2026年08月27日
2026年7月、クレジットカードの決済代行を手がける全東信(大阪市中央区)が、大阪地裁から破産手続開始決定を受けました。負債総額は約1,259億円にのぼり、2026年に入ってから最大規模の倒産です。飲食店を中心とする2万店超の加盟店で決済端末が止まり、7月5日までの売上金が入金されないという声が数多く上がっています。
この記事では、今回の破産で何が起きているのかを整理したうえで、今すぐ取るべき5つの対応と、同じ事態を繰り返さないための資金調達の考え方を解説します。
目次

全東信は、1987年に「大阪南飲食事業協同組合」として発足した、大阪市中央区の決済代行会社です。主に飲食店やバー、スナックなど夜間営業の店舗向けに、クレジットカードの売上を通常より早く現金化するサービスを提供していました。
通常、クレジットカード決済から入金までには2〜3週間ほどかかります。全東信は入金を待たずに売上金を加盟店へ立て替え、後からカード会社から入金を受け取る仕組みで、加盟店から受け取る手数料を収益としていました。
こうしたサービスの加盟店は2万店を超えていましたが、全東信は2026年7月6日、大阪地裁から破産手続開始決定を受けました。負債総額は2025年3月末時点で約1,259億円とされ、多くの加盟店で本来入るはずだった売上金が入金されない事態となりました。
破産手続きの開始と同時に、全東信の決済端末は使用できなくなりました。カード決済を受けられず、現金やQRコード決済などで営業を続ける店も出ています。
より深刻なのが、7月に発生した売上金の一部の未入金です。未入金の店舗は2万店超、金額は計53億円にのぼり、仕入代金や家賃の支払いに影響が出ています。これらは破産債権として扱われ、全額が戻るとは限りません。
また、切り替え先の確保も簡単ではありません。夜間営業の業種は決済代行の審査が通りにくい場合があり、別の会社へ移るまでに1〜2週間かかるケースもあります。

すでに動いている方も多いと思いますが、優先順位を整理する意味でも5つの対応を挙げておきます。
最初にやるべきは、いくら入金されていないのかを確定させることです。売上明細、決済データ、入金履歴、契約書などを集め、日付ごとの決済額と入金済み額を突き合わせます。
この作業は、その後の手続きの土台になります。金融機関への相談や破産管財人への債権届出でも、根拠となる資料や金額の提示が必要になるため、早めに整理しておきましょう。
カードで支払いたい客は多く、現金だけの状態は売上に直接響きます。SquareやAirペイ、楽天ペイなどのサービスを導入し、決済手段を確保しましょう。
1社に依存せず、2〜3社に分散させておけば、今回のように1社が停止した場合にも営業を続けやすくなります。
経済産業省は2026年7月10日、全東信の破産で影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援策を公表しました。全国の日本政策金融公庫などに特別相談窓口が設置されています。
また、セーフティネット貸付の要件が緩和され、今後影響が生じることが懸念される事業者も対象となっています。まずは窓口で利用できる制度を確認しましょう。
全東信に対して売掛金債権などを持ち、資金繰りに支障が生じている事業者を対象に、セーフティネット保証1号が適用されています。一般保証とは別枠で、融資額の100%を信用保証協会が保証する制度です。
利用には市区町村の認定など所定の手続きが必要なので、まずは最寄りの信用保証協会などに相談しましょう。
未入金となった売上金は、破産債権として届け出ることになります。破産管財人から案内が届いたら、提出期限や必要書類を確認し、期限内に対応しましょう。
ただし、配当は残余財産の範囲で行われるため、届出をすれば全額が戻るわけではありません。回収できる金額は限られると考えておくのが現実的です。

ファクタリングとは、売掛金(入金待ちの売上金)を手数料を払って早期に現金化する資金調達方法です。売掛金を手数料と引き換えに早く現金化するという点で、今回の仕組みもファクタリングに近い性質を持っています。
今回の出来事を少し引いて見ると、早期入金というサービスには、もともと構造上の弱点があったことが分かります。主なリスクは3つです。
1つ目は、コストの重さです。手数料は一般に売掛金額の5〜15%程度とされ、入金までの期間が短いため、年率に換算すると60〜180%に達することもあります。1回の負担は小さく見えても、毎月使い続ければ利益を削っていきます。
2つ目は、売掛金がなければ使えないことです。飲食店では、次の売上が入るまでのつなぎとして利用することになります。一時的な資金不足を補う手段であり、資金力そのものの改善にはつながりません。
3つ目は、1社依存のリスクです。入金→仕入→売上→入金というサイクルは、どこか一か所が止まるだけで全体が崩れます。資金のインフラを1社に依存すること自体が、リスクになり得ます。
こうしたリスクを考えると、別のファクタリング会社に登録するだけでは、コストや売掛金への依存が残るため、十分な対策とはいえません。そのため、ファクタリングとは性格の異なる資金調達手段を、事前に用意しておくことが重要です。

早期入金サービスやファクタリングと、銀行の事業性融資の違いを6つの視点から比較します。
<コスト>
ファクタリングの手数料は売掛金額の5〜15%程度が中心で、年率換算すると負担が大きくなりがちです。銀行融資には、年3〜4%台で利用できる商品もあります。
<審査で見られるもの>
ファクタリングは売掛金や支払企業の信用力が重視される一方、銀行融資では月商や決算内容など、事業そのものの状況が見られます。
<資金の使い道>
ファクタリングは売掛金の資金化が基本ですが、銀行融資なら運転資金や設備資金、つなぎ資金など幅広く活用できます。
<調達までの時間>
ファクタリングは即日〜数日で資金化できる場合があり、銀行融資も商品によっては最短当日〜数営業日で実行されます。
<繰り返し使えるか>
ファクタリングは売掛金が発生するたびに利用できます。銀行融資にも、一括で借りる証書貸付型と、枠内で繰り返し利用できるカードローン型があります。
<向いている場面>
ファクタリングは入金までの一時的なつなぎ、銀行融資は中長期的な資金繰りの改善に向いています。
ただし、今回のケースではファクタリングは全東信の代替手段にはなりません。カード決済分の売上は全東信に対する債権であり、破産手続きに入った相手への債権を他社に買い取ってもらうのは現実的ではないためです。

クラウドローンが提供する「タスカリ」は、小規模事業者向けの資金調達マッチングサービスです。対象は売上500万円〜3億円程度の個人事業主や法人で、業種による制限はありません。融資額は最大1,000万円で、担保付きであれば最大5億円まで借りられる商品もあります。
タスカリは、事前審査で借入の可能性を確認してから金融機関への申し込みに進めるため、申し込んだ後に審査に落ちて申し込み直す手間を減らせます。希望条件を一度入力すれば複数の金融機関にまとめて打診でき、個別に問い合わせる必要もありません。商品によっては最短当日の審査も可能です。対面での面談や事業計画書の提出が不要なため、突発的な資金需要にも対応しやすいでしょう。また、ファクタリングと比べて、銀行融資は金利ベースで資金調達できるため、コストを抑えられる可能性があります。
飲食店では、取引先からの入金遅れや不渡りなどで、仕入代金や家賃の支払いが難しくなった際の「運転資金のつなぎ融資」としてタスカリを利用できます。銀行融資にハードルを感じる場合も、金融機関によっては業歴1年程度から申し込めるため、選択肢の一つになるでしょう。また、ファクタリングとは異なり売掛債権の売却を必要としないため、売掛債権がない場合の資金調達方法としても検討できます。
早期入金は便利な一方、手数料負担が大きく、売掛金がなければ利用できません。万一の資金繰りに備えるなら、早期入金だけに頼らず、事業性融資という別の選択肢も持っておくと安心です。
資金繰りが安定しているうちに、自店がどのような条件で借りられるのか、一度確認しておきましょう。無料で利用でき、一度の入力で複数の金融機関から提案を受けられるタスカリも、自店に合った資金調達先を知る手段の一つです。
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