キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期契約の社員を正社員に転換した中小企業に、1人あたり最大80万円を支給します。80万円は重点支援対象者の場合で、40万円ずつ2回に分けて申請します。それ以外の有期雇用労働者は40万円を1回です。
申請できるのは、正社員として6か月分の賃金を払った後です。転換した月から人件費が増える一方、助成金は申請と審査を経てから振り込まれます。最初の入金までの半年以上の人件費増は、自己資金か借入で先に手当てする必要があります。この記事の制度内容は、2026年10月8日時点の公式情報で確認しました。
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令和8年度のキャリアアップ助成金は6コースで構成されています。正社員化支援が正社員化コースと障害者正社員化コースの2つです。処遇改善支援は、賃金規定等改定、賃金規定等共通化、賞与・退職金制度導入、短時間労働者労働時間延長支援の4つです。
令和8年4月1日の時点では、支給要件と支給額に大きな変更はありませんでした。ただし社会保険適用時処遇改善コースは令和7年度末で廃止されています。4月8日には正社員化コースに情報公表加算が新設されました。転換制度の概要や直近3事業年度の転換人数などを、自社サイトか「しょくばらぼ」で公表すると、1事業所につき1回、20万円が加算されます。大企業は15万円です。
2027年度(令和9年度)の支給要領と予算は、2026年10月8日時点で公表されていません。同じ金額や要件が続くかは確認待ちです。厚生労働省は年度の途中で要件が変わる場合があるとしています。取組の前に、管轄の労働局で最新の要件を確認してください。
支給額は、企業規模と転換前の雇用形態で決まります。重点支援対象者は2期に分けて申請でき、合計額が大きくなります。
| 対象者 | 企業規模 | 有期から正規 | 無期から正規 |
|---|---|---|---|
| 重点支援対象者 | 中小企業 | 80万円(40万円×2期) | 40万円(20万円×2期) |
| 大企業 | 60万円(30万円×2期) | 30万円(15万円×2期) | |
| 上記以外 | 中小企業 | 40万円(1期) | 20万円(1期) |
| 大企業 | 30万円(1期) | 15万円(1期) |
重点支援対象者は、雇入れから3年以上の有期雇用労働者などです。雇入れから3年未満でも、過去5年間に正社員だった期間が合計1年以下で、過去1年間に正社員でなかった人は該当します。派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した人も対象です。有期契約が通算5年を超えた人は無期雇用労働者とみなされます。
加算は1事業所につき各1回です。正社員転換制度を新たに定めて転換すると20万円が加算されます。勤務地限定・職務限定・短時間正社員のいずれかの制度を新設して転換すると40万円です。支給申請の上限は1年度1事業所あたり20人です。
最初に、キャリアアップ管理者を置き、キャリアアップ計画を作って労働局に提出します。提出期限は正社員に転換する日の前日です。計画の期間は3年以上5年以内です。
次に、正社員へ転換する制度を就業規則などに定めます。転換前の本人には、正社員と賃金の額や計算方法が異なる就業規則が6か月以上適用されている必要があります。「個別の雇用契約書で定める」とだけ書いた就業規則では、違いを確認できず対象外です。
転換後の正社員には、賞与か退職金の制度と、昇給の制度が適用されていなければなりません。そのうえで、転換後6か月間の賃金を転換前6か月間より3%以上増やします。6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内が、第1期の申請期間です。重点支援対象者は、さらに6か月雇用して第2期を申請します。
| 段階(仮定の日付) | 時期 |
|---|---|
| キャリアアップ計画の提出 | 10月31日まで(転換日の前日まで) |
| 正社員転換 | 11月1日 |
| 第1期の6か月目の賃金支払い | 翌年5月10日(4月分) |
| 第1期の申請期間 | 翌年5月11日から7月10日まで |
| 第2期の6か月目の賃金支払い | 翌年11月10日(10月分) |
| 第2期の申請期間 | 翌年11月11日から翌々年1月10日まで |
この表は、賃金を月末締めで翌月10日に払う会社と仮定しています。転換日が締切日の翌日でない場合は、転換後最初の締切日から6か月を数えます。審査を経て支給が決まると振り込まれますが、公式資料に審査期間の目安は示されていません。入金日は確定しないものとして資金計画を立ててください。
中小企業が、雇入れから4年の契約社員1人を11月1日に正社員へ転換すると仮定します。重点支援対象者に当たり、助成額は40万円×2期の80万円です。月給は22万円から23万円に上げ、所定労働時間は変えません。正社員の賞与として、12月と6月に各10万円を払うと仮定します。
所定労働時間が同じで、前後とも月給なので、6か月間の総額で比べます。転換前は22万円×6か月で132万円、転換後は23万円×6か月で138万円です。増加率は6万円÷132万円で約4.5%となり、3%以上の要件を満たします。
第1期の申請が始まる翌年5月11日までに増える人件費は、月給の差額1万円×6か月の6万円と、12月の賞与10万円です。合計16万円が先に出ていきます。第2期の申請開始までの12か月では、差額12万円と賞与20万円の計32万円です。社会保険料の会社負担も増えますが、この例には含めていません。
助成金80万円は増加分32万円を上回ります。それでも入金は早くて第1期の申請後で、審査期間は読めません。転換前から最初の入金まで、少なくとも半年以上は会社の資金で人件費増を負担します。複数人を同時に転換すると、その分だけ先払いの額は大きくなります。
厚生労働省のQ&Aは、受給できない例として3つを挙げています。1つ目は、計画書に不備があり再提出した場合です。助成の対象は再提出した日以降の措置に限られ、それ以前の転換は対象外になります。2つ目は、申請期間を過ぎた場合で、理由を問わず受け付けられません。3つ目は、申請後に賃金の不足が分かった場合です。差額を後から払っても、書類の差し替えは認められません。
パンフレットには就業規則の書き方による対象外の例もあります。「賞与の支給は会社業績による」とだけ定めた場合は、賞与の制度があるとみなされません。客観的な基準がない昇給規定も同じです。転換後に正社員として試用期間を設けると、無期から正規への転換として扱われます。新卒で雇入れから1年未満の人は対象外です。
賃金台帳や出勤簿は原本か原本の写しで出します。加工した書類を出すと不支給です。計画書は転換日の1か月前など、余裕をもって出してください。
助成金は融資ではないため返済は不要です。ただし、増えた人件費は毎月の給与日と賞与日に払わなければなりません。給与の支払いは延ばせないので、まず手元の自己資金で何か月分を賄えるかを試算してください。仕入や外注費の支払条件を見直して、手元資金を厚くする方法もあります。
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