2024年12月19日
車いすに乗っている人が、車いすに乗ったまま、車両後部から乗り降りできる車両を見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。
一般的にこのような車両を「車いす仕様車」といいますが、具体的にどのような機能を備えているのか、どんなタイプの車両があるのか、購入を検討する際はチェックしたいポイントがいくつか存在します。
また、一般的な車と違い、車いす仕様車は税金面で有利になったり、各種助成制度を利用できたりします。
この記事では、そんな車いす仕様車について、主な車両のタイプや選ぶ際のポイント、助成制度などを幅広く解説します。
目次
車いす仕様車は、大まかな枠組みとしては「福祉車両」の一種に分類され、一般車両を利用する場合に比べて、車いすに乗っている人との移動が大幅に楽になります。
まずは、車いす仕様車がどのようなタイプの車なのか、主な特徴を解説します。
車いす仕様車とは、車後部に取り付けたスロープ・リフトなどを使い、普段使用している車いすのまま乗り降りできるようにした車のことをいいます。
身体が不自由などの理由から車いすが手放せない、車いす利用者の移動がスムーズになるだけでなく、車いす利用者の介護を担当する人の負担を軽減することにもつながります。
車いす仕様車は、一般車をベースにしたものを中心に、様々なメーカーで販売されています。
それぞれの車に特徴が見られ、車いす仕様車にマッチするよう開発された車いすも存在します。
広々としたスペースが必要になりそうなイメージから、多くの人はミニバンサイズの車いす仕様車を連想するかもしれませんが、軽自動車をベースにした車いす仕様車もあります。
そのため、団地に住んでいたり、家に面した道路の幅が狭かったりする場合でも、ニーズに応じて車種を選ぶことができます。
車いす仕様車は、いわゆる「福祉車両」の一種に含まれ、福祉車両とは「身体の不自由な人やお年を召された人などが、車で移動するのをサポートするタイプの車」のことをいいます。
福祉車両には、車いす仕様車以外にも、次のようなタイプの車両があります。
回転(スライド・チルト)シート車 | 助手席が外側に回転、または回転してスライド・チルトし、楽に乗降できる |
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昇降シート車 | 助手席のシートが電動で回転し、ドアの外側へと上下に移動するため、車いすからの乗降が楽になる |
運転補助装置付車 | 足でアクセル・ブレーキの操作が難しい人などが、左右の手で車を操作できるようにしたもの 右足が操作できず、左足での操作が必要な人には、左足アクセル車もある |
車いす利用者がどの程度車いすに頼る必要があるのか、足は動かなくても手は動くのかなど、車を選ぶ人や家族の状況に応じて福祉車両の選択肢が変わってきます。
例えば、車いすを補助的に使用している場合は、あえて車いす仕様車を購入しなくても、回転シート車・昇降シート車で十分な場合もあります。
車いす仕様車を利用すると、スロープやリフトを使うことで、無理なく車いすを車内に格納できるようになります。
それにともない、車いすに乗っている家族の移動がしやすくなるため、車いす利用者が通院や買い物、旅行などをする際のハードルが大幅に下がるものと予想されます。
家族総出で移動する際はもちろん、介護者と車いす利用者の2人で車移動する際も、介護する側の負担が軽減される分だけ移動が楽になるでしょう。
特に、男手がない家庭の場合、車いすを利用している家族はもちろん、車いす自体の積載・運搬も負担が大きくなりがちですから、車いす仕様車のありがたみを感じやすいはずです。
また、諸条件を満たせば自動車税の減免が受けられたり、消費税が非課税になったりするため、経済面でも一般車両を購入するより有利になる場合があります。
車いす仕様車は、大きく分けて次の2つのタイプに分類され、それぞれ車いすを楽に車内に格納できるよう工夫がこらされています。
以下、それぞれのタイプについて、特徴やメリットなどを解説します。
スロープタイプの車いす仕様車とは、車両後部にスロープが設置されているタイプのものをいい、使用時はスロープを展開して車いすを乗降させます。
スロープと聞くと、車いすを手動で押して乗せるイメージが強いかもしれませんが、近年主流となっているのは電動ウインチを使って車いすを引っ張るタイプ(電動ウインチ式)です。
電動ウインチ式の車いす仕様車の中には、ウインチベルトの巻き取りスピードを調整できたり、車いすの進路を補正したりする機能などが備わった車種も見られます。
基本的には、スイッチ操作だけでスロープの展開・収納ができるため、スロープを自力で畳んだり広げたりする必要がありません。
ウインチ+スロープの組み合わせによって、車いすを安定した状態で移動させられるのが、スロープタイプを利用する大きなメリットです。
その一方で、スロープ展開時にはスペースが必要になることから、展開する場所は選ぶ必要があります。
リフトタイプとは、リフト上に車いすを乗せ、スイッチで昇降させるタイプの車いす仕様車のことです。
車いすに乗っている人を、そのまま後部のリフトに乗せた後、車いす固定装置を使って車いすを固定し、リモコンでリフトを上昇させ、最終的には車いすごと車内へ移動させる仕組みです。
車いすをリフトに乗せた状態でスイッチによる乗降を行うため、車のシートに長時間座るのが難しい車いす利用者を車に乗せたい場合や、介護者の体力的な問題からシートへの乗り降りを手助けするのが難しい場合などに便利なタイプです。
しかし、リフトに車いすを固定する際の方法や、リフトの操作方法などがやや煩雑な傾向にあるため、どのように使用するのかについては事前に練習しておく必要があるでしょう。
一口に車いす仕様車といっても、サイズやタイプなどは一つひとつ異なるため、どれを選んでも車いす利用者やその家族にマッチするとは限りません。
実際に車いす仕様車を選ぶ際は、次にご紹介するポイントについて検討した上で判断しましょう。
車いす仕様車を選ぶ際は、乗車可能高やスロープの幅などがどのくらいなのか、カタログや実車(試乗車)を見て判断しましょう。
特に、普段使用している車いすで乗り込めるかどうかについては、必ず確認するようにしてください。
車いす仕様車は、普通車いすを使用した場合と、リクライニング機構付車いすを使用した場合とで、乗車可能な車いすの寸法が違うケースも珍しくありません。
また、助手席側のセカンドシートが付いているか、付いていないかによっても、乗り込める車いすのサイズが変わってきます。
近所に車いす仕様車の試乗車が置いてあるお店がある場合は、購入前の段階でスロープを無理なく移動できるかどうか、リフトに車いすを乗せられるかどうかなど、実際に使い勝手を確認してから購入することをおすすめします。
車いす仕様車の中に車いすを格納した後は、その車いすが運転中に動かないよう固定する必要があります。
詳細は車種によって異なりますが、車いすを固定する場合、後部フレーム・前輪フレームなどにフックをかけて固定するといったように、所定の手順を守らなければなりません。
その後、車いすがきちんと固定されたことを確認してから、ようやくシートベルトを装着することになります。
シートベルトは、正しく装着していない状態で走行すると命にかかわるおそれがあるため、車いすの固定と併せて正しい装着方法を確認しておきましょう。
その他、車種によっては車いす用のハンドグリップが備わっているものもあります。
取っ手となる部分があると、車いす利用者が乗車時に体勢を維持するのに便利ですから、必要に応じてハンドグリップがある車種を探すのもよいでしょう。
現在使用している車いすがギリギリ乗せられるような大きさの車種を選ぶと、頭上にゆとりがなくなってしまい、走行中に頭をぶつけるおそれがあります。
また、つま先に余裕がなく圧迫感がある状況で乗ることになると、快適なドライブは難しいものと考えられます。
こういった点につき、車いす利用者の性格によっては、「せっかく買ってくれるのに贅沢は言えない」などと考えて、試乗時に本音を隠してしまうかもしれません。
車いす仕様車に試乗する際は、車いす利用者に我慢しないよう伝え、率直な感想(狭い、窮屈など)を確認するようにしたいところです。
例えば軽自動車タイプのように、車内の広さが限られる車いす仕様車を選んでしまうと、日常使いに支障が出るおそれがあります。
軽自動車であっても、フロント2名・助手席側リアシート1名の乗車を可能としているモデルはありますが、この状況において4人乗車で旅行などに出かけることを想定した場合、例えばスロープタイプだとスロープを片付けることで荷物を置くスペースが限られてしまいます。
車いす利用者も含め、毎日の移動を便利にしたいのであれば、乗車する人だけでなく、荷物などをどう積載するのかまで想像して車を選びましょう。
車いす仕様車を購入する場合、次のような税金優遇・助成制度の恩恵が受けられます。
消費税 | 非課税 ※(車いす等を車両に乗せるための昇降装置と、その車いす等を固定するために必要な装置を装備した車両) |
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自動車税(環境性能割・種別割) | 減免 ※(身体の不自由な人が所有し、本人もしくは通勤等のために生計同一者が運転する車) ※(多くの都道府県において、所定の障がい者等級で種別割は45,000円を上限に減免が受けられる) ※(環境性能割は、課税標準額に税率を掛けた金額から、減免が適用される課税標準額に税金を掛けた金額を差し引いて、納付額を算出する) |
補助金 | 100,000~300,000円 ※(福祉車両への改造時、福祉車両の購入時など) ※(自治体によって金額や条件が異なるため注意) |
低金利融資 (社会福祉協議会) | 2,500,000円 ※(償還期間8年以内) ※(連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%) |
各種割引 | ●高速道路:割引率50%(ETC利用可) ●ガソリン助成(札幌市):30,000円(年間最大) など |
これらの税金優遇・助成制度を活用することで、購入時やランニングコストの負担を軽減することができます。
ただし、お住いの地域によって利用できる条件などが異なるケースが考えられるため、購入前に最寄りのディーラーや社会福祉協議会などに相談することをおすすめします。
車いす仕様車は、購入にあたり各種税金の優遇や助成制度の活用が可能な分、一般車両を購入する場合に比べて予算の都合をつけやすいかもしれません。
しかし、それでも本体価格が高い場合は、カーローンを組むことも選択肢に含めてみましょう。
その際、ディーラーや信販会社からカーローンを紹介される機会は多いですが、すぐに決めずに色々なタイプのカーローンを検討することをおすすめします。
例えば、金融機関が提供しているカーローンを利用すると、金利を低く抑えられます。
金融機関のカーローンは、金利が低く抑えられている分、審査の難易度が高い傾向にあります。
すでに住宅ローンやその他のローンを組んでいる場合などは、それがネックになり審査に通らないリスクがある一方、金融機関によっては審査に通る可能性も十分あります。
複数の金融機関の審査を一度に通したい場合は、低金利ローンのマッチング&比較サービス「クラウドローン」の利用がおすすめです。
クラウドローンを利用することで、店舗への来店の必要なく、全国各地の金融機関からカーローンの提案を受けられます。
車いす仕様車は、車いす利用者とその家族の生活を、より快適にしてくれる福祉車両です。
軽自動車からミニバンサイズまで、幅広いタイプの車種が販売されており、家の近くの道が狭い場合は軽自動車ベースの車両を検討することもできます。
車いすを車に積む際は、車いす利用者の介護を担当する人のニーズに合わせて、スロープもしくはリフトタイプのいずれかを選べます。
実際に購入する際は、機能だけでなく車内の広さ、車いすの固定方法、普段使いとの併用などを考慮して選ぶことが大切です。
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