JASSOの予約採用で不採用になっても、進学先で「在学採用」に申し込めます。ただ、在学採用の奨学金が振り込まれるのは入学後です。入学金や前期授業料の納付期限には間に合わないので、その時点で足りない額だけを延納や教育ローンで手当てすることになります。
順番は、①選考結果の不採用事由を確認する、②大学の延納・分納と大学独自の奨学金・減免を確認する、③進学後の在学採用(春)に申し込む準備をする、④それでも納付期限に足りない額だけを国の教育ローンなどで借りる、です。奨学金が入り始めたら、借りた分を繰上返済するかを判断します。
この記事では、各段階で確認する条件と、50万円を借りて半年後に繰上返済した場合の利息の目安を示します。
目次
JASSOは、予約採用の選考結果で希望した奨学金すべてが不採用だった人に対し、対象校へ進学すれば進学先でも申込みの機会があると案内しています。在学採用の申込手続きのページにも「予約採用で不採用になった方も、再度申込むことができます」と書かれています。
在学採用の募集は原則として春(4月〜、一次採用)と秋(9月〜、二次採用)です。4月に入学した人が入学時特別増額貸与奨学金を希望する場合は、春の一次採用で申し込む必要があります。申込期間は大学ごとに違うので、入学後すぐに奨学金窓口で確認してください。
令和9年度の予約採用の選考結果は、スカラネットで公開されたうえで、紙の通知が11月中旬以降に高校を通じて届くと案内されています。高校で予約採用の追加募集があるかどうかは、今回確認したJASSOの公表資料では確認できませんでした。在籍する高校に確認してください。
給付奨学金は、住民税所得割が非課税またはそれに準ずる世帯の学生が対象です。多子世帯に当たるかどうかも判定に関わります。
貸与奨学金は、生計維持者の貸与額算定基準額が第一種で189,400円以下、第二種で381,500円以下であることが条件です。2026年度の在学者用貸与奨学金案内の目安では、給与所得者の4人世帯で第一種は年収880万円、第二種は1,309万円です。給付で不採用でも、貸与なら対象になる可能性があります。
審査に使う住民税の年度は、春と秋で変わります。2026年度の場合、春は2024年の所得、秋は2025年の所得に基づきます。JASSOは、一次採用(春)が家計基準で不採用でも、二次採用(秋)では判定結果が異なる可能性があるとしています。収入が減った年がある場合は、秋の申込みも検討してください。家計が急に変わった場合の申込みは給付奨学金の家計急変採用の記事で扱っています。
在学採用で採用されても、初回の振込みは選考後です。貸与・給付それぞれの始期と振込みのルールは、2026年度の案内で次のように示されています。
| 種類 | 春(一次採用)の始期 | 秋(二次採用)の始期 | 初回振込みの扱い |
|---|---|---|---|
| 給付奨学金 | 4月分から | 10月分から | 春の採用で初回振込日が5月以降なら、4月分からまとめて振込み |
| 第一種奨学金(無利子) | 4月 | 10月 | 貸与始期からの月額をまとめて振込み |
| 第二種奨学金(有利子) | 4月〜9月の希望月 | 10月〜翌3月の希望月 | 同上 |
| 入学時特別増額貸与奨学金 | 入学月(春に申込み) | 4月入学者は春に申し込む必要あり | 初回振込み時に一時金として1回だけ |
予約採用の採用候補者向けしおりでも、振込開始が5月の場合は4月分とまとめて2か月分が振り込まれると説明されています。在学採用では選考を経るため、初回はそれより遅くなります。具体的な振込月は大学の手続き日程によるので、窓口で確認してください。
次に、進学先の大学に相談します。前期授業料の延納・分納が認められれば、在学採用の初回振込みまで支払いを待てる場合があります。申請期限は大学ごとに違うため、大学の延納・分納の記事で確認の仕方を整理しています。
大学独自の給付奨学金や授業料減免も、入学前に募集が締め切られるものと入学後に募集するものがあります。修学支援新制度の授業料等減免は給付奨学金とあわせて申し込む仕組みなので、在学採用で給付に採用された場合に、前期分の減免をどう反映するか(納付の猶予か、納付後の還付か)も大学に確認してください。
借入額は、納付期限までに必要な額から、手元資金と延納・分納で後ろに回せる額を差し引いて決めます。次の表は仮定の例です。
| 項目 | 金額(仮定) |
|---|---|
| 入学金 | 25万円 |
| 前期授業料・施設費など | 65万円 |
| 納付期限までに必要な額 | 90万円 |
| 手元資金 | 40万円 |
| 延納・分納で後ろに回せる額 | 0円(認められなかった場合) |
| 借入れが必要な額 | 50万円 |
後期授業料は、在学採用の奨学金が入り始めてからの見通しで判断できます。入学前の段階で4年分をまとめて借りる必要はありません。
国の教育ローンを利用できた場合、入学時特別増額貸与奨学金は利用できません。JASSOの在学者用貸与奨学金案内は、この増額を「国の教育ローン」を申し込んだものの融資が受けられなかった場合に貸与を受けられる制度と位置づけています。貸与額算定基準額が75,000円以下なら公庫への申込み手続きを省略できます。
増額は10万〜50万円を10万円単位で選べますが、振り込まれるのは初回振込み時です。入学金の納付期限には使えないので、期限までの資金は延納か手元資金で確保する必要があります。延納ができず国の教育ローンを借りる場合は、増額を使わない前提で計画を立ててください。
日本政策金融公庫のよくある質問では、申込み完了から審査結果まで10日前後、さらに口座への振込みまで10日前後かかるとしています。入学シーズン(10月〜3月)はさらに時間がかかる可能性があり、必要時期の2〜3か月前の申込みが目安です。
入学資金は、原則として入学月の翌月末まで融資を受けられます。不採用の通知を受けたらすぐに申込みの準備を始め、入学金の期限との前後関係は入学金の納付とローン申込時期の記事で確認してください。
金利は令和8年7月1日現在で年4.05%(固定)です。交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭、世帯年収200万円(所得132万円)以内、子ども3人以上かつ世帯年収500万円(所得356万円)以内は▲0.4%になります。お借入金利は実際の借入日の金利が適用されます。
以下は仮定の試算です。3月に国の教育ローンで50万円を年4.05%で借り、返済期間10年(120回)の元利均等返済とします。保証料は含めません。
毎月返済額は「借入額×月利×(1+月利)^回数÷((1+月利)^回数−1)」、月利は年4.05%÷12で計算し、5,074円です。繰上返済をしないと、10年間の利息は合計約10万9,000円(108,898円)です。
在学採用の奨学金が入り始めた後、6回目の返済を終えた時点で残りの元金479,508円を一括で繰上返済すると、それまでに払った利息は9,953円です。12回返済した後に繰上返済した場合は、利息19,487円・残元金458,597円です。
公庫は、繰上返済に伴う手数料はかからず、振込手数料のみ自己負担としています。銀行の教育ローンは手数料が商品ごとに違うため、商品概要説明書で確認してください。繰上返済の一般的な注意点は奨学金・教育ローンの減額・猶予と繰上返済の記事にまとめています。
第二種奨学金で教育ローンを返すと、借入れが奨学金に置き換わるだけです。第二種は貸与中は無利子で、利率の上限は年3.0%ですが、卒業後に本人が返します。繰上返済に回すのは給付奨学金の余剰や家計の手元資金を優先し、第二種の月額は必要額に合わせて選んでください。
不採用の事由が家計基準なのか、学力基準や書類の不備なのかで、在学採用に向けて準備する内容が変わります。不採用通知の記載を確認したうえで、次の点を大学と金融機関に確かめてください。
| 支払い方法 | 入金・支払いの時期 | 金利・費用 | 不採用・結果待ちの場面での使い方 |
|---|---|---|---|
| JASSO在学採用 | 入学後の選考を経て初回振込み | 給付は返済不要。第一種は無利子、第二種は上限年3.0%(貸与中は無利子) | 後期授業料以降の主な財源 |
| 大学の延納・分納 | 大学が定める期限まで | 大学の定めによる | 奨学金の初回振込みまで支払いを待つ |
| 国の教育ローン | 申込みから20日前後(繁忙期は長くなる場合あり) | 年4.05%固定(令和8年7月1日現在)、条件により▲0.4% | 入学金・前期納付金の不足額 |
| 銀行の教育ローン | 金融機関ごとに異なる | 商品ごとに異なる(変動・固定) | 国の教育ローンで足りない、または条件が合わない場合 |
| 学校提携ローン | 学校・提携先ごとに異なる | 商品ごとに異なる | 学校へ直接支払う場合の選択肢 |
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調査日:2026年10月8日。奨学金の募集時期や金利は変更される場合があります。申込み前に各機関と進学先の大学で最新の条件を確認してください。
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