事業のための借入金の利息は、個人事業主なら必要経費になります。ただし、毎月の返済額のうち元本にあたる部分は経費になりません。経費として帳簿に入れるのは、返済額から元本を引いた利息の部分だけです。
家計の支払いと混ざった借入は、事業に必要な部分を区分できる範囲に限って経費にできます。契約書に貼る印紙も、金額に応じて税額が決まっています。この記事で扱うのは、利息と元本の違い、家計と混ざる借入、契約書の印紙税の3点です。申告の判断は、税理士か税務署に確認してください。
この記事では、利息と元本の分け方を1,000万円の借入で試算し、経費に入れる時期、家計との区分、印紙税を、国税庁の資料にもとづいて整理します。節税の効果は所得や税率で変わるため、金額の保証はしません。
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国税庁のタックスアンサーは、業務用資産を買うための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になると説明しています。一方、確定申告書等作成コーナーの説明では、借入金の返済額のうち元本に相当する部分は必要経費になりません。元本は、借りたお金を返しているだけで、事業を行うための費用ではないためです。
次の試算は、借入1,000万円、年2.5%、返済期間7年(84回)、元利均等返済の仮定です。月額は129,892円です。返済額の内訳は、最初のうちは利息の割合が大きく、回を重ねるごとに元本の割合が増えます。1年目の12回分では、返済額の合計約155.9万円のうち、利息は約23.5万円、元本は約132.4万円です。
| 項目(1年目の12回分) | 金額 | 経費の扱い |
|---|---|---|
| 返済額の合計 | 約155.9万円 | 全額が経費ではない |
| うち利息 | 約23.5万円 | 事業用なら必要経費 |
| うち元本 | 約132.4万円 | 必要経費にならない |
帳簿では、返済日ごとに利息と元本を分けて記録します。金融機関から届く返済予定表や、返済のたびの明細で、利息の額は確認できます。返済額を全額経費にしてしまうと、所得が実際より小さく計算されます。元本の返済を経費に入れた申告は、後から修正が必要になります。
利息の額は、返済が進むほど小さくなります。同じ条件で2年目の12回分を計算すると、利息は約20.1万円、元本は約135.7万円です。1年目より経費にできる利息は約3.4万円減ります。毎年の経費の額は返済予定表で年ごとに拾い直し、前年の数字を使い回さないようにしてください。
経費になる金額は、その年に債務が確定した金額です。国税庁は、12月31日までに債務が成立していること、給付の原因となる事実が発生していること、金額が合理的に算定できることを、確定の目安として挙げています。たとえば、年末に利息の支払日が来ていなくても、その年の分として発生している利息があれば、扱いを税理士に確認します。決算の前後で処理がずれやすいので、毎年、同じ方法をそろえるのが基本です。
法人の借入金の利息は、決算書の損益計算書に支払利息として載せます。税務上の損金の扱いは法人税の仕組みで決まり、個人事業主の必要経費とは根拠となる税法が違うため、この記事の個人向けの説明をそのまま当てはめないでください。中小企業庁の「中小企業の会計に関する基本要領」には、支払利息を損益計算書に載せる例や、決算期末で利息のような費用を前払費用・未払費用として整理する考え方が出ています。法人は、決算書の科目として支払利息に入れ、実際の処理は顧問税理士の方針に従ってください。
個人事業主は、事業用の借入と生活費の借入が1本のローンに混ざりやすい点が問題です。国税庁は、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などにもとづいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額に限ると説明しています。所得税基本通達45-2では、必要な部分が50%を超えるかで判定し、50%以下でも区分できる場合はその部分を経費にしてよいとされています。
次の計算は、家事関連費の原則を借入金に当てはめた説明用の例で、国税庁が借入金の按分について示した計算例ではありません。たとえば、借りた1,000万円のうち700万円が事業の設備代、300万円が生活費だった場合、事業用割合を70%とすると、1年目の経費にできる利息は約23.5万円×70%=約16.4万円です。ただし、この70%を帳簿や契約書で説明できる状態にしておく必要があります。最初から事業用の借入と生活費の借入を別の契約にしておくと、区分の説明が簡単になります。
借入金の使い道と返済口座も分けておくと、証拠が残ります。事業用の口座から返済し、通帳の記録で利息と元本を追えるようにしてください。返済のたびに生活費の口座から払うと、事業の経費として説明しにくくなります。
金銭を借りるときの金銭消費貸借契約書は、印紙税の課税文書です。国税庁の税額表では、契約金額に応じて次のとおり決まります。
| 契約金額 | 印紙税額(1通) |
|---|---|
| 1万円以上〜10万円以下 | 200円 |
| 10万円超〜50万円以下 | 400円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 10,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 20,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 60,000円 |
たとえば、1,000万円の借入なら10,000円、3,000万円の借入なら20,000円です。国税庁の質疑応答では、電磁的記録は文書に含まれず、電子的に作成して送る契約には印紙税が課税されないと説明されています。ただし、この説明は請負契約についてのものです。金銭消費貸借の電子契約に当てはまるかは、申込先の金融機関に確認してください。日本政策金融公庫など公的な貸付機関の契約書に印紙が必要かどうかも、貸付機関の案内で確認します。
印紙税は契約のたびにかかる費用です。帳簿でどの科目に入れるかは、税理士に方針を聞いてください。
| 状況 | 確認すること | 相談先 |
|---|---|---|
| 事業用の設備を借入で買った | 利息は経費、元本は経費でない。返済予定表を保存 | 税理士 |
| 1本のローンに事業用と生活費が混ざる | 事業用の割合を説明できる資料があるか | 税理士、税務署 |
| 年末に支払日がまたぐ | その年に債務が確定した利息の範囲 | 税理士 |
| 契約書に印紙が必要か迷う | 契約金額と契約の方式(書面か電子か) | 申込先の金融機関 |
利息が経費になるのは、事業で使った借入に限られます。返済額の内訳を毎月記録する習慣をつければ、決算期に慌てずに済みます。
返済額の全体の見通しを立てたいときは、事業融資の返済シミュレーションの記事で、元金均等・元利均等・据置の違いを確認できます。
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調査日:2026年10月11日。税務の扱いは個別の事情で変わります。申告前に税理士か税務署へ確認してください。
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