2022年06月17日
残価設定型クレジットとは車両価格の一部をあらかじめ残価(数年後の下取り価格)として据え置き、残りの金額を分割払いとすることで、月々の支払を軽減することができる支払い方法です。残価設定型クレジットは通称「残クレ」とも呼ばれています。
今回は残クレの基本的な考え方から解説したいと思いますので、車の購入を考えている人などはぜひ参考にしてください。
目次
「残クレ」「残価設定(型)ローン」「残価設定型クレジット」など呼び方はさまざまです。呼び方はさまざまと言いましたが、「残価設定型クレジット」と「残価設定型ローン」はまったく同じものなのでしょうか?
そもそもクレジットとローンの違いはなんでしょうか?
残クレを知る後半にも役立つ基礎知識ですので、まずおさらいしておこうと思います。
ローンとは、銀行などからお金を借りて、後から少しずつ支払う約束のことです。(中略)たとえば車などの高額の買い物になると、お金を一度に用意するのが難しいケースも出てきます。そのような場合にローンを利用すると、必要なものを必要なときに手に入れられます。
クレジットとは、商品などを買った時点では代金を支払わず、後から支払う約束のことです。(中略)代金の支払いが後回しになるため、買う人に信用がなければ利用できません。
ローンとクレジットは、どちらも後で支払う約束であるという点、分割で支払う場合は手数料等がかかるという点が共通しています。両者の違いは、一般的にローンは、車や住宅など高額なものを買うときに利用され、返済は長期になります。一方、クレジットは、洋服や家電など様々な買い物に利用することができ、支払いはローンに比べると、比較的短期になります。
一般社団法人全国銀行協会HP/シリーズ教材お金のキホン/3章お金を借りる/ローンとクレジットより引用
これは全銀協作成の高校生向け教材にある説明ですが、簡潔でわかりやすいので引用しました。
もう少し大人向けに説明すると、まずお金を借りてから商品を購入し、借りたお金をあとから返済していくのがローンです。
あとで払うと約束して商品を購入し、約束通り代金をあとで支払うのがクレジットと表現できます。
ローン、クレジットはともに「消費者信用」とも呼ばれ、信用に基づいた契約で成り立ちます。この消費者信用でもローンは「融資」、クレジットは「個品割賦販売」と区分けされています。
残クレの場合は、車を先に購入して後払いする個品割賦販売なので、とくに「クレジット」という言葉を使っているようです。
毎月分割して支払うのでローンのようにも感じられますが、あくまで「クレジット契約」である点は重要ですので、覚えておいてください。
残クレ、カーリース、マイカーローンの違いを一覧表にしました。まず一覧表で違いを比較して、個別に詳しく違いを説明していくことにします。
<一覧表 残クレとそれ以外の違い>
契約 | 車の名義 | 契約終了後 | |
---|---|---|---|
残クレ | クレジット | 系列会社(詳細後述) | 複数から選択 |
カーリース | リース | リース会社 | 複数から選択 |
マイカーローン | ローン | 本人 | 本人の自由 |
残クレの場合、車の名義は系列会社(ファイナンス会社)になるのが一般的です。(例えば「〇〇系列の〇〇ファイナンス」で、〇〇には自動車メーカー名が入ります)
カーリースでは契約期間中の名義はリース会社で、契約終了後に買い取れば本人名義に変更できます。マイカーローン(銀行系)は最初から購入した本人名義です。ディーラー系ローンでは系列ファイナンス会社名義で、ローンが終了すると自分名義になります。
残クレではローン支払が終わった場合「返却」「別の新車に乗り換え」「買い取り※」から選択できます。リース契約も同様で返却、乗り換え、買い取り(再リースを含む)から選択できます。マイカーローンは、ローンの返済が終われば契約も終了です。
※買い取りには再クレジットも含む、詳細後述
契約終了後の残価を設定しておく残クレでは、契約期間中の走行距離と損傷が重要になります。例えば「走行距離は1,000㎞/1ヶ月または1,500㎞/1ヶ月」と段階的に設定されています。
また修復歴も「レース(協議会)で使用していないこと、違法改造されていないこと、事故による修復歴がないこと」など細かく決められています。
カーリースも同様に改造禁止で、現状維持しなければいけません。残クレやカーリースは残価が重要なので、走行距離や修復歴に細かい制限があります。それに対して、マイカーローンはこのような制限はなく、本人の自由です。
次に、残クレの特徴とその注意点を説明していきます。
数年後の下取り価格をあらかじめ設定したのが残価です。将来の評価額であり、車種やグレードなどさまざまな要素で決められていますが、原則は本体価格が高ければ高いほど残価も高くなります。
最近は「残価保証」といって数年後の残価の最低額を保証する契約も増えていますが、残価保証の有無に関係なく、残価には一定の前提条件があります。(残価保証も前提条件の確認が必要です)
それはひとことで「距離はほどほどに乗ってください。壊さないでください」というものです。
すでに説明しましたが走行距離は1,000㎞/1ヶ月で、改造禁止、事故による修復がないことなどが前提条件なので、走行距離がオーバーしたり、改造や修復歴があったりすると余分な出費が必要になるか、最悪の場合返却を受け付けてもらえないという事態もあり得ます。
パンフレットなどには「月々4,000円から」「毎月支払は10,000円程度です」といった記載がありますが、小さな文字で「ボーナス返済10万円の場合です」とか「頭金を100万円支払ったケース」などと記載されている場合があります。
もちろんこれは残クレに限ったことではありませんが、アイキャッチの意図なのか、支払額は部分的に強調しているものが多く見受けられます。必ず上から下までしっかり読んでください。
再クレジットとは残クレの契約終了時に残価を一括清算しないで、再度分割払いのクレジット契約を結び直すこと(再クレジット)です。再クレジットで分割払いを続けるなら、総支払額は当然増えます。
例えば最初の残クレ期間が5年、再クレジット期間が3年なら計8年でマイカーローンを組んだ場合と比べて、支払額がどのくらいになるか、前もって計算しておくことも必要です。 パソコンやスマホを使って自分で試算できますし、ディーラーの担当者にざっくりで良いので計算してもらっても良いでしょう。
残クレ申込も審査が必要ですが、再クレジットのときも再審査をします。転職や年収の減少、他の借入が延滞していたりすると、再クレジットが審査落ちになるかも知れませんので注意が必要です。
以上、これまでお話しした残クレについてまとめました。
残クレとカーリースは類似点が多いと言えます。ただしカーリースはリース会社の商品で、残クレは自動車メーカーが扱っています。残クレとリースの大きな違いは税金や車検費用が別途かかるか、含まれるかという点です。リースは税金等が含まれるので、契約内容によっては残クレよりも月々の料金が高くなります。
残クレを利用した人が、契約終了時に同じメーカーの新車に乗り換えるか、再クレジットをしてくれれば、そのまま付き合いが続きます。つまり顧客の囲い込みができるわけで、そう言った意味でよくできた商品だと思います。
「残クレとカーリースはどちらが得か?」これは一概に言えません。
あえて言うなら「残クレは顧客囲い込むため、カーリースへの対抗手段」ではないかと思います。
残クレ、カーリースともに「新車に乗りたい、また新型車が出たらすぐ乗り換えたい。そのためなら多少窮屈なことにも我慢できるし、車は大事に乗ります」という人向きである点は共通しています。
カーリースは契約内容や特典(ガソリンスタンド系列でのガソリン代値引きなど)を重視する人、そしてメーカーにこだわりがなく「今は〇〇だけど、次はどんな車にしようかな?」とメーカーより車自体を重視する人向きだと思います。
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