2023年12月21日
親や自分自身に介護が必要になった時、費用はいったいどのくらい必要なんだろう?と、漠然と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。介護には施設利用料や在宅介護サービス利用料の他にも、おむつや介護ベッドの購入費、介護に適した住環境のためのリフォームなど様々な費用がかかります。今回は、介護費用のおおよその自己負担額や、負担を軽減できる仕組みについて詳しくお伝えします。いざという時に慌てることなく対応できるよう参考にしてみてください。
目次
(出典 (公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度調査」より)
生命保険文化センターが2021年に行った調査では、過去3年間に介護経験がある人の介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、介護用ベッドの購入やリフォームなどの一時的な費用が合計平均74万円、介護サービス利用時の自己負担やおむつ代など月々にかかる費用が平均8.3万円/月でした。介護期間の平均が61.1カ月(5年1カ月)なので、介護にかかる費用の総額の平均はおおよそ580万円ほどとなります。
この金額は、介護保険サービスを利用したうえでの自己負担額の平均です。人によって必要な介護の度合いは異なりますが、介護が必要になると、たとえ補助金を受けたとしてもこれだけの金額が必要になる可能性があるのです。
<在宅サービスの1ヵ月あたりの利用限度基準額と自己負担限度額>
介護度 | 利用限度額 | 1割負担額 | 2割負担 | 3割負担 |
---|---|---|---|---|
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
介護保険サービスとは、要介護認定で「要支援」または「要介護」に認定された65歳以上の方と、「特定疾病」に該当する40歳以上65歳未満の方が利用できるサービスです。在宅で受けるサービスや介護施設を利用するサービス、地域密着型サービスなどの種類があり、介護度や被介護者の収入によって自己負担額が変わります。
基本的には、サービス利用時の自己負担額は費用の1割ですが、被介護者に一定以上の年間所得がある場合、その年収によって2割〜3割負担となります。
また、利用限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた費用は全額自己負担です。
自宅での介護がスタートすると、必要な環境を整えるため、リフォームや介護ベッド、車いすの購入などが必要になる場合があります。(公財)生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査 令和3年」によると、これらの一時的な介護費用は、平均で74万円と報告されています。
「費用はかからなかった」という人が15.8%、「15万円未満」が18.6%と、さほど大きな負担がかかっていない割合も高いのですが、100万円以上かかったという人も14.3%おり、介護度などにより大きく差があります。
自宅で介護を受ける場合、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどの介護保険サービスの費用と、医療費、おむつやベッドパッドなど、普段の生活にかかる費用が発生します。
(公財)家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担 2016年調査」によると、それらを合計した、在宅介護にかかる1ヵ月あたりの費用は平均5万円となっています。では、その内訳をみていきましょう。
(出典 (公財)家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担 2016年調査」より)
在宅で受ける介護サービスには、自宅で入浴やリハビリテーションのサービスが受けられる「訪問型サービス」や、デイサービスや施設でリハビリテーションを行う「通所型サービス」、ショートステイなどの「宿泊系サービス」に加え、車いすや介護ベッドを買わずにレンタルする「福祉用具レンタル」などがあります。
(公財)家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担 2016年調査」によると、1カ月にかかる介護費用のうち、介護サービスに支払う自己負担の平均金額は1万6千円でした。
多数の世帯は限度額を超えた利用はないのですが、一部、限度額を超えて全額自己負担の支出があった世帯は、平均金額を大きく上回る支出があり、人により費用の差が大きいことがわかります。
医療費や税金、社会保険料、おむつ代など、介護サービス利用料以外の介護費用は、1カ月平均3万4千円でした。
そのうち、介護食やおむつなどの介護用品費用が平均1万2千円で、要介護度が上がるほど金額も上がっています。医療費、税金、社会保険料もまた大きな割合を占めています。
施設の種類 | 入居一時金 | 月額利用料 | |
---|---|---|---|
公 的 施 設 | 特別養護老人ホーム | 0円 | 8~14万円 |
介護老人保健施設 | 0円 | 7~14万円 | |
介護医療院 (介護療養型医療施設) | 0円 | 7~14万円 | |
ケアハウス (軽費老人ホームC型) | 0~30万円程度 | 8万~14万円 | |
民 間 施 設 | 介護付き有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15~35万円 |
グループホーム | 0~20万円程度 | 10~15万円 |
介護施設には、特別養護老人ホームやケアハウスなどの公的施設と、介護付き有料老人ホームのような民間施設があり、介護度や必要な介護の種類によって入居する施設が変わります。公的施設は、地方自治体や医療法人が主体で運営されており、安価で利用することができます。介護施設を利用する場合、介護費用に加え家賃や食費も別途かかりますので、在宅介護に比べて負担が大きくなります。
特別養護老人ホームは、常に介護が必要であり自宅での生活が難しい高齢者が、24時間介護を受けながら生活する施設です。公的な介護施設であり介護保険が適用されます。特例を除き、要介護3以上の方が入居可能です。
以下の表は、例として要介護5の人が特別養護老人ホームを利用した際にかかる費用の概算です。
施設介護サービスは、相部屋を利用した場合1日847単位で月額約25,200円、個室を利用した場合1日929単位で月額約27,900円となります。居住費も部屋のタイプにより金額が変わります。食費や日常生活費(施設毎に設定されている金額が異なります)はどちらのタイプも同額です。施設介護サービス費は介護度によっても金額が変わります。また、この他医療費や衣服代、嗜好品代が別途必要になります。
<要介護5の人の特別養護老人ホーム月額費用の目安>
多床室 | ユニット型個室 | |
---|---|---|
施設介護サービス費 (1割負担) | 約25,200円 | 約27,900円 |
居住費 | 約25,650円 | 約60,180円 |
食費 | 約43,350円 | 約43,350円 |
日常生活費 | 約10,000円 | 約10,000円 |
合計 | 約104,200円 | 約141,430円 |
公的介護施設は、民間施設と比較して費用が安いところが多く人気がありますが、入居待ちをしている希望者が多く、入居まで時間がかかってしまうことがあります。また、充実した設備やサービス、レクリエーションを求めて、民間施設の介護付き有料老人ホームを選ぶ方もいます。
ほとんどの公的施設は初期費用や入居一時金がかかりませんが、民間の介護付き有料老人ホームは、契約時に入居一時金が必要なところが多くあります。平均は100万円前後ですが、無料なところから数千万円必要な施設まで金額に幅があります。また、入居一時金を安く設定する代わりに月額費用が高めに設定されるプランがある施設もあります。
在宅で介護を行う際、手すりの設置や段差の解消など、自宅をリフォームすることで介護負担を軽減することができます。また、入浴時の補助用具や介護用の便座など、レンタルには抵抗がある介護用品の購入も必要になります。ここでは、このような介護のための環境を整える初期費用の負担を軽減してくれる制度を紹介します。
要介護者が自宅で暮らしやすくするための、バリアフリー工事に対して受けられる助成制度です。手すりの設置や段差の解消、扉や便器の交換、滑りにくい床への交換などの工事費用が助成されます。
要介護認定において要支援、要介護の認定を受けている人が対象で、1人1回限り、上限20万まで1割負担(被保険者の年収によっては2〜3割負担)で工事を行うことができます。ただし、引っ越しにより住居が変わった際や、要介護状態区分が3段階以上上がった時には、再度利用することができます。
要支援、要介護の認定を受けている人が受けられる助成制度です。介護用品を、福祉用具販売の指定を受けた販売業者から購入した際、支払った金額の9割(被保険者の年収によっては8〜7割)が介護保険から払い戻されます。助成の対象になる購入金額の上限は、1年間で10万円までです。
以下の6品目が福祉用具販売の対象となります。
期限のない介護生活には、経済的な不安を感じる方も多いと思います。そこで、介護の助けとなるいくつかの支援制度をご紹介します。
原則、介護保険施設やショートステイを利用する際の食費や居住費は全額自己負担です。しかし、年金を含む収入や預貯金額が一定額以下の人は、その収入に応じて設定された負担限度額を超えた超過分が、介護保険から支給されます。それが負担限度額認定です。
負担限度額認定を利用するには、各市町村の介護保険窓口で事前に申請し、介護保険負担限度額認定証を発行してもらう必要があります。
介護サービス利用者の経済的負担が重くなりすぎることを防ぐため、限度額を超えた自己負担分を還付してくれる制度です。自己負担の限度額は、介護サービス利用者が属する世帯の所得と本人の所得に応じて定められます。
後期高齢者医療保険と介護保険は、どちらも収入に応じて1割~3割の自己負担があります。ひとつひとつは少額でも、長期間にわたり利用することで重い負担となることがあります。そこで、世帯内で医療保険と介護保険の1年間の自己負担額が高額になってしまったときに、自己負担を軽減するための制度が「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。
被保険者の世帯所得によって自己負担限度額が設定され、世帯内で合算した自己負担額のうち、限度額を超えた分が還付されます。
介護が必要になった時は、国や自治体から様々な支援を受ける事ができますが、それでも自己負担は軽いものではなく、まとまった資金が必要になることもあります。急に介護がスタートしたり、介護に関するまとまった出費が必要になった時は、介護ローンを活用することも検討してみましょう。介護ローンは、介護費用としてのみ使用可能である代わりに、低金利で利用できるローンです。
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家族や自分自身の介護生活がスタートしたときのために、必要な介護費用や行政サービスについて確認しておきましょう。いざという時に落ち着いて対処できるよう、前もって家族の意思を確認し、しっかりと経済的負担に備えておくことが大切です。
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介護が必要になった際には、想像以上に多岐にわたる費用が必要です。この記事では、介護施設の利用料や在宅介護サービス、必要な医療用品の購入、住環境の改修費用など、具体的な費用とその自己負担額について詳細に解説しています。また、費用負担を軽減するための補助制度についても紹介しているため、いざという時に慌てずに済むよう事前の準備や理解を深める参考になるでしょう。