カードローンの金利引上げの通知が届いたら、まず「今の残高にいつから新しい金利がかかるか」を通知書と規定で確かめてください。そのうえで、そのまま返す・フリーローンなどへ借り換える・繰上返済するの3つを、同じ返済期間にそろえて総額で比べます。この記事の試算では、残高100万円を年14.5%から年10.0%へ借り換え、5年で返す場合に利息が約13.7万円減りました。一方、同じ年10.0%でも返済期間を10年に延ばすと、今のカードローンを毎月2万円で返し続ける場合より、利息はかえって約4.3万円増えます。
借り換えは、金利が下がる幅と期間の長さ、かかる費用の3つで損得が決まります。月々の返済額だけで判断しないことが大切です。手元に余裕資金があるなら、繰上返済が最も確実に利息を減らせます。
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背景には日本銀行の利上げがあります。日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.75%程度から1.0%程度に引き上げました。続く2026年9月18日の会合では1.25%程度とし、9月24日から適用しています(日本銀行「金融市場調節方針の変更について」2026年9月18日)。
銀行や信用金庫の変動金利型カードローンは、各金融機関が決める基準金利をもとに金利を決める仕組みを採る金融機関があります。政策金利が上がると、基準金利の見直しを通じて貸出金利も上がりやすくなります。引き上げる時期と幅は、金融機関ごとに異なる点に注意が必要です。
公式の告知で内容を確認できた例として、浜松いわた信用金庫があります。同信金は「日本銀行の金融政策変更に伴う市場環境等の変化を踏まえ」、変動金利型カードローンの基準金利を2026年に2回引き上げました。
表1 浜松いわた信用金庫の変動金利型カードローン基準金利
| 改定日 | 改定前 | 改定後 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月1日 | 3.075% | 3.325% | +0.25pt |
| 2026年10月1日 | 3.325% | 3.575% | +0.25pt |
出典:浜松いわた信用金庫(2026年3月4日)、同(2026年9月1日)(2026年10月15日確認)。
基準金利は半年で合計0.5ポイント上がりました。ただし、表の数字は基準金利です。利用者に適用される金利そのものではありません。2026年10月15日時点の同信金の掲載では、住宅ローン利用者向けの変動金利型カードローン「すまいるプラス」が年6.20%(2026年10月1日現在)です(商品ページ)。改定前の金利は確認できなかったため、この商品の引上げ幅はここでは示しません。
ほかの金融機関の改定については、本記事の調査で公式ページの本文を読めなかったため、改定幅や日付を載せていません。利用中の金融機関の改定内容は、届いた通知か公式サイトで確認してください。
変動金利型のカードローンは、契約中の残高にも新しい金利がかかる可能性があります。浜松いわた信金の「すまいるプラス」の商品概要には「ご融資利率は、金融情勢に応じ変動いたします」と書かれています。一方、同信金の告知PDFそのものには、既存の借入残高に適用するかどうかの記載がありません。
固定金利と書かれた商品でも安心はできません。同信金の固定金利型「随時返済型カードローン」の商品概要にも「ご融資利率は、金融情勢に応じ見直しをさせていただくことがあります」とあります(商品ページ)。通知書を受け取ったら、改定日、対象となる残高、新しい金利の3点を確認してください。わからない点は、カードローンの規定(契約書)を見るか金融機関に問い合わせると確実です。
カードローンには、毎月の約定返済額を残高に応じて決める商品があります。「すまいるプラス」も残高スライド方式で、約定日前日の残高が2万円超100万円以下なら返済額は原則2万円です。金利が上がっても毎月の引落額は変わりません。そのぶん利息に回る金額が増え、元金の減りが遅くなります。つまり、引上げの影響は「返済期間の延長」と「利息総額の増加」として表れます。
試算1は、残高100万円を毎月2万円ずつ返す場合の比較です。金利は仮定で、年14.0%から年14.5%へ0.5ポイント上がったとします。
差は返済2か月分、利息にして33,633円です。計算では、月利を年利÷12とし、毎月の利息の1円未満を切り捨てました。返済回数は n=−ln(1−rP÷A)÷ln(1+r) で求められます。Pは残高、Aは毎月の返済額、rは月利です。100万円・年14.5%・2万円なら77.16となり、端数の残りを払う78回目で完済します。実際のカードローンは日割りなど商品ごとの方法で利息を計算するため、金額は多少ずれます。
影響が大きいのは、残高が多い人や最低返済額だけを払っている人です。最低返済額だけで返し続けた場合の期間と利息は、カードローンを最低返済額だけ払うと何年かかるかを試算した記事で詳しく説明しています。
金利が上がったあとに取れる手は、大きく分けて3つです。それぞれ向いている人と、見落としやすい点が違います。
表2 金利引上げ後の3つの選択肢
| 選択肢 | 向いている人 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| そのまま返済 | 残高が少ない、近いうちに完済できる | 返済額が同じだと期間が延び、利息が増える |
| フリーローン等への借り換え | 残高が大きく、金利差を十分に取れる | 審査がある。期間を延ばすと総額が増える。印紙代などの費用 |
| 繰上返済・一括返済 | 生活防衛資金とは別に余裕資金がある | 手元資金が減る。カードを使い続けると残高が戻る |
出典:筆者作成(2026年10月15日時点)。
手続きが要らず、審査もありません。残高が数十万円程度で、1年ほどで完済できる見通しなら、金利が少し上がっても利息の増加は限られます。ただし、毎月の返済額が同じなら期間は延びます。そのまま続ける場合でも、約定返済額より多めに返す「随時返済」を組み合わせると、増えた利息を相殺しやすくなるでしょう。
カードローンの残高を、新たに借りたフリーローンなどで返す方法です。フリーローンは一度にまとまった額を借り、決まった期間で元利均等返済する商品が多く、完済の時期がはっきりします。たとえば浜松いわた信金のフリーローンは、使いみちに「おまとめ資金も可能」とあります。金利は固定で、年4.0%・6.0%・8.0%・10.0%・14.0%(保証料込み)の中から保証会社の審査で決める方式です(金利は商品ページ上で2023年12月1日現在と表示)。期間は1年以上10年以内、融資手数料は不要で、印紙代は必要です(商品ページ、2026年10月15日確認)。
この例のように、借り換え後の金利は審査で決まり、申し込む前にはわかりません。適用金利を確かめてから比べることが前提です。フリーローンの借り換えの一般的な流れは、フリーローンの借り換えについて解説した記事も参考にしてください。
余裕資金で残高を減らせば、その分の利息はかからなくなります。審査も費用も要らず、金利がいくら上がっても効果は確実です。注意したいのは、急な出費に備える生活資金まで使ってしまうことです。手元の資金が足りなくなり、結局カードローンで借り直すと、効果は消えてしまいます。
ここからは、残高100万円を前提に4つの試算を示します。金利はすべて仮定です。実際の金利は、借りる人と金融機関の審査によって変わります。元利均等返済の毎月返済額は、次の式で求めました。
毎月返済額=P×r×(1+r)^n÷((1+r)^n−1)。Pは借入額、rは月利(年利÷12)、nは返済回数です。利息の合計は「毎月返済額×回数−借入額」です。
比べる条件をそろえるため、カードローンも5年(60回)で返し切ると仮定します。
利息の差は136,860円です。書面で契約する場合、契約金額100万円の金銭消費貸借契約書には1,000円の印紙税がかかります(国税庁「印紙税額の一覧表」、50万円超100万円以下の区分)。差し引いても約13.6万円少なくなります。期間を変えずに金利を4.5ポイント下げられれば、借り換えの効果は大きいといえます。
同じ年10.0%(仮定)でも、返済期間を10年(120回)に延ばすと結果が変わります。毎月の返済額は13,215円まで下がりますが、利息の合計は585,800円です。年14.5%(仮定)のカードローンを毎月2万円で返す場合(78回、利息543,144円)と比べると、42,656円多くなります。
月々の負担が軽くなるのは、返す期間が延びたからです。金利が下がっても、期間を延ばしすぎると総額は増えます。月々の負担を下げる必要がある場合でも、総額がどう変わるかを先に計算してください。
借り換え先の金利が年14.0%(仮定)で、差が0.5ポイントしかない場合です。同じ60回で比べると、利息の差は15,600円にとどまります。仮に借り換え先で2万円の事務手数料がかかるとすると、手数料と印紙税を合わせた費用が利息の差を上回ります。手数料の有無は商品ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。手数料がない商品でも、金利差が小さいと手間に見合わないことがあります。
年14.5%(仮定)のカードローンで、最初に30万円を一括で返し、残り70万円を毎月2万円ずつ返す場合です。返済は46回で終わり、利息の合計は215,432円になります。繰上返済しない場合(78回、543,144円)より、利息は327,712円少なくなります。30万円を手放す代わりに、期間は32か月短縮できる計算です。
表3 試算のまとめ(残高100万円、金利はすべて仮定)
| ケース | 毎月の返済 | 回数 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| そのまま(年14.0%) | 20,000円 | 76回 | 509,511円 |
| そのまま(年14.5%) | 20,000円 | 78回 | 543,144円 |
| 年14.5%を60回で返す | 23,528円 | 60回 | 411,680円 |
| 年10.0%へ借り換え・60回 | 21,247円 | 60回 | 274,820円 |
| 年10.0%へ借り換え・120回 | 13,215円 | 120回 | 585,800円 |
| 年14.0%へ借り換え・60回 | 23,268円 | 60回 | 396,080円 |
| 30万円繰上返済後、年14.5% | 20,000円 | 46回 | 215,432円 |
出典:筆者試算(月利=年利÷12。毎月2万円返済のケースは毎月の利息の1円未満を切捨て、元利均等のケースは毎月返済額を1円未満四捨五入し「毎月返済額×回数−借入額」で利息を計算。2026年10月15日計算)。印紙税・手数料は含まない。
試算を踏まえると、判断の順番は次のとおりです。
複数の方法を組み合わせることもできます。たとえば一部を繰上返済し、残りをフリーローンに借り換えれば、借入額が減る分、審査や返済の負担も軽くなります。
カードローンの中には、使いみちから借り換えを除いている商品があります。浜松いわた信金の「すまいるプラス」も、使いみちから「旧債務返済資金」を除いています。借り換えに使うなら、おまとめや借り換えに使えると明記されたフリーローンなどを選び、申込時に使いみちを正しく伝えてください。
借り換えでカードローンの残高がゼロになっても、契約が残っていれば再び借りられます。新しいローンを返しながら、また借りてしまうと借金は増えます。再び使う予定がないなら、解約も検討してください。
利息制限法第1条は、利息の上限を元本10万円未満で年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%と定めています(e-Gov法令検索「利息制限法」)。金利が上がるといっても、この範囲を超える利息の約定は超過部分が無効です。借り換え先を比べるときは、金利のほかに保証料が金利に含まれるか、事務手数料や印紙代がかかるかを確認してください。浜松いわた信金のフリーローンのように、保証料を金利に含めて表示する商品もあります。
借り換えには新たな審査があり、希望する金利や金額で借りられるとは限りません。浜松いわた信金のフリーローンも、金利は保証会社の審査で決まると明記しています。今のカードローンの返済を続けながら、借り換え先の条件が確定してから切り替えてください。
借り換えを考えるなら、複数の金融機関の条件を並べて、試算と同じように期間をそろえて比べるのが近道です。CrowdLoanは、複数の金融機関からの提案を比べられるサービスです。借り換え先のフリーローンを探す段階で、金利や返済期間の候補を一度に確認できます。
提示される条件は目安です。本審査や適用金利、借りられるかどうかは各金融機関が判断し、個人によって異なります。提案を受けたら、今のカードローンを同じ期間で返した場合の総額と比べてから決めてください。
すぐに手続きが必要になることは通常ありません。まず改定日と新しい金利、対象の残高を確認してください。そのうえで、この記事の試算のように返済額と期間を計算し、繰上返済や借り換えを比べます。
影響はあります。返済額が同じでも、利息に回る分が増えて元金の減りが遅くなります。試算1では、年14.0%から年14.5%になると完済が2か月延び、利息は約3.4万円増えました。
今のカードローンの完済予定と同じか、それより短い期間を基準にしてください。試算3のように、金利が下がっても期間を延ばしすぎると利息の総額は増えます。
商品によって異なります。おまとめや借り換えに使えると明記した商品なら対象になりえますが、審査があります。使いみちの条件を商品概要で確認し、窓口で相談してください。
余裕資金がある場合は、繰上返済のほうが審査や費用がなく確実です。資金が足りない場合や残高が大きい場合は、借り換えで金利を下げたうえで、余裕が出たときに繰上返済する組み合わせも考えられます。
調査日:2026年10月15日。金利・制度は調査日時点の各公式資料の掲載内容に基づきます。試算の金利はすべて仮定で、実際の金利・返済額を示すものではありません。
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