2023年12月20日
介護施設には特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなど複数の種類があり、それぞれ費用が異なります。また、入居条件やサービス内容も異なるため、費用だけでなく本人の希望や状況に合わせて選ぶことが大切です。この記事では、介護施設の種類ごとの特徴と費用の目安や、介護施設選びに使える補助制度を紹介。「入所一時金はなぜ支払うのか?」「介護施設費用は年金だけで賄えるのか」「介護施設の費用は誰が支払うのか」などの疑問にもお答えします。
目次
<主な介護施設の費用目安と入居条件>
施設の種類 | 入居一時金 | 月額利用料 | 入居条件 | |
---|---|---|---|---|
公 的 施 設 | 特別養護老人ホーム | 0円 | 8~14万円 | 要介護3〜 |
介護老人保健施設 | 0円 | 7~14万円 | 要介護1〜 | |
介護医療院 (介護療養型医療施設) | 0円 | 7~14万円 | 要介護1〜 | |
ケアハウス (軽費老人ホームC型) | 0~30万円程度 | 8万~14万円 | 自立〜 | |
民 間 施 設 | 介護付き有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15~35万円 | 要介護1〜 |
グループホーム | 0~20万円程度 | 10~15万円 | 要支援2〜 | |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0~数百万円 | 6~30万円 | 自立〜 |
介護施設は「公営施設」と「民営施設」に大きく分けられます。公営施設は地方自治体や社会福祉法人、医療法人が設置しており、費用は比較的安めです。民営施設は文字通り民間企業が運営している施設で、ホテルのような高級施設から比較的リーズナブルな施設までさまざまです。
施設の種類によって費用に差があるほか、要介護度や心身の状態など入居条件が設定されている場合もあります。ここからは、施設ごとの特徴や費用について見ていきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護を必要とし在宅での介護が困難な高齢者が入居できる施設です。原則65歳以上要介護3以上が入居の条件で、寝たきりなど要介護度の高い方も受け入れています。
入居時の一時金は不要で、月額利用料の目安は8~14万円程度です。月額利用料は部屋のタイプや要介護度で異なり、居住費、食費、介護サービス費などが含まれます。介護サービス費は介護保険の対象のため、介護保険の自己負担割合によっても月額利用料は変わります。
このほかに理美容費や被服費、嗜好品代などがかかるほか、クラブ活動代や行事参加費用(入場料など)が必要な場合もあります。また、けがや病気で治療を受けた場合は医療費がかかります。
介護老人保健施設(老健)は要介護者の自宅復帰を目的とした介護施設で、リハビリや医療ケア、介護、生活支援などのサービスが受けられます。自宅復帰を目標としているため、入居期間は原則3~6ヵ月程度(状況によっては延長)に限られます。
入居一時金は不要で、月額利用料の目安は7~14万円程度です。月額利用料には居住費、食費、介護サービス費、医療費などが含まれます。居室は4人部屋が多く、個室や2人部屋は特別室料がかかります。理美容代、娯楽費などは自己負担のほか、洗濯を外部業者に依頼する場合は洗濯代がかかります。
介護医療院は、要介護者の長期療養と生活支援を目的とした施設です。医師が配置されていることから、経管栄養や喀痰(かくたん)吸引など医療ケアが必要な要介護者も受け入れ可能です。
入居一時金は不要で、月額利用料は施設や要介護度などにより異なりますが、目安は7~14万円程度です。月額利用料には居住費、食費、介護サービス費などが含まれ、医療的なサポートも介護保険サービスの範囲内で利用できます。洗濯代や理美容代、娯楽費などは自己負担です。
ケアハウスとは軽費老人ホームC型とも呼ばれ、自宅での生活が困難な方が生活支援サービスを受けながら生活する施設です。入居対象は60歳以上で、助成制度があることから所得の低い高齢者でも入居できます。
ケアハウスC型には一般型と介護型があり、入居できる年齢や介護サービスの有無が異なります。
<ケアハウスC型の種類と特徴>
一般型 | 介護型 | |
---|---|---|
食事提供 | 〇 | 〇 |
介護サービス | × | 〇 |
年齢 | 60歳以上 | 65歳以上 |
要介護度 | 自立~要介護 | 要介護1~ |
初期費用として、保証料や入居一時金を支払うのが一般的です。初期費用の額は0~30万円程度で、一般型より介護型の方が高い傾向にあります。
月額利用料は8万~14万円程度です。介護型は居住費や食費のほかに介護サービス費が含まれ、要介護度に応じた定額料金で介護を受けられます。一般型で介護が必要な場合は外部のサービスと契約し、利用した分に応じて料金を支払います。
介護付き有料老人ホームは都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた民間施設で、毎月定額で介護保険サービスを利用できます。多くの場合入居一時金が必要で、その額は0~数千万円まで幅があります。
月額利用料の目安は15~35万円で、設備やサービスが充実した施設は月額利用料も高額です。居住費や食費、介護サービス費などは月額利用料に含まれますが、理美容費や被服費、嗜好品代などは自己負担です。また、クラブ活動代や行事参加費用(入場料など)がかかる場合もあります。
グループホームとは、認知症の方が6人~9人のグループでスタッフの支援を受けながら共同生活を送る施設です。入居者同士で家事などを役割分担し、自立した生活を目指します。
入居時に入居一時金や保証などがかかることが多く、費用相場は数万~20万円程度です。月額利用料は10~15万円程度と民間介護施設としては安めで、居住費、食費、介護サービス費などが含まれます。おむつ代は介護サービス費に含まれず、使用するおむつは家族が用意する場合と施設でまとめて購入する場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、バリアフリー完備の高齢者が安心して暮らせる住まいです。
多くは自立した方の入居を想定した一般型で、安否確認や生活相談のサービスが受けられます。通常の賃貸住宅のように生活の自由度が高く、単身だけでなく夫婦でも入居できます。食事はオプションで付けられる施設が多いですが、介護サービスの提供はないため必要な場合は外部のサービスを利用します。
介護型は特定施設入居者生活介護の認定を受けたサ高住で、食事や介護・看護サービスなど介護付き有料老人ホームと同等のサービスを受けられます。
費用の目安は入居一時金は0~数百万円、月額費用は6~30万円で、施設の設備やサービス内容、部屋の広さなどにより大きな差があります。
入居一時金の意味合いは施設によって異なり、通常の賃貸住宅の敷金や保証金にあたる場合と居住費の前払いとして支払う場合があります。
前払いの場合は居住費に引き当てるため、月々の支払額が抑えられます。また、居住費の引き当てが終わったあとも同じ料金で住み続けられるほか、想定入居期間を過ぎる前に退去した場合は残りの金額を返してもらえます。
特養や老健などの公的施設は比較的費用が安いため、年金収入のみで利用できる場合が多いです。また、厚生年金をもらっている方であれば、介護付き有料老人ホームなどの民間施設の費用も年金で賄える場合もあります。
ただし、日用品代や嗜好品代、一部のレクリエーション費用など月額利用料に含まれない費用も多いため、トータルでどれくらいかかるか入居前に確認が必要です。また、要介護度が上がると介護サービス料の自己負担が増えるため、途中で支払えなくならないよう余裕をみておくことも大切です。
所得に対し介護費用が高額な場合などは、費用負担を軽減する補助制度が利用できます。ここでは制度の概要のみ紹介しますので、対象となる方は自治体の窓口などに相談しましょう。
「負担限度額認定」は、収入や資産が一定以下の人の居住費と食費の負担を軽減するための制度です。対象となるのは介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院)に入所したりショートステイで利用した場合で、有料老人ホームやグループホーム、デイサービスなどの利用は対象外です。
入居者やその世帯の収入・所得・預貯金などをもとに分類される「利用者負担段階」によって居住費と食費の負担限度額が決められ、限度額を超えた金額は介護保険から支給されます。
「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護サービス費の自己負担額が負担限度額を超えると超過分の払い戻しを受けられる制度です。支給対象になると自治体から通知が届くので、郵送または役所の窓口で手続きします。
1回手続きすれば、2回目以降は指定した口座に自動的に振り込まれます。なお、住宅改修費や福祉用具購入費のほか、介護施設の食費、居住費、日常生活費などは支給対象外です。
「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、医療保険と介護保険の両方を利用している方が対象で、合計額が著しく高額になった際に年単位で負担軽減する制度です。
毎年8月1日~翌年7月31日の1年間に支払った医療費と介護サービス費が対象で、同じ医療保険制度に加入する家族の分と合算可能です。合計金額が医療保険制度や被保険者の所得、年齢区分などにより区分けされた自己負担限度額を超えた場合は、超過した金額が支給されます。
「社会福祉法人などの利用者負担軽減制度」は生活保護を受けている方や所得が低く生計が困難な方の介護施設利用料の負担を軽減する制度で、利用には次の要件を満たす必要があります。
制度を利用するには、自治体に申請して「軽減確認証」の交付を受けます。社会福祉法人などからサービスを受ける際は、軽減確認証の提示で居住費、食費、介護サービス費の自己負担額の1/4(老齢福祉年金の受給者は1/2)が減免されます。
介護施設の費用は介護される本人の年金や貯金で賄うのが基本です。しかし、年金受給額が少ない場合などは、子どもが一部を負担する場合もあります。トラブルを避けるため、とくに兄弟姉妹がいる場合は費用負担について話し合っておくことが大切です。
また、1,000万円を超すような入居一時金を入居者本人以外が支払う場合、贈与税の課税対象とみなされる可能性があるため注意が必要です。
介護施設の入居には、数十~数百万円の入居一時金が必要になることがあります。また、制度の利用で負担軽減できる場合もいったんは支払いが必要なので、一時的に資金が足りなくなることもあります。
「親の介護費用がすぐに用意できない」という場合は、ローンの利用も有効です。取り扱うローンは銀行ごとに異なりますが、介護に使えるおもなローンは「介護ローン」「福祉ローン」「ライフサポートローン」「フリーローン」です。
できるだけ負担を抑えるためには、複数の銀行のローンを比較して低金利なものを選ぶと良いでしょう。「どうやって探していいかわからない」「自分で探すのは面倒」という方は、クラウドローンを使ってみてはいかがでしょうか。
クラウドローンなら、希望する借入条件を登録するだけで複数の銀行から直接プランの提案を受けられます。借入できるプランだけを比較できるため、自分に合ったローンを効率的に選べます。まずは最短3分の無料診断で、希望の条件で借り入れ可能かチェックしてはいかがでしょうか。
介護施設の利用費用は施設の種類ごとに差があります。また、介護される人の要介護度や施設の設備・サービスによっても異なるため、希望する施設の費用条件でシミュレーションしましょう。ただし、介護施設は生活の場でもあるため、費用のみを優先するとあとから後悔することも。設備やサービス、食事、スタッフの雰囲気などを総合的に判断し、より本人に合った施設をお選びください。
「どの銀行が融資をしてくれるか分からない」をクラウドローンが解決
クラウドローン(https://pre.crowdloan.jp/)は、個人が銀行から低金利でマイカーローン、教育ローンなどの融資を受けられる国内唯一のプラットフォームです。
融資の目的や時期、金額などをクラウドローンに登録すると、各銀行が融資可能な金額や金利のプランの直接提案してくれます。時間と労力をかけずに複数の銀行からより条件のよい融資を見つけることができます。
詳しくはこちら
クラウドローンとは
“借りたい”を登録して
お得な提案を待つだけ
融資をしたい銀行から、直接プラン提案を受けることで、
資金を必要としている一人でも多くの人に、融資の機会を提供します。
介護施設の選択は、単に費用面だけでなく、提供されるサービスや入居条件も重要なポイントです。この記事では、特別養護老人ホームから介護付き有料老人ホームまで、さまざまな介護施設の種類ごとに費用やサービス内容を詳しく解説しています。さらに、介護施設の選び方に役立つ補助制度の情報も提供。複雑な介護施設の世界を分かりやすく解説することで、あなたの家族に最適な選択ができるようになるでしょう。