介護が必要な要介護3以上の高齢者の方が利用できる施設であり、介護保険が適用される介護老人福祉施設です。24時間体制でサービスが受けられ、終身で利用できます。
浴室やトイレ、食堂などは共有スペースにある場合がほとんどであり、特養の居室は以下の4タイプになります。
下記は、要介護度及び特養の居室タイプごとの自己負担額の表です(1割負担の利用者の30日あたりの負担額)。ご参考にされてください。
<特別養護老人ホームの介護サービス費自己負担額(1割負担の場合)>
居室タイプ | 多床室/従来型個室 | ユニット型個室/ユニット型準個室 |
---|---|---|
要介護1 | 17,190円 | 19,560円 |
要介護2 | 19,230円 | 21,600円 |
要介護3 | 21,360円 | 23,790円 |
要介護4 | 23,400円 | 25,860円 |
要介護5 | 25,410円 | 27,870円 |
グループホームとは、9人以下のグループで認知症高齢者が共同生活を送る施設のこと。「認知症対応型共同生活介護施設」とも呼ばれています。
要支援2以上から入居可能であり、介護保険の地域密着サービスに属するため、「利用者の住民票が施設の市区町村にあること」が原則条件となります。
グループホームでは、定員を表す単位を「ユニット」と呼びます。1ユニットにつき、5〜9人で構成されており、1つの施設につき原則2ユニットまで定められています。また、ユニットごとに、交流や家事分担などしながら共同生活を送ります。
下記の表は、要介護度及びユニットごとの自己負担額の表です(1割負担の利用者の30日あたりの負担額)。ご参考にされてください。
<グループホームの介護サービス費自己負担額(1割負担の場合)>
1ユニット | 2ユニット | |
---|---|---|
要支援2 | 22,800円 | 22,440円 |
要介護1 | 22,920円 | 22,560円 |
要介護2 | 24,000円 | 23,610円 |
要介護3 | 24,690円 | 24,330円 |
要介護4 | 25,200円 | 24,810円 |
要介護5 | 25,740円 | 25,320円 |
介護は何年何ヶ月続くか見通しがつきません。介護する家族にも日常生活があるため、少しでも介護費用の自己負担を抑えたいところでしょう。
ここからは、介護費用の自己負担を軽減するための制度を3つご紹介していきますので、ご参考にされてください。
高額介護サービス費制度とは、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方は、自治体から通知が送られてくるため、忘れずに申請してください。負担の上限額(月額)については、下の表をご覧ください。
区分 | 負担の上限額(月額) | |
---|---|---|
市町村民税課税世帯 | 課税所得690万円(年収約1160万円) | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 93,000円(世帯) | |
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) | |
市町村民税非課税世帯 | 合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超える方 | 24,600円(世帯) |
・合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方 ・老齢福祉年金を受給している方 | 24,600円(世帯)15,000円(個人) | |
生活保護を受給している方 | 15,000円(世帯) |
高額医療・高額介護合算療養費制度は、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の「医療保険」と「介護保険」の自己負担の合算が限度額に達した場合に、自己負担額を軽減する制度であり、各自治体の窓口への申請が必要です。
また、同一世帯内でも加入する保険が異なる場合は、合算できないためご注意ください。例えば、「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」といった場合は、合算することができません。
区分 | 所得 | 負担限度額 | ||
---|---|---|---|---|
年収 | 課税所得 | 70歳未満 | 70歳以上 | |
現役並み所得者Ⅲ | 約1160万円 | 690万円以上 | 212万円 | |
現役並み所得者Ⅱ | 770~1160万円 | 380万円以上 | 141万円 | |
現役並み所得者Ⅰ | 370~770万円 | 145万円以上 | 67万円 | |
一般 | 156~370万円 | 145万円未満 | 60万円 | 56万円 |
低所得Ⅱ | – | 市町村民税世帯非課税 | 34万円 | |
低所得Ⅰ | 市町村民税世帯非課税(所得が一定以下) | 19万円 |
限度額認定居住費は、介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院)の入所者やショートステイ利用者が対象になります。
さらに、収入・資産が一定以下の人は、介護保険が適用されない「居住費」と「食費」の負担を軽減するための制度「負担限度額認定」が利用できます。居住費と食費の負担限度額は、入居者やその世帯の収入・所得・預貯金などから分類される「利用者負担段階」ごとに決められており、限度額を超えた金額は介護保険から支給されます。
制度を利用するには、事前に認定を受ける必要があるため、あてはまる人は市区町村窓口に相談してみてください。
<利用者負担段階>
段階 | 適用条件 | 預貯金の合計 | ||
---|---|---|---|---|
区分 | 年金収入+合計所得金額 | 単身 | 配偶者あり | |
第1段階 | 生活保護者等または世帯全員が老齢福祉年金受給者 | - | 1,000万円以下 | 2,000万円以下 |
第2段階 | 世帯全員が市町村民税非課税 | 80万円以下 | 650万円以下 | 1,650万円以下 |
第3段階(1) | 80~120万円 | 550万円以下 | 1,550万円以下 | |
第3段階(2) | 120万円超 | 500万円以下 | 1,500万円以下 | |
第4段階 | 第1~3段階にあてはまらない人 |
介護費用にはある程度まとまった費用が必要です。介護費用の補助制度を利用すれば、介護費用の自己負担は抑えられますが、あとから償還されることもあるため、一時的に手元のお金が不足してしまうこともあるでしょう。くわえて、介護サービスの利用料は口座振替を利用することも多いため、口座残高にも余裕を持たせておきたいところです。
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身内が急に要介護になってしまった場合、介護費用に困窮してしまったり、資金計画を余儀なく変更せざるを得ない場合もあるでしょう。くわえて、要介護者の生命や清潔さを維持するための費用は最優先に用意せねばならず、何年続くかも予想がつきません。
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介護サービスの利用が現実のものとなると、多くの人が費用面での不安を抱えます。特に40代、50代の方々は、自身や両親の介護が現実に迫る中、どのくらいの自己負担が必要になるのか、その決定基準や軽減策が気になるところでしょう。この記事では、介護費用の自己負担相場、決定の流れ、及び限度額について詳細に解説しています。将来の介護に備え、ぜひ参考にしてください。