2024年07月31日
EVの購入にあたっては、ガソリン車と同様、購入時・購入後に支払わなければならない税金が存在します。しかし、EVはガソリン車に比べて税制面で優遇されており、各種税金の減税・免税が期待できます。
また、EV関連の各種補助金がもらえる点も大きなメリットの一つに数えられ、経済的な理由からEVをあきらめていた人には朗報といえるかもしれません。
この記事では、EV購入時や購入後にかかる税金の種類について、税制優遇や補助金の種類などに触れつつ解説します。
目次
日本でのEV購入にあたり、各種税制の優遇が行われる背景には、世界各国共通の目論見があります。
それは「走行時に二酸化炭素を排出しないEVの購入を国民に促し、地球温暖化の一因と考えられている温暖化ガスの排出削減につなげる」ことです。
国土交通省では、2022年度の運輸部門における二酸化炭素排出量を1億9,180万トンと算出しています。そのうち自家用乗用車は8,609万トンと、運輸部門全体の約45%にあたる量を排出しています(※)。
※参考:国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」
自動車から排出される温暖化ガスの悪影響は、日本だけでなく国際的に認識されており、世界各国でEV優遇策が進められています。
例えばアメリカでは、北米で組み立てられたEV等を新車で購入した場合、最大7,500ドルの税額控除が受けられます。
ただし、EV需要が鈍化している国々では優遇を縮小する動きもみられるため、日本でも今後の動きを注視する必要があるでしょう。
EVは、ガソリン車と動力が異なりますが、税制上は普通自動車、または軽自動車として扱われるケースがほとんどです。
よって、乗用目的なら3種類の税金がかかることになりますが、EVの場合は一部が非課税、または免税となることが期待されます。
環境性能割とは、かつての「自動車取得税」に該当するもので、都道府県に納める地方税の一種です。
自動車がもたらす二酸化炭素排出、道路の損傷、交通事故、公害・騒音といった様々な社会的コストを考慮しつつ、車の燃費性能等に応じて課税されます。
環境性能割は、新車・中古車のいずれを購入した場合でも、売買等により自動車を取得すると税金がかかります。
しかし、環境性能が高いとされるEVに関しては、2026年(令和8年)3月31日まで、自家用および営業用で非課税となっています。
自動車重量税とは、車検などの際、主に「自動車の重量」に応じて課税される国税の一種です。
普通自動車の場合は、車両重量0.5トンごとに年間4,100円を納付しなければなりませんが、軽自動車の場合は毎年3,300円と定額です。
また、新車の新規登録から一定年数が経過すると、それにともない税額が上がってしまう点にも注意が必要です。
なお、電気を動力源とするEVは、2026年(令和8年)4月30日までに新車新規検査により自動車検査証(車検証)の交付を受ける場合、自動車重量税が全額免除となります。
自動車税・軽自動車税は、毎年4月1日時点における、自動車または軽自動車の“車検証上の所有者”に対して自動的にかかる税金のことです。
自動車税の金額は、総排気量に応じて変わり、排気量が多ければ多いほど税額は高くなります。
これに対して軽自動車税は、すべての軽自動車の排気量が660cc以下と定められているため、排気量等による税額の変動はありません。新車登録された日付が2015年4月1日以降であれば、乗用車の税額は一律で10,800円となります。
車を買い替えるなど、年度の途中で車を購入した場合、新規登録をした月の翌月から3月までの月割分を支払います。
仮に、10月に車を購入した場合、翌月の11月から翌年3月までの5ヶ月分を納めるイメージです。
ただし、軽自動車税に関しては月割が適用されず、あくまでも4月1日時点で車を保有している人に税金がかかります。
よって、例えば4月2日など、4月1日を過ぎてから極力早い時期に購入すると、それだけ節税につながります。
次に、EVを購入後、そのまま同じ車に乗り続けていた場合にかかる税金について解説します。
将来的に法改正等が生じない限り、支払うべき税金は自動車税(軽自動車税)・自動車重量税の2種類となりますが、EVの場合は減税・免税の恩恵が受けられます。
新しく自動車を購入した後、継続して乗り続けるのであれば、毎年自動車税(軽自動車税)を支払う必要があります。
また、新車登録から一定の年数が経過した“環境負荷の大きい自動車”に関しては、税負担が重くなります。
しかし、EVの場合は環境性の高いエコカーに分類されているため、新車登録翌年度の自動車税(軽自動車税)に関しては「概ね75%程度」の減税となります。
新車登録から一定年数が経過しても、経年にともない税負担が重くなることがないため、自動車税の支払いを少しでも減らしたい人にとっては有利です。
先述した通り、EVに関しては、新車登録時の自動車重量税が免税となります。
それに加えて、新車登録時の車検証の有効期間が満了する日から起算して 15 日を経過する日までの間に、初回の車検により車検証の交付を受ける場合は、納付すべき自動車税が免除されます。
要するに、EVを購入してから初めての車検時は、自動車重量税が免税となります。ただし、2回目以降の車検時は自動車重量税がかかるため、初回の車検後に車検を予約する際は、自動車重量税の税額を考慮して予算を検討することになるでしょう。
EVを購入する際は、税金の面での優遇だけでなく、補助金の交付も視野に入れたいところです。EVだけでなく、EVへの充電や施設への放電(給電)を可能にする「V2H充放電設備」の導入に関しても、活用できる補助金があります。
以下、EV等の購入時に活用できる補助金について、主なものをいくつかご紹介します。
EVをはじめとする「クリーンエネルギー自動車」の導入促進を目的として、国はEV購入のための補助金を交付しています。
通称「CEV補助金」と呼ばれるこの補助金は、主に次のようなタイプの自動車が対象になります。
●EV(軽EV) ●PHV(プラグインハイブリッド車) ●FCV(燃料電池自動車) など |
また、これらの車両における補助金の上限額は、それぞれ次の通りです。
●EV:上限85万円 ●軽EV:上限55万円 ●PHV:上限55万円 ●FCV:上限255万円 |
各車両につき、どのくらいの補助金額となるかは、次のような点が勘案されます。
●トップランナー制度の対象かどうか(エネルギー消費効率に関する目標達成などが求められる) ●外部給電機能の有無 など |
なお、申請にあたっての要件の一つとして、補助対象となる車両の種類は決まっているため、申請時は購入予定の車両が補助対象かどうか確認する必要があります。
V2H充放電設備とは、EVやPHVへの充電に加えて、EV・PHVから施設に電気を給電できる装置のことをいいます。
災害による停電などが生じた際、EV等に貯まっている電力を施設に送れるため、施設で電力を利用することが可能になります。
こちらに関しては、個人・地方自治体・法人・その他団体等と、幅広い購入者が補助金の対象となります。
また、V2H充放電設備の補助金の上限額は、以下の通りとなっています。
設備費 ※(1基あたり) | ●設置場所区分が公共施設/災害拠点の場合は750,000円 ●設置場所区分が公共施設/災害拠点“以外”の場合は300,000円 |
---|---|
設置工事費 ※(1基あたり) | ●設置場所区分が公共施設/災害拠点の場合は950,000円 ●設置場所区分が公共施設/災害拠点“以外”の場合は150,000円 |
外部給電器の導入に関しても補助金の対象となり、上限額は500,000円となります。
その他、申請要件として、申請者はV2H充放電設備の設置場所・給電対象施設の使用権を有する必要がある点などに注意が必要です。
国だけでなく、地方自治体においても、EV購入の補助や支援を行っているところがあります。
CEV補助金の交付を受けたいと考えているなら、地方自治体の支援・補助も有効に活用したいところです。
例えば東京都では、EV・PHVを購入した事業者・個人に対し35~45万円を、FCVを購入した事業者・個人に対し100~110万円を補助しています。
その他の例としては、次にご紹介する自治体のほか、多くの自治体が支援・補助を行っています。
都市名(都道府県) | 制度名・補助対象・補助金額など |
---|---|
札幌市(北海道) | <札幌市ゼロエミッション自動車購入等補助制度> ●EV:定額100,000円 ●軽EV:定額50,000円 ●FCV:定額500,000円 |
盛岡市(岩手県) | <盛岡市電気自動車導入促進補助金> ●EVまたは軽EV:定額100,000円 |
刈谷市(愛知県) | <個人用次世代自動車購入費等補助制度> ●FCV:最大500,000円 ●EV・PHV:最大300,000円 など ※車両本体価格(税抜)の10%が補助され、1,000円未満の端数金額は切捨となる |
税制優遇や補助金を活用してEVを購入するには、自分が購入する車が各種要件を満たしているか確認し、遅滞なく手続きを進める必要があります。
しかし、いつまでも優遇や補助金が続くとは限らないため、利用するなら早めに購入を検討した方がよいでしょう。
以下、税制優遇・補助金を活用してEVを購入する際のポイントをご紹介します。
EVに対する税制優遇は半永久的に続くものではないため、税制優遇の恩恵を受けたいのであれば、優遇が終了する時期までに購入するかどうかを決断しなければなりません。
例えば、環境性能割が非課税になる時期・自動車取得税が免税される時期に関しては、いずれも当面は2026年が一つのタイムリミットになります。
仮に、2024年7月を基準に考えると、2年弱の猶予しか残されていないことになるため、できる限り早めに決断したいところです。
ただし、税制優遇が延長する可能性も十分考えられるため、じっくり検討したい人は税制関連の情報収集を怠らないようにしましょう。
税制優遇の恩恵を受けるため、早めにEV購入を決断するといっても、先立つものがなければ購入は難しいでしょう。
EVはガソリン車と比較して高価なため、期限までに貯金するのが難しい場合は、マイカーローンを使って賢く購入するのも一手です。
マイカーローンとは、主に自家用車を購入する際に利用できるローンのことをいい、カーディーラーや信販会社のほか、銀行などの金融機関が多様な商品を用意しています。
また、各社が用意しているプランの中には、環境性能が高い車を購入する場合に金利が安くなるものもあります。
その他、補助金を繰り上げ返済に回せたり、ローンを組むとロードサービスが付いたりするプランも見つかります。預金がEV購入に届かない場合は、とりあえず頭金を用意して、残りをローンで支払うことも検討してみましょう。
マイカーローンと聞くと、自動車メーカー系のファイナンス会社や、信販会社などが提供するローンを利用した経験がある方も多いのではないでしょうか。
中には、消費者金融系のローンを選んだ、またはすすめられた方もいるかもしれません。
これらのローンは、審査を通すという観点からみればメリットは大きいかもしれませんが、その代わり金利が高くついてしまうおそれがあります。
特に、初めてマイカーローンを組む人の中には、ディーラーや自動車販売店などで何の疑問も抱かずローンを組む人も少なくないため、できるだけ複数のマイカーローンを比較検討することが大切です。
低金利ローンのマッチング&比較サービス「クラウドローン」を利用すると、銀行など全国各地の金融機関の中から、自分の条件に合ったマイカーローンを選ぶのに便利です。
金融機関が取り扱っているマイカーローンの多くは、総じて信販会社・消費者金融などが取り扱うローンに比べて金利を安く抑えられるため、より経済的にEVを購入できます。
世界各国でEV普及に向けた動きが進んでおり、日本でも自動車に関連する税制優遇や、EV購入に使える補助金制度などの恩恵を受けることができます。
自動車重量税のように、購入時・購入後に免税となる税金もあるため、各種税金をランニングコストと捉えた場合、EVを選ぶメリットは決して小さくありません。
補助金制度に関しては、国だけでなく地方自治体が設けている制度を利用することもできるため、現在住んでいる市町村で何らかの制度を設けていないかどうか、確認してみることをおすすめします。
それでも予算に不安がある方は、クラウドローンで自分に合ったマイカーローンを探してみてはいかがでしょうか。
「どの銀行が融資をしてくれるか分からない」をクラウドローンが解決
クラウドローン(https://pre.crowdloan.jp/)は、個人が銀行から低金利でマイカーローン、教育ローンなどの融資を受けられる国内唯一のプラットフォームです。
融資の目的や時期、金額などをクラウドローンに登録すると、各銀行が融資可能な金額や金利のプランの直接提案してくれます。時間と労力をかけずに複数の銀行からより条件のよい融資を見つけることができます。
詳しくはこちら
クラウドローンとは
“借りたい”を登録して
お得な提案を待つだけ
融資をしたい銀行から、直接プラン提案を受けることで、
資金を必要としている一人でも多くの人に、融資の機会を提供します。